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ダライ・ラマの般若心経

渋谷・アップリンクXにて独占上映
10月17日〜 毎週月曜・火曜 21時よりレイト・ショー
10月22日〜 連日11時よりモーニング・ショー

2005年/カラー作品/DV/PCMステレオ/70分
イントロダクション
 『ダライ・ラマの般若心経【劇場版】』は、10万部を超えるベストセラーとなった書籍「ダイ・ラマ ― 死の謎を説く」でコンビを組んだジャーナリストの大谷幸三とカメラマンの菊地和男が、ダライ・ラマの住むインド・ダラムサラを訪れ、日本で特に人気の高いお経「般若心経」について、ダライ・ラマ本人に語ってもらった様子を収めた貴重な映像作品である。
「1993年に初めてダラムサラを訪れた時、今では想像できないほどだが、初日に謁見室で2時間、翌日は中庭にて3時間のインタビューをすることができた。会話の中で、突如ダライ・ラマが“君たち日本人ならわかるだろう”と笑いながら、お経を唱えた。“ギャアテエ、ギャアテエ”という、私ですらなじみのある般若心経の一説だった。その言葉がしばらく耳に残って離れなかった。後日調べてみるとダライ・ラマは観音菩薩の生まれ変わりとわかった」(菊地)
短い経文の中に仏教の深遠な智慧を凝縮させた「般若心経(はんにゃしんぎょう)」は、観音菩薩を主人公とする仏教経典のひとつで、大乗仏教の中心的な思想である“空(くう)”を説いた600巻にものぼる「大般若経」のエッセンスであるとされる。未成仏霊の供養、開運の願い、精神統一などさまざまな目的に使われており、「観音菩薩」の人気が特に高いとされる日本では、老若男女を問わず幅広い層に“写経”が浸透している。また、般若心経を唱えながら四国・八十八箇所巡りをする人々の数は今も年々増加しているという。
仏教最高の経典のひとつである「般若心経」は、もともとサンスクリット語(梵語)で書かれているが、インドからチベット、中国、日本、そして世界へと伝播する際に漢語訳・日本語訳・英訳と幾多のプロセスを経たことで、必ずしも本来の意味が正確に伝わっているとは言えないのが実状だ。
「般若心経って何?」「なぜいろいろな人が唱えたり写経するのか?」
「難しい漢字で書かれたお経に意味はあるのか?」「色即是空って何?」
「ギャアテエ ギャアテエか、ギャーテー ギャーテーか、どっち?」
発祥の地であるインドでは皮肉にもほとんど省みられない仏教の経典が、もっともオリジナルに近い形で残されているのがインドの隣国であり、仏教的輪廻思想を受け継いできたチベットである。そして、“ダライ・ラマ”とはモンゴルの称号で「大海」を意味し、歴代の転生者は観音菩薩の化身とされている。
あまりにも有名なために、誰もが訊きたくても訊けない「般若心経」に関する素朴な疑問。日本にも僧侶は数え切れないほどいるが、「般若心経」について尋ねるならこの人しかいない。
チベット仏教の最高指導者であるダライ・ラマ法王14世は、1989年にノーベル平和賞を受賞。リチャード・ギア、シャーリー・マクレーン、ジュリア・ロバーツ、スティーブン・スピルバーグ、マーティン・スコセッシ、スティーヴン・セガールら映画人のみならず、世界の文化人にも熱心な支持者を数多く持ち、民族・国家・宗教の枠を越え、世界中から尊敬を集めている。そして、もちろん、“観音菩薩の化身”なのである。
大谷・菊地コンビが、「ダライ・ラマに般若心経を語っていただく」企画を立ち上げた頃から、欧米でのチベット仏教人気が高まったこともあり、取材のアポイントメントがなかなか取れない日々が続いた。2000年には、ダライ・ラマも出席するカラチャクラ法要があるということで、現地へ出かけ、記者会見なども収録したが、残念ながら単独インタビューは実現しなかった。翌年、再びインドへ渡ったスタッフは、ダラムサラで1週間待ち続け、ついに「“観音菩薩の化身”とされるダライ・ラマによる“般若心経”講座」をビデオに収めることに成功した。
菊地は言う。
「取材の機会を待ち続けている間に、もうひとつの発見もあった。それは、待ち続けることも仏教の修行のひとつだということだ。同時に、草木もろくに生えない高地に住む人々を見るうち、そこに住むことすら修行のひとつではないかと思えてきた。高地に住む人々は、結果として肉食をしない。動物を飼育する穀物が潤沢に生育しないからだ。山羊は乳製品を取るための貴重な家畜である。高地では、そうした食糧事情から人口も増えないし、減らない。そして、毎年繰り返される同じ風景。雪解け水が激流となり道路や橋を押し流していく。それは同じような風景でありながら、毎年違うのだ」

本作品に収められた映像は、本来スチール写真家である菊地が、カメラバッグの中に3台の民生用小型デジタルカメラを入れ、インドでの旅の途中に撮影した風景と、ダライ・ラマ本人のインタビューの様子である。高価な高品質カメラで撮影されたドキュメンタリー作品とは一線を画した仕上がりになっていることはご覧になったとおりである。社会問題や仏教論や人間論、チベットをめぐる問題について語るダライ・ラマを見る機会はわりあいよくあるが、本作品のように、ダライ・ラマがひとつの仏教経典について延々語る様子を収めた映像は世界的にも大変貴重である。その証拠に、2004年に日本で発売されたDVD付書籍「ダライ・ラマの般若心経」(ジェネオン エンタテインメント刊)に収められた映像(58分版)はすでにフランス、イタリアの映画配給会社に上映権が販売され、イギリス、台湾、シンガポール、タイなどでも発売・公開の予定。本【劇場版】は、DVD版にインド・ヒマチャルプラデシュの最奥部、ヒマラヤのスピティ渓谷にあるキー僧院でのカラチャクラ法要の模様などを加えた70分バージョンである。
構想から10年以上、撮影を始めてから5年間が過ぎ去り、ようやく編集を終えた監督の菊地は言う。 「個人的な意見だが、般若心経を100万回唱えるよりも、現地の風景を見るほうが、内容を理解できるかもしれない。いや、少なくとも体感できるような気がする。私自身、漠然とだが、自然と人間を包含する生命は、たった一つなのではないかと思うにいたった」
スタッフ
キャスト
監督・撮影:菊地和男
製作総指揮・インタビュー:大谷幸三
製作・編集:石熊勝己
製作:藤原雅一
編集:浜口文幸
音楽:プレイ・フォー・レイン
製作・提供:フライング・ジブ/JP
ダライ・ラマ法王14世

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