その少女(中村朝佳)は、幼なじみの親友(池澤あやか)を突然失った。優しく言葉をかけてくれる人もいる。だが、少女の心の欠落は、埋められることはない――。
宅配弁当の業者で働いている執行夏希(中村映里子)は、ある日、見知らぬ青年(池松壮亮)の訪問を受ける。夏希の父を知るという青年は、夏希の父が経済的に困窮していることを伝える。夏希にとってたったひとりの身寄りである父。しかし、夏希にとって父は母やまだ幼かった自分に暴力を振るい、ついには母と自分を捨てて出ていった男。夏希は父親への怒りを露わに青年を追い返すが、青年は夏希の剣幕にたじろぎながらも父親が暮らす部屋の住所を残していく。やがて夏希は、父・大悟(光石研)の暮らす部屋を訪れる――。
芹澤夏生(沖渡崇史)の仕事は借金の取り立て。金を返せない客には容赦なく激しい言葉を投げつけていく。そんな夏生は、ある日突然、妹の明日香(高橋愛美)の部屋を訪れた。夏生の顔を見るなり怒って追い返そうとする明日香だが、夏生は強引に妹との同居を始めると、薬物にまで手を出している明日香の荒んだ生活を立て直させようとする。かつて自分に家の面倒のすべてを押し付けて家を出た兄への怒りを抱えたままの明日香が素直に夏生に従うはずもなく、ふたりは衝突を繰り返す。そして明日香はまた夜の街へと――。
娘と父。兄と妹。夏の東京で、それぞれの“家族”が、それぞれに新しい生活を始めようとしていた。ふた組の“家族”を待つものはなにか――。
愛の小さな歴史
監督:中川龍太郎
出演:中村映里子 沖渡崇史 高橋愛実 池松壮亮 光石研 ほか
2015年5月9日(土)より29日(金)まで渋谷ユーロスペースにてロードショー ほか全国順次公開
2014年/カラー/HD/16:9/81分
女は、かつて自分を捨てた父親と。男は、かつて自分が捨てた妹と。夏の東京で、それぞれの“家族”が、新しい生活を始めようとしていた――。2014年の東京国際映画祭・日本映画スプラッシュ部門で上映され、チケットが即日完売となった作品『愛の小さな歴史』が、待望の劇場一般公開を果たす。
監督・原作・脚本は、これまで『雨粒の小さな歴史』『Plastic Love Story』などのが国内外で上映されてきた1990年生まれの新鋭・中川龍太郎。『愛の小さな歴史』は、監督の中川をはじめ、20代の若きスタッフたちにより製作された。
そして気鋭の俳優陣が作品を彩る。確執のある父親との生活を始める主人公・執行夏希(しぎょう・なつき)を演じるのは、話題作『愛の渦』で注目を集め、出演作の公開が続く中村映里子。夏希に父の存在を知らせる青年には、2014年度に映画賞6冠を達成するなど俳優としての評価の高まる池松壮亮。夏希の父・大悟には日本映画界の誇る名バイプレイヤー・光石研。あるきっかけから妹と同居を始めるもうひとりの物語の中心人物・芹澤夏生には、舞台で活躍する沖渡崇史。その妹・明日香には『Plastic Love Story』主演の高橋愛実。そのほか、『あの娘、早くババアになればいいのに』で主演をつとめ女優アイドルプロジェクト・ノーメイクスにも参加する中村朝佳や、“プログラムができる女優”として注目を集めている池澤あやか、『恋の罪』の小林竜樹ら、多彩な顔ぶれが揃った。
静かなタッチで綴られていく物語は“生きる”ことを真摯に観客に伝えていく。日本インディーズ映画の新たな可能性を感じさせる作品の登場だ。
- 執行夏希:中村映里子
- 芹澤夏生:沖渡崇史
- 夏実:中村朝佳
- 芹澤明日香:高橋愛実
- 二宮冴子:池澤あやか
- 倉本英輔:小林竜樹
- 比嘉雫:三品優里子
- 敷谷壮:池松壮亮
- 執行大悟:光石研
- 水沢隆一:藤村駿
- 浅岡有紀:朝戸佑飛
- 野田:広井龍太郎
- 石宮怜次:鈴木太一
- 西山愛華:榊林乃愛
- 比嘉多江:大塚ニコル
- 監督・脚本・原作:中川龍太郎
- 制作総指揮:木ノ内輝
- プロデューサー:藤村駿
- 撮影・照明・編集:今野康裕
- 録音・整音:石森剛史
- 衣裳・メイク:タカダヒカル
- 広報:杉山史紀
- 特機:星潤哉
- 助監督・小道具:榎本ゆうき
- 音響技師:中村侑亮
- 制作補佐:永田フネ
- 衣裳メイク補佐:平方さつき
- 撮影助手・編集補佐:佐藤宏
- 脚本補佐:小林瑞穂
- 制作:武笠恭太
- 制作・創舞:中村萌乃
- 音楽:都築大地
- 音楽協力:酒本信太
- 配給:Tokyo New Cinema
- 宣伝協力:Free Stone Productions