
「山田洋次の軌跡」連載第2回
第2話 「下町の太陽」
<概要>
前作「二階の他人」より3年の経過を経て、ようやく山田洋次にも第2作を撮る機会を得た。同期の大島渚と比べればあまりのスローペースである。しかしながらこの作品において山田監督は生涯の作品においてのヒロインを得ることになった。
倍賞千恵子その人である。
もともと、「下町の太陽」は賠償千恵子のヒット曲を題材として松竹より与えられた企画であったが、山田洋次はこの作品で提示したテーマを現在に至るまで(題材・時代は変わっても)追い続けているのである。
<ストーリー>
向島の下町に住む町子(倍賞)は貧しいながらも祖母・父・弟たちとけなげに生きていた。同じ工場で働いている恋人(早川 保)もいる。将来彼が社員試験に合格すれば結婚するかもしれない、と漠然と考えてもいた。町子の最近の心配といえば弟が不良になっていかないだろうかということ。実際、玩具屋で模型を友達と万引きしたりもしている。
ある時、町子は鉄工所で働く良介(勝呂 誉)と知り合う。彼は町子の弟を知っているという。こんな不良と弟がつき合っているとは、と町子はますます心配になる。
恋人が社員試験に落ちて、町子に八つ当たりするのを、恋人との違いを意識し出す。
対照的に良介と知り合ってみると、その好青年ぶりに町子は惹かれていく。
仕事に誇りを持ち、精一杯生きている姿に共感はするが、「おれとつき合ってくれ」という言葉にはウンというわけにはいかない。
恋人のライバルが人身事故を起こし、代わりに彼が社員に採用されることになった。その喜ぶ姿を見て、人を蹴落としてでものし上がろうとする行為に、町子は自分とは違う考えだとして結婚を断る。
一方どうしても町子のことがあきらめられない良介は思い切って町子に告白することにした....。
<解説のような感想>
倍賞さんのカワイイ姿は必見です。ってそれだけではどうしようもないか。
倍賞さんと勝呂のセリフがやたらと堅くて理想主義なのがチョット困る。
むしろその周りの人々の方が、主人公を浮き立たせるために現実的なセリフが多いのだが、バイタリティにあふれていて面白い。周囲の言葉に反発する倍賞千恵子を観ながら「えーい子供のようなことを言うなあ!」と感じてしまう。
町子と良介の関係は、その後の「男はつらいよ」のさくらと博とダブる。
または「息子」の長瀬と映見さん(ああ何で結婚しちゃったんだあ)にも通じている。
逆に言えば「男はつらいよ」を映画化するにあたって、山田監督は己の基本に戻ったのかもしれない。(だからTV版の博士が町医者だったのが、映画版で印刷工場の工員の博になったのかな?)
ちなみに東野英治郎と左ト全と藤原釜足はいい味だしてます。(^_^)
機関車も出てきます。(やっぱし)
「下町の太陽」から「男はつらいよ」へと発展していくには欠かせない部分がある。
喜劇である。
その喜劇的要素を見せるのは次作「馬鹿まるだし」なのである。
次回、第2話「馬鹿まるだし」に続く。(「サービス!サービス!」)
P.S. こんなんでいいのかな?よくわからんけど。
97/04/17(木) 23:16 KIYO(YRG02560)