ミハイルの寅さん鑑賞日誌
=
第6回 『男はつらいよ・純情篇(6作)』
=
1996.12.07
6作目を観ました、あと42作のミハイルです。
先が長いのは嬉しいなぁ(^^;)
いきなり空撮で始まるとは意表を突く出だし、柴又上空でヘリの影が 写るのも計算された(?)趣向なのでしょう。
帝釈天の画像が白黒TVの画面になり「周囲の発展から取り残された ような町柴又」という地元の人が聞いたら涙を流して喜ぶような殺し 文句....オイオイ(^^;)
この帝釈天から始まり、寅さんが観る旅先の食堂の白黒TVに写るさ くらと満夫からとらやの茶の間への繋がり、素晴らしいの一言です。 「男はつらいよ」って泥臭いどころか洗練されていますね。
九州でのエピソードにおける相手の弱みにつけ込まない、弱者に対す るいたわりや金銭的なみかえりを求めない姿は寅さんのダンディズム の真骨頂でした。
やはりヒーローは潔くなければいけません。
マドンナ夕子の登場シーンにおいて、オバちゃんが照れた拍子に雑巾 を顔にあててしまいハッと気がつくところも木目細かい演出で好みで す、それにしても「従姉妹の嫁ぎ先の主人の姪」ってのも凄い関係で すね。
とらやに戻って来た寅さんが喧嘩して「二度と帰ってこない」との舌 の根も乾かないうちから、マドンナ夕子とすれ違い躊躇するところに 登場したさくらに促されて再びとらやに「ただいま」それに合わせる オイちゃんオバちゃん、とても美味しいシーンでした。
夕子のお風呂(あそこにお風呂があるとは知りませんでした)に関連 したオイチャンと寅さんの喧嘩シーンも大いに盛り上がって良かった、 その後のさくらの忠告のシーンとの相乗効果でとても印象的でした。
博の独立騒動も楽しかったなぁ。
ヒロイン夕子も面白かったですね、寅さんをはなから相手にしていな いし、婉曲な言いまわしながら「No」と言うのも(寅さんに意が通 じないのも可笑しかったですね)、寅さんを観ていて別れようとして いた旦那を見直す行動も納得できる女性でした。
中途半端に寅さんに好意や憐れみを寄せるマドンナよりもこの手のマ ドンナの方が私の好みです。
この作品で強く意識した2点のうち一つはさくらさんの寅さんに対す る情の深さです。
源ちゃんや町中の人達の笑い者になっている兄の恋愛に対する理解と その無謀さが分かる故の忠告、夕子の迷惑も良く理解できる故の寅さ んへの憐憫の情感が溢れていました。
寅さんにマフラーを掛けるシーンなんて情感が画面から溢れていて素 晴らしかった。
もう一つの強く意識した点は「男はつらいよ」は良く練り込まれ、計 算された劇であるという点です。
とらやでの各シーンにおける登場人物の出入のタイミングも絶妙です。
「男はつらいよ」ってそのままでも十分舞台劇に出来ると思います。
また、この作品で印象に残ったのは博の独立騒動で登場したタコ社長 の生活です、そこには身につまされる零細企業の経営者の姿と逞しさ が良く表現されていたと思いました。
PS.
前作の望郷篇で寅さんの腕時計の文字盤が白に見えたのですが、当作 品では再び黒い文字盤に変わっていたようです。
先を急ぐミハイルでした。
Back...
Next...
目次へ...