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『スピードマスター』蒲生麻由さんインタビュー

蒲生麻由さん写真 かつて無敵の走り屋として名を馳せながら、ある日を境に走りを捨てたひとりの男。しかし、1台のチューンナップカーとの出会いにより、彼は再びカーバトルの世界へと飛び込んでいく……。
 チューンナップされた日本車のカーバトルを描いた映画が世界中から発信される中、日本から満を持して登場するカーアクション・ムービー『スピードマスター』。独特の映像センスで定評のある須賀大観監督がメガホンをとったこの作品は、VFXを駆使した迫力のカーバトルシーンに加え、個性的なキャラクターたちが繰り広げるドラマも魅力のひとつです。
 その中でもひときわ鮮烈なイメージを残す女性レーサー・大道寺リオを演じているのが蒲生麻由さん。ピンクのフェアレディZを駆り、クールな主人公・赤星颯人や、狂気のレーサー・黒咲勇弥と渡り合う、紅一点の危険な走り屋。そんなデンジャラス・クイーンの素顔に迫ってみました。

蒲生麻由(がもう・まゆ)さんプロフィール

1982年埼玉県生まれ。ティーン雑誌のモデルとしてデビューし、その後、テレビドラマ、CM、映画へと活動の幅を広げる。2004年に映画『D.P』(千葉誠治監督)に出演し高い評価を受ける。2005年にはテレビシリーズ「仮面ライダー響鬼」にレギュラー出演。また、2004年、2005年にはホノルルマラソンに出場し、完走を果たすという意外な一面も持っている。出演作『少林少女』(本広克行監督)が2008年公開予定。

一番こだわったのは目の演技

―― 今回の作品では、普段の蒲生さんとはイメージの違う役を演じられていますね。

蒲生:最初にホン(脚本)を読んだ段階で、すごいカッコいい女性の役だと思ったんです。それは私がやってみたいキャラクターのひとつでしたし、自分がそれをやりこなせるだろうかという挑戦の気持ちもあって、ぜひ参加させていただきたいなと思いました。私も、リオとレベルは違いますけど車を運転するのが好きなので、リオに自分と同じような要素を感じることはできましたし、それを表現できればいいなと思っていたんです。でも、そのときは全身ピンクの格好で、金髪で、つけまつ毛を2枚するとは思っていなかったですね(笑)。衣装合わせのときに部屋に入ったら、ラックにあの衣裳がかかっていたんです。私のほかには女の子は北乃きいちゃんしかいないんですよね。それで、どう考えてもこの衣裳ははきいちゃんじゃないだろうし、じゃあ私の衣裳なんだろうなって(笑)。「えっ、これ?」みたいな驚きはありましたね(笑)。

―― そういう個性的な役を演じる上で、特に意識されたのはどういう点でしょうか?

蒲生:口数が多い役ではないので、その中でどうやって存在感を出すかってことを考えました。動きとか、一番こだわったのは目線というか目の演技ですね。衣裳に負けてはいけないのと、作品の世界観が独特なので、普通すぎると世界観の均衡を崩してしまうんですね。だからブッ飛んじゃっている感じを表現したいなと思いつつ、人として薄っぺらい表現にはならないように気をつけていました。

―― 須賀監督から「こういうイメージで」という、お手本みたいなものはあったんでしょうか?

作品スチール

『スピードマスター』より、蒲生麻由さん演じる大道寺リオ。ピンクのコスチュームに身を包み、チューンナップされた鮮やかなピンクのフェアレディZを駆る

蒲生:監督からは『ブレードランナー』(1982年:米/リドリー・スコット監督)のプリス(演:ダリル・ハンナ)みたいな感じなんだって言われていました。「蒲生ちゃんがこういう役をやったらはまるよ!」って言っていただいて、DVDを観たんですけど、向こうは外人さんじゃないですか(笑)。だから、どうやって私らしいリオにするかっていうのも悩みましたけど、実際は役って現場でどんどん変わっていくものなんですよね。周りとのバランスを保ちつつ「こういうのはどうか?」っていうアイディアをみんなで出しあって、大道寺リオという役ができあがったと思っています。

―― そのリオのキャラクターと同様に、愛車のフェアレディZも鮮烈なイメージですね。

蒲生:あの車は実際にオーナーさんがいらっしゃるんですよ。ほかの車は映画のために作っているんですけど、リオのフェアレディZだけは、すでにあった車をお借りしていて、衣裳も車に合わせて決まったくらいなんです。最初に見たときは衣裳と同じでちょっとビックリしたんですけど、演じているうちにどんどん愛着が沸いてきて、撮影が終わるときには「記念撮影していいですか?」みたいな感じになりました(笑)。実際のオーナーさんは男性の方なんですけど、すごく細かいところまでこだわっていらして、内装もすごく素敵で、スイッチひとつにしてもすごく凝っていますし、シートも包まれる感じですごくいいんです。撮影中に「ちょっと車の中で待っていてください」っていうこともあったんですけど、勇弥や颯人の車は余分なものが全然なくて、シートもレース用なので、すごく窮屈そうだったんですね。でも、フェアレディZは革張りのシートですごく座り心地がいいんで、私は「あ、もう全然待ちます」みたいな(笑)。

―― 車に乗っているシーンは、スタジオで撮影して、あとで合成やCGなどを加えたシーンが多いようですね?

蒲生:リオが乗っているシーンに関しては全部スタジオ撮影ですね。スタジオの限られた空間でいろいろな方向から撮らなくてはならないじゃないですか。だからカメラマンさんも狭いところに入ったり、すごい工夫をしながら撮影していたんです。それからトンネルの明かりが過ぎていくのを表現するのに、照明さんが手動でライトを動かしているんですよ。私が車に乗っていると照明さんがすごく頑張って動かしているのが見えるので「こうやっていろいろな方が頑張ってひとつのシーンができるんだな」ってちょっと感動しましたね。それから、走っている車を走っているように見せなくてはならないので、カメラが代わりに動くんですよ。レースのスタートのときも、私もスタートの衝撃がかかっているようにバーンってやるんですけど、プラスして撮影の方もカメラを揺らしててリアルな揺れを作ったりとか、そういう細かいところにもすごくこだわっているんです。仕上がりにはそれが全部反映されていますし、CGのクオリティがかなり高いので、迫力あるシーンになったと思います。

―― さきほど「車を運転するのが好き」というお話がありましたが、撮影でフェアレディZに乗った感想はいかがですか?

蒲生:私は自分では車は持っていないので、親や友達の車か、レンタカーを借りてドライブするんです。車高が高い4WDの車が好きだったんです。でも、実際に走ってはいないですけど、この撮影でフェアレディに乗って、こういうのもすごくいいなって思えるようになりましたね。もし貰えるならぜひ貰いたいですね(笑)。勇弥とか颯人の車だったらちょっと考えちゃうかも知れないんですけど、フェアレディはすごく欲しいです。今まで好きなタイプの車とは違うんですけど、自分の知らなかった趣味を開花させてくれたかもしれないです、『スピードマスター』は。

リオはきっと「型にはめる必要がないじゃん」って考えている

―― リオは内田朝陽さんの演じる勇弥とふたりのシーンが多いですね。

蒲生:朝陽くんはすごく引き出しが豊富なので、どんどんいろんなお芝居が出てくるんですね。私もそれにいい意味で引っ張っていただきました。朝陽くんは、台本とは違うことをするんですよ。それは、台本に書ききれない部分、台本には表現されていない部分をすごい細かく表現しているんです。なので「ああ、そうくるのか」みたいな感じで「じゃあ、私はこういうふうにしたほうがいいよね」とか、監督も一緒に「ここはどうしようか」みたいな話はしましたね。監督もどんどん朝陽くんの引き出しの多さにハマってきちゃったんですよ。私もそこに一緒に絡めたのは、すごくいい勉強になったなと思いますし、私自身もこのおかげでいくつか引き出しが増えたなと思いました。

―― リオと勇弥の関係って、映画の中でははっきりと示されてはいませんが、蒲生さんはふたりの関係をどう捉えていましたか?

蒲生:最初は、ふたりは恋仲なのか、そうじゃないのかということをけっこう考えていたんです。恋仲なのなら、リオが勇弥を好きなのか、勇弥がリオを好きなのかとか。だけど、役を演じているうちに、だんだんそれがどうでも良くなってきたんです。なんでかというと、リオはきっと恋愛感情だとか友達だとか「型にはめる必要がないじゃん」みたいに考えているんだと思ったんです。勇弥との間には、人と人としての信頼関係が根底にあると思うので、それを表現できれば、それがLOVEなのかLOVEじゃないのかっていうのは、リオにとってはどうでもいいんだと思ったんです。

―― 車という、共通の趣味だけで繋がっているみたいな関係ですか?

蒲生:もちろん車が好きという共通の部分が根底にあると思うんですけど、きっとそれ以外でも価値観が一緒なんですよね。“ウマが合う”じゃなくて“車が合う”(笑)。「あんたイケてるわ。でも、アタシもアンタには負けないわよ」みたいな感覚だと思うんですよ。

―― 蒲生さん自身は、そういう恋愛じゃない男女の関係というのに共感する部分ってありますか?

蒲生麻由さん写真

蒲生:ありますね。私は昔から仲のいい男の友達がいたりして、男女の友情はあり得ると思うんですね。リオみたいに男の子のグループの中に女ひとりでいたこともありましたし。女の子同士で遊ぶのも楽しくて好きですけど、男友達から得られる価値観というのは私の中にないものだったりするので、すごく面白いんですよね。男性同士の友情ってすごいシンプルじゃないですか。面白ければ一緒にいるし、気に入らないことがあればぶつかり合いもあるけど、根底では信頼関係でちゃんと繋がっているみたいな。だからそういう部分ではリオの気持ちがすごくわかるし、恋愛とは別個の距離感というものを、映画の中で感じていただけたらなって思います。

―― 勇弥の実家のシーンは、勇弥とリオに加えてほかのキャラクターも加わって、印象深いシーンになっていますね。

蒲生:すごいですよね、ナイフも飛んだりするし(笑)。勇弥の手下もいろいろなキャラの方がいましたけど、リオは途中までは後ろのほうで話を聞いているだけみたいな感じなんですね。だから、ほかのみなさんがいろいろやっているのを一歩引いて見られたのがすごく面白かったです。すごく空間自体ができあがっていたので、リオという役を演じる上でやりやすい環境を作っていただけたと思います。

―― あの部屋は、作品全体の雰囲気作りにも重要な役割を果たしていますよね。

蒲生:ほんとに異空間ですよね(笑)。あそこにずっといたらおかしくなっちゃうんじゃないかというくらいの空間ですけど、それに負けないくらいキャストの方のキャラクターもちゃんと引き立っていると思いますし、空間とキャストがぶつかり合ってもいないと思うんです。ひとつの世界ができていますし、そこに外の存在である颯人が入ってきて、勇弥のお父さんや勇弥と絡んだときにも、全然違和感がなくて、世界が壊れていないんですよ。その絶妙なバランスはすごいなと思いましたね。ほんとにあの部屋は、いろいろなところひとつひとつにこだわっていて、観るたびに新た発見があるのと思うので、ぜひ1回だけじゃなく、2回3回と観て欲しいです。

―― 最後に『スピードマスター』以降のお仕事について聞かせてください。

蒲生:柴咲コウさん主演の『少林少女』という、ラクロスと少林拳の映画を撮影していて(※6月時点)、それが来年公開になります。それから、今年の12月に逗子湘南ロケーション映画祭で上映される『青い魚』という短編映画に主演で出ていますので、そちらも観ていただきたいです。

(2007年6月15日/ショウゲートにて収録 メイク:林みどり)

作品スチール

スピードマスター

  • 監督:須賀大観
  • 出演:中村俊介 内田朝陽 北乃きい 蒲生麻由 ほか

2007年8月25日(土)より池袋シネマ・ロサほか全国ロードショー

『スピードマスター』の詳しい作品情報はこちら!

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