佐藤美樹さんインタビュー
1999年10月29日 渋谷パンテオン
インタビュー=下村健、白石雅彦
構成=下村健
― では、出演の経緯をお聞かせ下さい。
佐藤 私がテレビで取材を受けていたのを偶々観てた関係者の方が、もしかしたらリカ役にいいのかもしれないってことで即連絡が来て....。
― 関係者の方というのはどなたでしょう?。
佐藤 石井プロダクションの製作の方とあとカメラマンの方と。
― カメラマンと云うのは柳田さんですか?。
佐藤 ええ、柳田さんです。それで即呼ばれて、監督とお会いして、その日にもう決まりましたね。台本渡されて。
― 監督のお話しですと、連絡したら即名古屋から上京されたと云う事でしたね。
佐藤 そう、連絡来た時丁度暇だったんです。(笑)
丁度大学の授業明日ないしどうしようかなって思ってて、「東京?、きゃ!」なんてパァーンと行って。(笑)
偶々クランクインの前日で呑み会だったんですよ。だから「ただ飯、ただ飯、ただ酒ー!」と思ってすごいもう面接って事すっかり忘れて食いまくってたんですよ。ニコニコニコニコしながら。はっと気づいて「そうだ、今日は石井輝男監督が横に居るんだ」とか思って、「あ、ちょっと大人しくしなきゃ。」と思ったりして。(笑)
― 石井監督の映画は以前にご覧になってたんでしょうか?。
佐藤 あの『網走番外地』と『ゲンセン館主人』だけですね。でも昨日、『忘八武士道』観て鳥肌たっちゃって。
父親が昔から「『網走番外地』はいいぞぉ」って言ってて。梅宮辰夫とかの映画が大好きでして。
― 昔の東映アクションとかがお好きな方だったんですね。
佐藤 もう大好きでしたね。母親も『網走番外地』がすごい好きで。
― 東映でも石井監督の「異常性愛路線」とかは?。
佐藤 それは全く知らなかったですね。
― 『地獄』に話を戻しますが、映画の内容については事前に御存知だったんですか?。
佐藤 オウムとか林真須美とか宮崎勤を地獄でちょっと裁くような感じみたいな。(笑)
それで脱ぎもないよみたいな感じだったんですよ。「脱ぐんですか?」とか言ったら「あ、大丈夫そんな脱ぎはないから」ってスタッフの方に言われたんですよ。でもいざ始まったら「ちょっとブラジャーとって」とか「もっとはだけて」とか。(笑)
私はそれ全然抵抗はないんですけど、全く。石井監督の作品、(出演が)決まった後にいろいろ人から聞いたり、本読んだりしてましたから。
― オウム信者を演じる事に抵抗はなかったですか?。
佐藤 あの、クランクインの前の日に決まったんで、もしずぅーっとかなり前に決まってたら、ああ、どうしようとか考える期間があったと思うんですけど、もうやらなきゃって、次の日にいきなり信者服着せられて、撮影入っちゃって。
― 悩んでる暇もなかったって事ですね。(笑) では、撮影が始まってから怖いと思ったことは?。
佐藤 全く思わなかったですよ。周りの人はすごい心配してくれたんですけど、私自身全くそう云う怖いとかどうしようとかオウムに拉致されたらどうしようとかそう云うのは別に。
― 共演された俳優さんたちのことは御存知でしたか?前田通子さんとか。
佐藤 いや、それが全く知らなかったんですよ。丹波哲郎さんぐらいしか。
若杉英二さんとかは名前はなんとなく聞いたことある程度で、作品は観た事なくて。
― 薩摩剣八郎さんは?。
佐藤 薩摩さんは知ってました。北朝鮮の本とかも書かれてるとか、そう云うので知ってました。
― 石井監督の撮影現場はどんな感じでだったんでしょう?。
佐藤 なんて云うのかな、凄いパワーを感じて....なんか、皆、石井輝男監督は凄いよ凄いよって撮影入る前に言ってたんですけど、何が凄いんだろう?って....で、あ、やっぱ凄いわとか、なんか凄いわと。お肉ばっかり食べるし。(笑)
で、お歳知らなかったんですよ、最初。撮影始まっても。てっきり60代だと思ってて「え、75!」とか「死んだお爺ちゃんと同い年だわ!」とか思っちゃいましたね。(笑)
― 監督は怖くなかったですか?。
佐藤 (小声で)ちょっと怖かった。
最初はね「君」とか優しかったんですけど、ボルテージが上がったら「女ー!」とか「動け!」とか。(笑)
― かなり怒られました?。
佐藤 怒られましね、私は。「演技の基礎がなってない」とか。
あ、でもNGは一回ぐらいでしたね。結構カット割が多かったんで。
― 監督はあまり細かい演技指導はされないそうですね。
佐藤 はい、全くないですね。
演技指導って云うか....演技指導はありますね、でも心情と云うか、今あなたの役の気持ちはこう云う感じでとかそう云うのじゃなくて、もっと絵格好って云うか、見せる演技についてですね。
― 作品の中で自分で一番力を入れたとこはどこでしょう?。
佐藤 どんだけか地獄の恐怖、って云うか地獄を体験する訳ですよね、地獄なんて体験出来ないじゃないですか、セットっていってもそうおどろおどろしいとか、セットのない部分で驚いたりとかしなきゃいけないから、自分で今まで21年間生きてきた中で怖かった事ってそんなないし....幽霊一回見た事あるんですけど、あ、2回か(笑)、でもそん時も怖くなかったんですよ。
それで地獄の怖さってのをどう云う風にしたらいいか。悲しいとか喜びとかじゃなくて恐怖ですよね。なんか難しかったです。で、ちゃんと表現出来てるかどうか疑問なんですけど。
― 撮影中の失敗談とかがあったらお聞かせ願えますか?。
佐藤 ずっとズラだったんですけど、力の加減判らないからおもいっきりやっちゃうから、すぐズラがポロポロポロポロとれてメイクさんに凄い怒られて。「もうちょっとなんとかして!」とか言われたり。(笑)
あと、演技の面では・・・あんまり憶えてないんですよね。自分が何したとか。
なんかあんまり撮影中の事思い出せないんです。
― それは撮影中はずっと緊張してたとか、そういった事でですか?。
佐藤 緊張してたのかな?・・・緊張してたのかも。なんかガーっと(監督の)凄いパワーに乗せられてたのかなと云う感じで....。
― 成る程、では、印象に残ってる事とかは?。
佐藤 前田道子さんとのシーンとかは、緊張って云うか凄いっていうかなんと云うか....。(笑)
でも、ホントに撮影中の事、私憶えてないんです。だからその撮影以外の事で結構楽しかったですけどね。
石井監督とご飯食べに行ったら、ホントにお肉ばっかり食べるとか。(笑)
― 完成した作品を改めて観た御感想は?。
佐藤 あの、主演と云っても私そんなに....他の役者の方とか役柄がすごい濃いんで....なんか他の自分が出た作品とか恥ずかしいって気持ちで観れないんですよ。なんか自分のシーンとかになると「うー」とか思っちゃうんですけど、今回は自分の出た作品にズーっと引き込まれて、「ほぉー」とか「はぁー」とか、自分観ててもなんか「うーん」とか興奮して。(笑)
― 自分の出演作と云うよりもっと客観的に観れたと云う事でしょうか?。
佐藤 凄く客観的に。あんまり撮影中の事憶えてないから、特に。
― 終わってみて、石井監督の映画にまた出たいと思いました?。
佐藤 出たいです!。凄く出たいです。
― 石井監督以外の監督では作品に出演してみたい監督ってありますか?。
佐藤 山田洋次監督の映画とか出たいです。私、今狂いそうなんですよ、出たくて出たくて。夜な夜な、夢見ますもん。『学校4』に出たーいって。(笑)
山田洋次は出られたら死んでもいいです。(笑)
― ちょっと意外ですね。(笑) 目標にする女優さんとかはありますか?。
佐藤 ロマーヌ・ボランジェ(笑) が、好きなんです。
― 今後の抱負みたいなものがありましたらお聞かせ下さい。
佐藤 いろいろ映画に出たいんです。
まだ演技とか全然必死でなんか自分自身の中から一所懸命一所懸命なんか出したり、台本読んだりしても良く判らない事がよくあるんですけど....。
― では最後にこの後決まっている出演作とかがありましたら教えて下さい。
Vシネがあります。あと写真集。ネット上の写真集なんです。取り敢えず。渡辺達生さんに撮っていただいて、ネットで好評だったら紙に移すんです。
VシネはJVDの山内大輔監督の『最強女子高生伝説キョーコVSゆき』初の女子高生役です。(笑)