寅さんワールド

1、『男はつらいよ』とは

 日本映画『男はつらいよ』シリーズは、昭和44(1969)年8月27日に記
念すべき第1作が上映され産声をあげ、昭和57(1982)年に公開されたシリ
ーズ第30作『花も嵐も寅次郎』で、世界一の長編映画の記録として、正式に
ギネスブックの認定を受けました。今年の8月4日に亡くなられた、主演・渥
美清さんの遺作となる平成7(1995)年公開の『寅次郎紅の花』は、シリーズ
第48作となります。

 映画『男はつらいよ』が生まれる直接の引き金になったのは、昭和43年1
0月3日〜44年3月27日までの半年間、フジテレビ系で毎週木曜日夜の1
0時から放映された、同名の連続26回の45分のテレビドラマが基になって
います。テレビ版の主演でもある渥美清さんと、テレビ版で脚本を担当した山
田洋次監督が打ち合わせの席上、二人が青春時代に見聞きしたテキ屋達のエピ
ソードを面白可笑しく話していた所にヒントを得て、この「フーテンの寅」と
いうキャラクターが創造されました。

 テレビ版『男はつらいよ』には、当初、「愚兄賢妹」というサブタイトルが
付いていましたが、当時、TBS系列で放送されていた山田洋次監督、渥美清
主演の人気テレビドラマ『泣いてたまるか』の最終回が「男はつらい」という
タイトルであったことと、その頃の北島三郎が唄うヒット曲「意地のすじがね
」の歌詞に「つらいもんだぜ男とは〜」という一節があったことから、『男は
つらいよ』というタイトルに決定されたそうです。
 テレビ版では、「愚兄賢妹」が示すように、兄と妹をテーマに映画版と役者
は違うものの妹・さくらをはじめ、おいちゃんやおばちゃん、隣の工場のたこ
社長、さくらの夫となる住み込み職工の博などと、東京柴又の団子屋「とらや
」主人夫婦の甥であるテキ屋の寅次郎との人情味あふれた絡みに、お茶の間の
人気を集めました。
 最終回で主人公である寅次郎が、奄美大島にハブを捕りに行って逆にハブに
噛まれて死んでしまった時には、テレビ局に抗議の電話が殺到し、その話を聞
いた山田洋次監督が自分の脚本で寅さんを死なせてしまったお詫びとして映画
を作ることを決意したそうです。
 このような経緯から映画『男はつらいよ(第1作)』は、山田洋次監督によ
って制作に着手され、昭和44年6月に完成しました。しかし、当時、松竹社
内ではテレビドラマを映画化することに反対の意向を示し、結局『喜劇・深夜
族』と併映という形をとることで、同年8月になってようやく放映されること
となりました。
 ところがこの第1作が予想外の大ヒットとなりました。松竹では、すぐさま
第2作の制作を決定したのですが、予想外の事態から脚本が間に合わずに第2
作は、テレビ版の脚本のほとんどを引用した作品となりました。同様に第2作
も大ヒットを記録し、第3作、第4作と慌ただしいスケジュールから山田洋次
監督以外が制作指揮をとることとなりました。
 この第3作、第4作は松竹側が作れ作れと急かしていたそうで、「フーテン
の寅次郎」というキャラクターの発案者である山田洋次監督自身が演出をする
余裕がなっかたと聞いています。
 それで、テレビ版の協力者でもあった二者が監督に代わって演出を担当する
ことになりました。『フーテンの寅(第3作)』では、第1作のシナリオの共
同執筆者である森崎東氏、『新・男はつらいよ(第4作)』では、フジテレビ
のプロデューサとして、テレビ版の演出と第2作のシナリオを担当した小林俊
一氏です。
 これらも勿論ヒットを記録したのですが、ただ、主人公であるテキ屋・寅次
郎を創造した山田洋次監督には完成した映画が自分の持つイメージと反する面
があったのでしょう。その後、総ての作品に自らが采配を振るうこととなりま
した。そうした経緯から制作された『望郷篇(第5作)』は、シリーズ続投の
基礎となる明確なテーマとパターン化した内容の定着を決定付けた作品となり
、それまでにない大ヒットを記録したのです。
 また、翌年末に公開された『寅次郎恋歌(第8作)』では、それまで100
万人に満たなかった観客動員数を、一気に150万人という大量動員を果すき
っかけとなり、以降の人気を不動のものと決定づけたのです。これをきっかけ
として『男はつらいよ』シリーズは、以来、盆と正月の二回興行されることと
なり、その後のシリーズの驚異的な続投が続くことになりました。

=============== テレビ版『男はつらいよ』出演者一覧 ================
    (仁木英彦氏、佐藤利明氏作成を参考に改変致しました。)

演出:小林俊一・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・『新・男はつらいよ』監督
脚本:山田洋次・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第1〜2作、第5〜48作監督
車寅次郎/渥美清・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第1〜48作に同名主演
車竜造(おいちゃん)/森川信・・・・・・・第1〜8作に同名出演
 つね(おばちゃん)/杉山とく子・・・第5作に豆腐屋のおかみで登場
さくら/長山藍子・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第5作にマドンナ・節子で登場
雄二郎(寅の弟)/佐藤蛾次郎・・・・・・・第1〜48作に寺男の源公として登場
坪内散歩/東野英治郎・・・・・・・・・・・・・・・第2作で同名登場
坪内冬子/佐藤オリエ・・・・・・・・・・・・・・・第2作にマドンナ・夏子で登場
諏訪博士(ひろし)/井川比佐志・・・・・第5作にマドンナ・節子の恋人で登場
鎌倉(さくらの恋人)/横内正・・・・・・・第3作で春子先生(栗原小巻)の恋人
登/津坂匡章(現:秋野太作)・・・・・・・・第1、2、4、5、9、10、33作に同名登場
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           ◆ひろぽん(^-^)/VYA01323◆
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