
2、『男はつらいよ』シリーズの面白さ
「放浪」や「旅」をテーマとするロード・ムービー『男はつらいよ』シリー
●『男はつらいよ』人気を支える要素●
その二、
その三、
その四、
その五、
など、登場する人物が皆、何か知っている人達のようでいて懐か
『男はつらいよ』の面白さは、観た人によって千差万別だと私は思っていま
◆ひろぽん(^-^)/VYA01323◆
ズの人気は、主人公の車寅次郎が行く先々で知り合う人々や寅次郎の周りの人
々との人情味あふれるふれあいであると言えます。自由人である寅次郎に対し
て、我々企業や社会的なしがらみに束縛されている者にとっては、ある種の憧
れを感じずにはいられません。また、作品の世界が東京の下町であり、我々が
無くしてしまった懐かしさを感じさせてくれます。作品の中で出て来る会話は
毎回タイムリーな話題であり、出演者が作品と共に成長していく様子と共に、
このごく普通の家庭や普通の人々を中心に進行する話しは、私達にとって共感
を覚えさせます。寅次郎役の渥美清は、この26年間をほとんど『男はつらい
よ』シリーズに絞って出演し、彼の誠実さと合間って寅次郎の人柄が形成され
ていることも重要でしょう。つまり、『男はつらいよ』とは作品の構造自体が
国民生活に根付いた内容なので安定した供給が可能となっているのです。
その一、
記念すべき第1作となる『男はつらいよ(1969)』から定着する
主人公・車寅次郎とマドンナとの恋愛の話しは、毎回「次のマド
ンナは誰だ」などと新聞紙上を賑わすほどに本作品の興行収益を
支える一端となっていると言えます。毎回、その年の旬の女優が
選ばれることもあって人気を支えています。
作品中の人物がタイムリーな話題を話すことなどによって、我
々視聴者と同じ時を過していることを知ります。これが、生き生
きとした会話や台詞を産み出す結果となっています。
シリーズですから当然、全作品を通じて話しは繋がっています。
マドンナが時代を経て再登場したり、寅次郎の甥の諏訪満男の成
長や脇役の人々が作品の所々に再登場するのは、粋な計らいでは
ないでしょうか。懐かしさを覚えずにはいられません。
旅先の美しい景色は我々にノスタルジーを喚起させます。
そのロケの誘致が毎回の話題でもあり、日本のみならずブラジ
ルやオーストリアからも依頼が来ているそうです。
どんなに遠くても、病人などを気遣って寅次郎がすぐ駆けつけ
るさまは寅次郎の人となりを物語っています。この人情味あふれ
る行動や誠実さを感じさせる行為・言動には心が和みます。
寅次郎という人物の定着は、テキ屋をしているそんな寅次郎が
自然に振る舞う様子だけで我々に自然な笑いを提供してくれます。
また、寅次郎を取り巻く人々も人生についてそれぞれテーマを持
っているので、生き生きとした自然な会話が楽しめます。
しさを感じさせてくれますし、自分や周りで起こっていることの
ように錯覚する内容が人気を支える土台になっているのでしょう。
す。私の場合は、全作品を通じて話しが繋がっているというものです。
第48作が公開されたことによって、もう26年以上も続けられている長い
シリーズですから、当然話しのコアとなる人物達の性格は作品を通して一貫し
ています。特に主人公である寅次郎の甥にあたる満男は、第1作目で誕生し、
小学生、中学生、高校生、大学生と回を重ねるたびに成長して行き、第47作
では靴のメーカーに就職し立派な社会人となりました。また、学生の頃はまだ
何をするにも親や寅次郎に甘えている節があったものの、最近公開された第4
2作『ぼくの伯父さん』、43作『寅次郎の休日』、44作『寅次郎の告白』
、45作『寅次郎の青春』、48作『寅次郎紅の花』と続く、満男の恋愛を軸
としたミニ・シリーズでは、満男が葛飾高校の後輩である及川泉(=後藤久美子
)に恋をするという、2人の若者が大人へと成長していく姿が主題となっている
ため、その精神的な成長ぶりは『男はつらいよ』シリーズ中随一かもしれませ
ん。
Copyright by H.Hirai/1996.09.18
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