昭和63年・秋。裁判官の鷲田完治（佐藤浩市）は、妻と息子を東京に残し北海道・旭川に単身赴任していた。結城冴子（尾野真千子）という被告人の覚醒剤事件の裁判を担当した完治は、裁判ののち、執行猶予となった冴子が働くスナックを訪れる。名字が変わっていたので顔を見るまで気づかなかったと告げる完治。冴子と完治は大学時代に恋愛関係にあった間柄だった。
それから完治は月に一度、冴子のもとを訪ねるようになっていく。やがて完治は２年間の北海道勤務を終えて妻子の暮らす東京へと戻ることになった。完治と冴子の月に一度の逢瀬も終わりを告げるはずだったが、完治は冴子と生きる道を選ぼうとする。しかし、完治に想いを明かされた冴子は、完治の前で自ら命を断った――。
平成26年。完治は釧路にひとりで暮らしていた。弁護士として法律事務所を開業してはいるが、国選弁護人以外の仕事は引き受けず、ただひっそりと生きている。
ある日、完治は弁護を担当した覚醒剤事件の被告だった若い女性・椎名敦子（本田翼）の訪問を受ける。執行猶予という判決に不満があるわけではなく、完治に人を探してほしいのだという。個人からの依頼は受けないと断る完治だったが、敦子は再び完治のもとを訪ねる。そして完治は、敦子の抱える孤独を知ることになる。
一方、完治は釧路地方裁判所の若い判事補・森山卓士（和田正人）が、25年前に別れてから会っていない息子の大学の同級生だと知る。森山から自分が知らない息子の「現在」を知っていく完治。
いま、完治と敦子は釧路の街でそれぞれになにを見出すのか――。
