ケンカでケガをしたヤンチャな少年と、声を失った難病の少女。病院で出会ったふたりは、いつしかお互いに惹かれあっていく。そしてある夏の日、ふたりはかけがえのない思い出を作るのだが……。
デビュー以来、数多くの映画に出演し、ＮＨＫ朝のテレビ小説「まれ」への出演で注目される若手男優・葉山奨之が初の映画主演を果たす。初主演映画『夏ノ日、君ノ声』は、高校生と難病の少女の、純粋で切ないラブストーリーだ。
葉山奨之が演じるのは高校生の哲夫。決して優等生ではないが根はまっすぐで明るい「憎めない悪ガキ」っぷりはまさにハマり役だ。ひたむきに恋をする哲夫の姿は、観客の心に強く訴えかけるだろう。
そして哲夫の恋の相手・舞子を演じるのは、16歳にしてすでに10年を越えるキャリアを持ち、海外の映画祭で主演女優賞受賞経験もある実力派美少女・荒川ちか。そのたしかな演技力で声を失っているという難役を見事にこなしてみせた。
さらに、哲夫の幼なじみ・ユカ役にファッション誌モデルとして人気で女優活動も活発な古畑星夏、舞子の母・喜代美役にＮＨＫドラマ「ふたりっ子」主演の菊池麻衣子ら、哲夫と舞子を取り巻く人々にも充実のキャストが揃った。また、14年後の哲夫を大口兼悟、14年後のユカを松本若菜が演じ、作品に一層の深みを与えている。
監督・脚本は、短編映画『後ろむきの青』が各地の映画祭で高く評価された神村友征。初の長編作品となる本作では、人を好きになることのあたたかさと痛みを、過去と現在を交錯させながら描き出してみせた。
期待の若手キャストが演じる瑞々しい恋模様が、夏の日の記憶のように眩しく輝く快作だ。
都会からは少し離れた、海の近くにある街。ひとりの青年が、かつて過ごしたこの街に久しぶりに戻ってきていた……。
高校生の戸上哲夫（葉山奨之）は、ケガをして病院に入院中。病院の中でひとり佇む少女（荒川ちか）の姿を見かけた哲夫はその少女に声をかけるが、少女はなにも言わず立ち去ってしまった。返事もなかったことに腹を立てた哲夫だったが、やがてその少女が生まれつき耳が聞こえず、口も聞けないことを知る。彼女の名前は、高代舞子。
哲夫と舞子は身振り手振りや文字を使って会話を交わし、少しずつお互いのことを知り、惹かれ合っていく。見舞いに来た哲夫の友人たちは舞子に対する哲夫の態度をからかうが、哲夫の幼なじみの森野ユカ（古畑星夏）は、ふたりの関係が気になってしまう。
しばらくしてケガの治った哲夫は退院するが、入院中に舞子と交わした約束を守って退院してからも毎日欠かさず病院を訪れる。哲夫に想いを寄せるユカの気持ちが舞子を傷つけることもあったが、哲夫と舞子の純粋でまっすぐな恋を舞子の母・喜代美（菊池麻衣子）や病院の看護婦も応援するようになっていく。
難病のため退院のめどが立たない舞子だが、誕生日には外出することが許された。舞子はずっと行きたかった場所に連れていってほしいと哲夫に頼み、哲夫は舞子を自転車のうしろに乗せてペダルを漕ぐ……。
14年後、大人になった哲夫（大口兼悟）は、懐かしい街で高校時代の記憶をたどる。そして同じように、ユカ（松本若菜）も14年前に想いを馳せていた……。
