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大きな愛くるしい眼。小柄だが妖精のような肢体。かわいらしい彼女は今、中年キラーといわれ、中年男性からヤングにと幅広く人気を誇っている女優である。 「天性のものがあり女優として生れるべくして生れてきた女優の一人」と監督の山田洋次は彼女をベタボメ。彼女が撮影現場にいると笑いが絶えず、山田組スタッフのかわいいマスコットになっている。 TBS水曜劇場「ムー」でデビュー以来5年、テレビドラマ、テレビCMでお茶の間では人気者の彼女、昨年は「悪霊島」そして「寅さん」に出演、ユニークな演技派女優のスタートをきった。 28作目公開の12月29日に21才の誕生日を迎えたばかり。 ← 誕生日と公開日が一緒というのは思い出深い記念作品になったかもね。 "寅さん"出演を心から喜んで、張り切っているのが岸本加世子。恒例の記者会見では、テレビで受けるあの快活な印象とは正反対、コチコチに緊張していた。中学生の頃初めてデートした時、その彼が連れていってくれたのが"寅さん"の映画だったというエピソードをもつ彼女。「寅さんに出演して家族みんながすごく喜んでいるんです。田舎の親戚なんか、大根やキャベツがとりたてだから、渥美さんにもっていけっていうんです。もーはずかしくって」と大はしゃぎ。 ← デートで寅さんというのは・・・う〜む、センス溢れる選択だネ(^^;) ![]() このパンフレットの裏表紙は主だった出演者が "もちつき大会(男はつらいよ・寅次郎紙風船 とらや一家もちつき大会)" をしているという、かなり珍しいイベントスナップが使われています。このイベントはこの作品の撮影中に大船撮影所で行われたそうで、この日杵を持った渥美さんは大満足だったとか・・・。この前作(浪花の恋の寅次郎(27作))からシリーズのレギュラーになったばかりの子ども時代の吉岡秀隆(諏訪満男役)くんの姿も確認できます。出演陣は左から前田吟さん、吉岡秀隆くん、下條正巳さん、太宰久雄さん、渥美清さん、倍賞千恵子さん、三崎千恵子さん。しゃがんでいる二人は音無美紀子さん、岸本加世子さんです。 実はこのように表紙に出演者の集合写真が使われているパンフレットというのは、シリーズでも数はごく少数しかありません。ほのぼのとした集合写真で寅さんシリーズらしいパンフレットなので個人的にはこの裏表紙がお薦めですね。 撮影に入る前に、出演者のスチール写真撮りが行われる。マドンナに決まった女優さんは早目に、ということで音無美紀子が初めて大船撮影所にやってきた。スタッフの一人が彼女に挨拶をし、ニッコリ笑うとその顔を見て彼女がプッとふき出した。「だって、四角い顔で寅さんにそっくりなんだもん。28作も続いているから、スタッフの方がみんなにてきちゃうのかと思って・・・。」一同大笑い。 ← これって助監督の五十嵐敬司さんのコトでは?(笑)
お次は当時の映画館などに置かれていたチラシです。『男はつらいよ』シリーズの特徴は2本だて興行、いわゆる併映作を第1作の公開から最終作まで同時上映で興行し続けたシリーズ映画ということです。私も含めて、おそらく多くの方が併映作も楽しみにしていたことでしょう。事実、第20作を越えた辺りから山田洋次監督や脚本家の朝間義隆さんはマンネリ化してきたシリーズの脚本に頭を相当悩ませたそうです。そんなことからか、『男はつらいよ』は「併映作の方が面白かった」なんて声も良く聞きます。ただ、この併映作というのが実はクセ者だったりします。というのも私も気に入った併映作が数多くあるのですが、プログラムピクチャであり且つ興行上の寅さんの引き立て役の性でしょうか?、これら併映作のほとんどが今となっては観ることも叶わない作品となっていることです。まったく残念なことですね。また、併映作でありながらシリーズ化した「ハナ肇の為五郎シリーズ」「ドリフターズの全員集合!!シリーズ」「吉幾三のプレスリーシリーズ」「釣りバカ日誌シリーズ」「サラリーマン専科シリーズ」など、これらの大部分は途中で打切られるなどしていつしか消滅してしまっています。唯一生き残っているのは渥美清さんの死後に一本化した西田敏行さんと三國連太郎さん主演の「釣りバカ日誌シリーズ」くらいでしょうか・・・。
話がそれましたが、第28作の併映作は山田洋次さんが原案・監修した日中合作の長編アニメーション映画『シュンマオ物語・タオタオ』です。この作品も今となってはほとんど観ることの叶わない作品の一つです。さて、この作品は『男はつらいよ』シリーズで唯一のアニメ作品であり、しかも、唯一の海外との合作というオマケつきだったりします。『シュンマオ物語・タオタオ』はジャイアントパンダのタオタオが主人公の物語で、1980年10月(昭和55年)から一年間かけて中国の天津で製作されたアニメーションです。ちなみに、この作品は山田洋次氏のアニメ映画初挑戦作品。アニメ監督は島村達雄氏ですが、実質的な監督として扱われているのは山田洋次さんのようです。 この作品の主人公タオタオは、生後一年も経たぬうちに母を射殺され、青年期を迎えた夏、捕らえられヨーロッパの動物園に送られる。 親切な飼育係に芸を仕込まれ人気者になるが、戦争による人間の生死、別離などの悲しみなどを味わい、平和が戻っても檻の中の日々が続き、望郷の思いを抱いて生涯を終える。 前半は大自然の中で、生き生きと躍動するタオタオ、後半は子供や大人たちの前で芸をする道化師のようなタオタオ―――。
注目すべきはこの『シュンマオ物語・タオタオ』には寅さん所縁の出演者が主要キャラクターの声優として参加していることです。倍賞千恵子、太宰久雄、大竹しのぶ、岡本茉莉の4人ですね。
この作品は、絵も心うたれるストーリーも、私にやり甲斐を感じさせてくれました。でも、声だけで表現するということは、とても難しいことだと思います。私自身も、本当に勉強になりました。 この頃、やはり海外合作のサンタクロースのトナカイを題材にした人形アニメーションで大竹しのぶさんが主役で声優をしていました。そのアニメでは西田敏行さんも共演していたのを覚えています。確か最初に西田敏行と大竹しのぶが「テレビの前のみんな元気かな?」なんて子供番組の司会者ノリで出てきたりするんですよね(^^;)。
このシナリオを読んだ時、私は胸が熱くなりました。故郷を思いながら、精一杯生きているタオタオがかわいそうでならないのです。そんなメアリーの気持ちが、タオタオに通じるように、と演じました。 ちなみに倍賞千恵子さんは声優として映画版「機動戦士ガンダム」のアムロの母親役で声優デビューして以来、手塚治虫の「ユニコ」「ジャングル大帝」と本作を含めて4作品に声優として出演していますが、準主役のキャラを演じたのはこの作品だけではないでしょうか。そういう意味では倍賞千恵子ファンには貴重かもしれませんネ。
約20年ぶりのアフレコの仕事でした。ひと言ひと言のセリフを、いかにアニメのキャラクターにマッチさせるかという難しさを、痛感しました。私の演じた園長が、どのように描かれているのか楽しみです。
映画『男はつらいよ』の旅芸人の娘で知られる。テレビアニメも『宇宙戦艦ヤマトII』など、多数出演している。 岡本茉莉さんは寅さんシリーズではレギュラー俳優だったのですがシリーズの中盤からは声優に転向しました。声優に転向するまでは、寅さんシリーズをはじめ山田作品の数多くに味のある脇役として出演しています。一番有名なのが寅次郎が贔屓にしていた旅芸人一座の娘・大空小百合役を演じたことです。岡本茉莉さんは、この大空小百合という同一の役どころで、計4回(8、18、20、24作)シリーズに出演しています。驚くことに、後の『男はつらいよ・幸福の青い鳥(37作)』では、この大空小百合が寅次郎のマドンナとして再登場することになります。しかし残念なことに、この作品では大空小百合役は志穂美悦子さんに引き継がれてしまいました。 人間は、パンダを虐待したわけではありません。むしろその逆に、人間の何倍も大切にあつかってきました。しかし、ヨーロッパの動物園には、パンダ―――タオタオの幸せはないのです。タオタオは、やはり中国の奥地、チンサ台地へ帰ることが幸せなのです。タオタオは、人間に愛されながらも、故郷へ帰りたいという願いも果たされぬまま、動物園でその一生を終わりました。 私は、この物語を"タオタオの悲劇"として作ったわけではありません。ここに悲劇を見るとすれば、それはタオタオに姿をかりた"現代に生きる人間の悲劇"なのです。 もともと、自然の一部として生れてきたはずの我々人間も、パンダと同じように、自由に、おだやかに生きていきたいと願っていると思うのです。だが、この現代の文明社会にあっては、人と人との競争、国と国、民族と民族の抗争の中に、自由に生きたいという願いは、押しつぶされようとしています。タオタオの悲しみは、人間の悲しみかもしれないのです。 人間にとって、本当の幸福とは、本当の自由とはなにかということをタオタオの生涯を通じて、訴えかけたいと願っています。 アニメーションをつくるということは、劇映画とはまた違った苦労もありました。しかし、アニメーション監督の島村氏をはじめ、日本と中国の大勢のスタッフ全員の昼夜をいとわぬ努力で、すばらしい作品になったと感謝しています。 ← アニメでもやっぱり山田監督らしいですね。 |