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『映画監督って何だ!』完成披露記者会見レポート・2

 『映画監督って何だ!』では、熊井啓監督が1958年の田坂具隆監督作『陽のあたる坂道』における監督と会社の対立について振り返るなど、多くの監督が、映画監督の著作権に関して自らの体験や考えを述べています。会見では、熊井監督はじめインタビューパートに出演する3人の監督があいさつをおこないました。

『映画監督って何だ!』インタビュー出演:熊井啓監督
ぼくも40数年監督をやっていますけど、著作権に関わるいろいろな問題、ずいぶんありました。ひとつずつにつきましてお話しすると大変なことになります(笑)。まだ私も現役の監督でございますからグッと抑えて(笑)、映画の著作権について非常に意義、本質について田坂(具隆)先生が大変いい話をしてくださいました。それを記憶しておりまして、それをフィルムに収めてまいりました。
『映画監督って何だ!』インタビュー出演:佐藤純彌監督
私は監督協会に属してもう40数年経ちますけども、あまり協会の行事に参加できなくて忸怩たる思いをしていたんですけど、たまたま『男たちの大和』の音楽録りのときに伊藤俊也くんの撮影の時期とぶつかりまして「音楽録りの風景を撮らせてくれ」ということで、今まで何も参加してこなかったことのお詫びを少しはできるかなと思って参加させていただきました。映画音楽の作曲に関しては作曲家が著作権を持っているわけですね。だが映画に関しては監督は著作権がないという不思議な現実をまた改めて考えさせられました。
『映画監督って何だ!』インタビュー出演:降旗康男監督
(「ユニークな監督論を展開している」という梶間監督の紹介を受けて)インタビューだと言うので、何十人目か、少なくとも十何人目だろうと思いまして、変わったことを言わなきゃいけないなと思って努力したんですが、なんか3人か4人目だったらしくて、今は大変反省しております(笑)。でも、作り事ではなく、本音のことを話しております。この映画を観てくださることで、我々の運動が広がっていければいいなと思っております。

 『映画監督って何だ!』の音楽を担当しているのは音楽家であると同時に『魚からダイオキシン』などの監督で、映画監督協会員である宇崎竜童監督。映画のタイトルを織り込んだユニークなラップ調の主題歌(作詞は伊藤俊也監督)も歌っています。

『映画監督って何だ!』音楽担当:宇崎竜童監督
何年前でしたか、監督協会に会員として入れと。たぶん会費がひとりでも多くなった方がいいという理由だと思いますけど(笑)、推薦してくださったのが崔洋一監督と高橋伴明監督。今回、このふたりが「70周年の『映画監督って何だ!』という映画の音楽をぜひ」と依頼というか脅しにいらっしゃいまして、今、ここにできあがったから良かったんですけど、こんなに難しいメッセージを持った映画だとはそのときは思いませんでした。
 映画の音楽も何本かやらせてもらっておりますから、監督の注文に従って音楽を書けばいいんだなと軽く考えておりましたが、まず最初に伊藤監督がワープロに打った歌詞がもうできあがっておりまして「これが主題歌。まずこれを作るように」と。ラップっていうのはいろんな語呂合わせが言葉合わせのようになっていて、この作詞も映画の題名をもじっていて読み上げたときとても面白かったんですが、音楽的にはあまり韻を踏んだりとかしておりませんのでメチャメチャ作りにくい。生まれて初めてこんな作詞をいただきました(笑)。それで誰かが歌ってくれるならまだいいんですけど自分が歌うことになって、デモテープというのを作りまして伊藤監督に聴いていただいたら、非常に喜んでいただきました。
 そして去年の12月から今年の1月の末まで、ほとんどほかの仕事はできずに、この映画の音楽の仕事だけ携わってまいりました。この主題歌ももう一度歌い直さなくてはならない。プロを使ったいい音で、歌も高橋伴明から「もうちょっと熱を持って歌え」と言われたので、その注文にも従って歌い直して「よし、これでいいだろう」と思って伊藤監督にお渡ししましたら「デモテープの方がいいね」と言われて、結局デモテープを使うことになりました(笑)。
 いろんな苦労が映画の音楽を作る段階であります。それでもたくさんの人に観ていただいたり、たくさんの劇場で公開されたり、果てはビデオになれば、私は著作権があるのでお金になるのですが(笑)、ぜひとも、これを機会に映画監督にも著作権が獲得できるようになればいいなと願っております。

 『映画監督って何だ!』の趣向のひとつとして、「監督によって台本がどれだけ変わるか」を示すために、3人の監督が五所平之助監督の『煙突の見える場所』のワンシーンを劇中映画としてリメイクしています。その劇中映画の監督をつとめた林海象監督と本木克英監督は次のようにあいさつしました。

『映画監督って何だ!』プロデューサー・B監督:林海象監督
最初は俳優ですごく出たかったんです。ぼくはプロデューサーもやっていまして、伊藤さんとずっと一緒にいたんですけど全然キャスティングしてくれないんですね。阪本(順治)とかは花魁とかやっててすごくうらやましかったんですけど、このままでは何もできないと思いまして、A・B・C監督のひとりをぜひやらしてくださいってことで、伊藤さんにお願いしてやらさせていただきました。趣旨はですね、監督が撮ると脚本がいろんな風に変わると。その監督の意向によって変わっていくっていう趣旨で(鈴木)清順さんが受けられましたんで、まず清順さんが何をお考えになっているかなと思ってメモを見せていただきましたら「赤いカスタネットが2個」って書いてあるんですよ。「ええ? 『煙突の見える場所』なのになあ」と思いまして、相当変えないとダメだなと思いまして、一生懸命、内容は意図は踏みながらも変えて撮ったつもりです。そこも楽しみにしていただければと思います。
 あと、この映画は監督だけが出たわけじゃなくて、小泉今日子さんほかプロの俳優さんたちにも出ていただいております。プロデューサーをやっていて小泉さんと出演交渉したときに小泉さんがおっしゃった言葉がすごく思い出されるんです。「通常の映画だったら私はこの映画に出ない。この映画の意図に賛同するので私はこの作品に出演させていただきます。同志として出ます」ということをおっしゃっていましたので、それを付け加えてあいさつに代えさせていただきたいと思います。
『映画監督って何だ!』C監督:本木克英監督
私が京都で違う作品を撮影中に「『煙突の見える場所』のワンシーンを3人の監督が撮るんだけれども、3人目をやって欲しい」という連絡が伊藤俊也監督からありまして、伊藤監督にはかつて助監督でついたこともありまして、断れずにやらせていただきました。鈴木清順監督と林海象監督はシナリオを相当変えて撮られるだろうなと思いましたので、私は極めて台本に書かれているとおりに撮ったつもりです。先日オールラッシュを見せていただいたんですけど、我ながらちょっとふがいない思いをしまして、もっと粘ればよかったなと、今は反省の気持ちでいっぱいです。どうぞ楽しんでください。

 劇中映画の監督のあいさつに続いては、監督協会を攻撃するプロデューサーを演じ「あまりに説得力があるので問題があるのではないか」と梶間監督が評する緒方明監督ほか、俳優として参加した監督陣があいさつに立ちました。

日本著作権協会・国塩耕一郎役:栗山富夫監督
私はちょうど出演依頼があったときは引きこもりの時期でありまして「嫌だ」と梶間監督に言ったら、役が茨城弁でなくてはダメだというんですね。梶間さんも茨城出身なので「梶間さんご自分でおやりになればいいじゃないですか」と言ったら「私は忙しい」と。そして駄目押しのように「キョンキョンと2ショットになるんだぜ」と、ついフラフラと考え直しました。キャメラに収まりにくい顔をさらしております。
著作権課長役:大森一樹監督
著作権課長は関西人であったという歴史的事実があったのかどうか知りませんが「とにかく関西弁で喋れ」と伊藤監督に言われまして、汚い関西弁で喋っております。できあがった映画を観て、ほかの監督さんは著作権について大事なセリフを言ってらっしゃるんですが、ぼくのところはいらないんじゃないかなという風に思うんですが、いち出演者が監督に「いらないだろう」と言うのはとても問題があると思いますので、そんなことを言う俳優は嫌いですので引き下がりました(笑)。今でも自分のところはいらないと思っておりますが、そこのとこを観てください。
新米監督役:望月六郎監督
新米監督という役をやれと言われまして、ぼくは48歳なんで「それはちょっと勘弁してください」と3回ほど断らせていただいたんですけど「いや、新人じゃなくて新米だ」ということで、監督からぜひやれと言われて、軽く見えるということなんだろうなとわかりまして、撮影では一生懸命やりました。俳優としてできる限りのことはやろうと思ったんですけど、監督の「OK!」の言葉を聞いていて非常に気持ち良くなってきて「ああ、映画監督ってすごいな」とか思ったりしました(笑)。そういうことで、これからみなさん(俳優として)使ってください、お願いします(笑)。
参議院文教委員会映連側参考人・映画会社プロデューサー藤本真澄役:緒方明監督
こう見えても私は監督協会ではまだ新米になりまして、この中ではぼくが一番協会の歴史が浅いです。そのわりに大プロデューサーを演じまして、しかもあんまり言いたくないんですが、成瀬(巳喜男)監督とか黒澤(明)監督のプロデューサーだった大プロデューサーを「著作権に立ちはだかる壁として憎々しげにやってくれ」と言われまして「『トラ・トラ・トラ!』の黒澤明くんは」なんてセリフを言わされまして、非常に怖いです(笑)。ぼくのところはあんまり突っ込まないでください。よろしくお願いします。

 会見の最後にあいさつに立ったのは、インタビューに応えて参加してる山際永三監督。映画で話している監督と著作権の問題についての意見をまとめ、会見を締めくくりました。

『映画監督って何だ!』インタビュー出演:山際永三監督
今、いろんなかたちでみなさんが監督の著作権ってことを言ってくださっているんですが、映画監督の著作権というのはなかなかややこしくてですね、単に印税、お金の問題だけじゃなくて、大勢のスタッフと一緒になってやる、その先頭に立ってやる監督の、いわば誇りがかかっているわけです。この著作権がないんじゃ監督としてやってられないというようなところがありましてですね、緒方さんのやられた藤本プロデューサーもなかなかうまいことを言って、監督には著作権がなくていいんだ、ということを述べたんですね。それに対して私は藤本さんの論理を逆手に取ればこうだっていうようなことを言ったわけで、この論議っていうのは非常に面倒ないろんな話に展開していくわけです。ですから、映画監督の著作権というのが日本の文化に大きく影響する、そういう出来事なんだということを、ぜひみなさんご認識いただければと思います。

 まさに日本映画監督協会が総力をあげて製作した『映画監督って何だ!』は、2006年の映画シーンの中で話題となる作品であることは間違いありません。
 『映画監督って何だ!』は3月2日と19日に京都文化博物館で、3月24日に東京の新文芸座でそれぞれ特別上映されます。このレポートをご覧になって少しでも『映画監督って何だ!』という作品に興味を抱かれた方は、ぜひ会場に足を運んでいただければ幸いです。


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