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『平凡ポンチ』佐藤佐吉監督インタビュー

佐藤佐吉監督写真 才能はあるがチャンスに恵まれない自主映画監督・真島アキ。念願の商業作品デビューが幻と消え失意のアキの前に現われたのは、アキの作品のファンだという女優志望の美少女・鰐淵ミカ。やがてある事件をきっかけに、ふたりは逃避行を続けながら“猛毒のドキュメンタリー”を撮影しようとする……。
 人気マンガ家・ジョージ朝倉さんの原作を映画化した映画をめぐる純愛ロードムービー、それが『平凡ポンチ』です。原作者からの指名を受けてこの作品のメガホンをとったのは、監督、脚本家、俳優といくつもの顔を持つ日本映画界の奇才・佐藤佐吉監督。長編2作目となる本作では、自ら主人公の真島アキも演じています。
 “映画監督・佐藤佐吉”が“映画監督・真島アキ”を演じることによって、『平凡ポンチ』には映画と現実の境目を超えたなにかが確実に息づいています。その“なにか”とは果たしてなんなのか。答えはきっと、佐藤監督自身の言葉の中にあるに違いありません。

佐藤佐吉(さとう・さきち)監督プロフィール

1964年生まれ、大阪府出身。脚本家として『金髪の草原』(1999年/犬童一心監督)、『殺し屋1』(2001年/三池崇史監督)、テレビシリーズ「オー!マイキー」(2002年〜/テレビ東京/石橋義正監督)などを手がけ注目を集める。オムニバス映画『最も危険な刑事まつり』の1編『ウルトラマソ刑事』(2003年)で監督をつとめ、2005年に『東京ゾンビ』で長編監督デビューを果たす。2007年には企画・プロデュースを手がけたオムニバス映画『そんな無茶な!』が公開された。
また、俳優としても『キル・ビル Vol.1』(2003年/クエンティン・タランティーノ監督)、『アカルイミライ』(2003年/黒沢清監督)、『アフタースクール』(2008年/内田けんじ監督)など多くの作品に出演している。

「自分のやりたいことだけをやっていく映画にしようと考えて、やっと前に進めた」

―― 『平凡ポンチ』は原作者のジョージ朝倉さんから佐藤監督にご指名があったということですが?

佐藤:ジョージさんとは前から面識はありまして、ジョージさんはぼくの携わった映画をずっと観てくださっていたんです。中でもぼくが脚本を書いた三池崇史監督の『極道恐怖大劇場 牛頭』(2003年)を「平凡ポンチ」の連載を始めるころにご覧になっていて、「平凡ポンチ」をどういった雰囲気の作品にしていくか考える上で参考にしていただいたらしいんですよ。それで映画化の話が持ち上がったときに、ジョージさんから「第一候補として佐藤佐吉さんにお願いできないか」という話があって、それがそのままぼくのところに来たかたちですね。ぼくとしてはジョージさんからのお話ですし「ぜひ前向きに」ということで、まず原作を読んだんですけど、どこが『牛頭』を参考にしたのかわからない(笑)。むしろ『牛頭』よりメチャクチャなマンガで、最後まで読むとすごい深い話だったんで「さあどうするのか」というところから始まりました。

―― 原作は映画についてマンガで描いているわけですよね。それを映画にして映画を描くというのは、かえって難しい面があったのではないでしょうか?

佐藤:完全な立ち往生でしたね。まともに考えると、マンガだからこそ成立できている世界であって、それをどう映画化するのかと理屈で考えるとまったく太刀打ちできないんです。それでも最初のころはなんとか太刀打ちできるように頑張ろうとしたんですけど、結局シナリオがいびつなものにしか仕上がらなくて、まったく方向を見出せなかったんです。そのときにプロデューサーから「そんなに悩まずに、好きな人が観に来てくれる映画でいいじゃないですか」という話があって、それですごく肩の力が抜けたんですよ。この映画はジョージさんのファンとか、その時点では誰になるか決まっていなかったんですけど主演の女優さんのファンとか、いるかどうかわからないけどぼくのファンが観にきてくれればいいんじゃないかって。たぶんジョージさんだってそんなに深く考えずに、自分の奥底にある得体の知れないものをどんどん吐き出すような感じで描いていらしたと思うので、ぼくも原作をリスペクトしつつも、自分のやりたいことだけをやっていく映画にしようかなと考えて、やっと前に進めたという感じでした。

―― では、脚本もかなり改稿を重ねられたんでしょうか?

佐藤:大きくは2回ですね。第1稿はかなり原作に忠実にやっていたんですけど、忠実にしようとすればするほど変なものになっていくんです。やっぱり映画って2時間で見せきらなきゃいけない部分もあるし、そこに得体の知れないものを詰め込んで「ハイどうぞ」って見せても、誰がどう面白がってくれるのかなって。それで、2008年の1月ころに、いまお話したプロデューサーの助言があって、2稿目で自分のやりたいことを1回集約できたんです。でも、そのバージョンをジョージさんに見せたら「原作と違っていいですね」というありがたい言葉をいただきつつも「まだ佐吉さん遠慮しているんじゃないんですか? もっと原作を無視してやりたいことをやってもらっていいですよ」という話になって、さらにそこを突き詰めていったんです。結果的に、細かいところを原作どおりにはしていないんですけど、自分としては原作の到達点というかゴールにぼくらもなんとかたどり着けたんじゃないかなっていう印象はありますね。

―― 今回は脚本と監督に加えて、主演もつとめていらっしゃいますが?

『平凡ポンチ』スチール

『平凡ポンチ』より、佐藤佐吉監督自身が演じる真島アキ(左)と秋山莉奈さんが演じる鰐淵ミカ

佐藤:それも、プロデューサーが助言してくれたときに「これを自分の映画としてやろうとしているという意味を込めて佐吉さんが主演したらどうですか」っていう話があったんですよ。ぼく個人としてはそれは絶対にありえないと思ったんですけど、客観的に考えると、監督が主演してまでやりたい映画というのは面白そうだなと思えたんです。だから「もし、ぼく主演で出資してもいいという会社が現われるならやってもいいですよ」という話をしていたら、なぜか現われたというか(笑)。それは秋山莉奈さんという人気のグラビアアイドルが出るというのが決まったことが大きかったんですけど、秋山さんが決まって動き出したときに、ぼくが主演という話のまま進んでいったということなんです。

―― 自分で監督して主演もするというのは、撮影に入る前はどんな心境だったんでしょう?

佐藤:「どうしようかな」という感じでしたね。具体的なことを言えば「よーい、スタート」をどうするんだろうっていうような細かいことまで考えていたんです。撮影の初日は模索しながらやっていたんですけど、どうもぼくが「よーい、スタート」をかけて芝居に入るというのはリズムがよくないし、すぐに役に入り込めないんですよね。なおかつカット割とかカメラポジションとかまで考えていると、役者としては難しくなってくるんです。それで「できないことはやめていこう」と思いまして、画に関してはカメラマンの長野(泰隆)さんにお任せして、段取りとか「よーい、スタート」に関しては助監督の原(桂之介)くんにお任せして、「俺はもう真島アキとしてしか現場に来ないから」ということで、監督として本来やるべきことはだんだん失われていったんです。途中からは撮った画に関してチェックすることすらやめましたからね。自分が芝居してなんとなくいいかなというのと、カメラマンさんからOKがあれば「もうチェックしなくていいよ」っていう感じで進めていったので、編集のときに「こんな画だったんだ」って気づくことが半分以上あって、それはそれでスリリングな経験だったですね。まあ、最初はいろいろ身構えていたんですけど、いざ始まったらいろいろな人たちの助けもあり、現場の勢いもあって「やれることだけをやっていこう」という流れにはなりましたね。

―― 監督だけのときは俳優さんの演技を監督の視点でご覧になると思うんですけど、今回は監督も一緒に演技をしていることが多いわけですよね。そのときにほかの俳優さんに対して監督としての視点というのは持っていらっしゃるんでしょうか?

佐藤:リハとかテストのときは多少意識しながらやっているとは思うんですけど、いざ本番になるとほぼ意識していないですね。だけど、終わったあとに「なにかが違っていたなあ」って感じたときはもう1回という感じで、監督としての視点をなくすわけではなくて、どっか奥には沈めていたんでしょうね。芝居をやっているときは完全に役者としてやりつつも、監督の視点があとから文句を言うことがあれば、そこで初めて「どこがどう違っていたんだろう?」と考えて「やっぱりここが違ったのかな」と修正して、また役者に立ち戻るみたい感じでした。

「11日間の撮影の中で、秋山莉奈さんが怪物と化していった感じはあった」

―― 鰐淵ミカ役の秋山莉奈さんはどんな経緯で決まっていったのでしょうか?

佐藤:出資者側とかプロデューサー側の意向としてアイドルを出したいというイメージがあったらしくて、決まったのは撮影の3ヶ月か4ヶ月くらい前なんですけど、シナリオを書いているときからお名前は挙がっていたんです。ぼくはあんまり最近のアイドルに詳しいわけではないので、そこはお任せしますということで進めていたんですけど、ほんとにそんな有名な方がやってくれるのかなと思ってましたね。いざ決まってみると、ぼくの中では「仮面ライダー」に出てたなとか(※1)、グラビアのオシリーナの印象があるくらいで、どんなお芝居ができる人なのかもわからないままで現場に入ったので、そういう意味ではすごいムチャでしたね。

―― では、実際に現場で女優としての秋山さんをご覧になっての印象は?

佐藤:たぶん、秋山さんもぼくの映画を1本も観ないままで今回の作品を選ばれて、ぼくが監督としてどういう人間なのかもまったくわからない状況で来られたと思うんですよ。だから、いままで彼女がやってきた現場とか監督の要求とは違ったかもしれないので、リハを始めたときにぼくの言うことにすごく戸惑っている感じはありましたね。やっぱり、ミカというのは尋常じゃないキャラクターの持ち主で、あるセリフを言ったら次のセリフの間までにまったく人格が変わっているみたいなことがあって、それを言葉で説明してもなかなか理解できないんです。ただ、何回かリハをやっているうちになんとなく彼女も感じられた部分もあるみたいで、いざ本番になったときにはポーンとミカちゃんを会得していたというか、どこかしら彼女の中にミカ的な要素が眠っていたのかもしれないですね。11日間しかない厳しい現場だったんですけど、11日間でも1ヶ月分くらいの内容を濃縮するような現場だったので、彼女も現場の勢いで回りはじめていたし、ぼくも彼女に対して「今日ここまでできたら、明日はここまでできるんじゃないか」みたいにどんどん欲求も大きくなっていく中で、ある種、彼女が怪物と化していった感じはありましたね。ほんとにミカちゃんになっていったというか、最初はぼくも「ああしてくれ、こうしてくれ」と細かく言った部分もあったんですけど、後半になるに従って任せっきりで、よほど違っていると感じなければそのまま本人の芝居に任せたくらい、信頼できる役者さんでしたね。

―― 変な顔をしたりとか、秋山さんがここまでやるのかというシーンがかなりありますね。

佐藤:なぜか、ああいう顔をしてほしいなと思いついてしまうし、それを思いついたらやらないのは逆に映画に対して失礼だと思うんです。けど、それを秋山さんに言うのはぼくも怖いんですよ(笑)。でも秋山さんはそんなに躊躇なく、むしろ「そういう現場ですよね」くらいのことを理解してくれていてやっていてくれたんですけど、彼女の中でいろいろな葛藤はあったと思います。

―― そういう今までの秋山さんのイメージと違うこともやりつつ、コスプレっぽい衣裳を何パターンもみせたりというファンサービスのようなところもありますが?

『h平凡ポンチ』スチール

『平凡ポンチ』の1シーンよりアキとミカ。小西遼生さんが演じる左の人物もあくまで佐藤監督が演じる真島アキと同一人物なのだ!

佐藤:やっぱり、すごく変なことをやりたいという狙いもなくて、ぼく自身も小さいときからいろいろなアイドルを見てきましたし、特に薬師丸ひろ子さんと同世代なんで中高生時代は薬師丸さんの映画も観ていましたから、アイドル映画というものの王道というものを踏みたいというところはあったんです。でも、王道を踏みたいと思いながらも、自分が観ていたころのアイドル映画って、ほんとはすでに王道から外れていたというか、相米(慎二)さんとか森田(芳光)さんとかがアイドル映画として撮っていたのを(※2)王道として履き違えているところもあったりするんですよ(笑)。だからぼくの中では、秋山さんが変な顔をするのもアイドル映画としてまったく違和感はなかったし、むしろそういう場面があったほうがファンとしてはのちのちまで「もう1回あの顔を見たい」とか印象に残ると思うんです。ただ、相米さんとか森田さんの映画でも、ちゃんと薬師丸ひろ子さんを可愛く見せたり素敵に見せたりしていたわけで、秋山さんの可愛い格好もちゃんと見せて、ある種の王道のアイドル映画を自分なりに目指したというところはありますよね。

―― キャストでは、原作どおりではありますが真島アキがときどき美青年になるのを小西遼生さんが演じるという、なかなか大胆な試みをされていますね。

佐藤:原作でも「なぜここで変身するのか?」ってことはわからないんですよね。ただ、原作って変身したあとでアキとミカの裸の絡みとかがあったりとかするので、きっとアキが不細工なままでミカと絡ませるのはジョージさんの中で違和感があったんじゃないかと思うんですけど(笑)。それを映画としてやるときに、変身する理屈が自分なりに見出せなかったんです。原作のファンの方も変身に期待をしているだろうけど、この世界観の中で変身するということがアリかナシかというところで、第1稿を書いたときは、ぼくとしては「変身はなくてもいけるかな」くらいの感じだったんです。でも、やはりプロデューサーから「理屈はわからないけど、自分としては変身してもらいたい」という話があって、なら変身させましょうと。それで「変身するとしたらどの辺かな」というのをなんの理屈もなくシナリオ上で雰囲気で書いていって、撮影もそのとおりにやったんですけど、あとから観ると、まったく理にはかなっていないんだけどタイミング的にいい感じで変身しているなあと思えたんです。それから、やっぱり小西くんが素晴しい役者なんで、小西くんの芝居を見ていると安心するんですよね。こんな頼もしい人にちゃんとやってもらってよかったなと思ったし、むしろもっと増やせばよかったくらいで、そういう意味では変身の要素はあってよかったなっていう感じですね。

―― もうひとつ大胆な手法かなと思ったのが 画面のフレームサイズが基本的には16:9のビスタサイズで、冒頭ではシネスコになったり、アキの手持ちカメラの視点だと4:3のスタンダードと、ひとつの映画でいろいろ変わるのも珍しいなって(笑)。

佐藤:そうなんですよ。だから劇場の人にちゃんとサイズを指示しておかないと適当になっちゃうんじゃないかと心配してるんですけど(笑)。オープニングは『パルプ・フィクション』(1994年/クエンティン・タランティーノ監督)のオマージュなので、元があのサイズだから単純にあのサイズでやっていて、手持ちカメラとそうでない視点の差は、観ている方に「これはどっちの画なんだろう」ということがわかりやすいほうがいいなと思ったので、じゃあそのままのサイズでということですね。同じサイズにすることもできたんですけど、意外と観ていて違和感なくできたかなという気はしますね。だから大胆というよりは、むしろベタなサービス精神でやっていたという感じですね。まあ、この企画をああいうかたちでやろうとしていること自体が大胆なのかもしれないですけど(笑)。

  • ※1:秋山莉奈さんは「仮面ライダーアギト」(2001年)と「仮面ライダー電王」(2007年)の2シリーズにレギュラー出演している
  • ※2:相米慎二監督は『翔んだカップル』(1980年)と『セーラー服と機関銃』(1981年)で、森田芳光監督は『メイン・テーマ』(1984年)で薬師丸ひろ子さん主演作品を手がけている

「俺って映画が一番好きなんだな、映画以外ないんだなということが改めてわかった」

―― この作品は映画監督の真島アキを佐藤監督が演じるということで、観客は佐藤監督とアキを重ねる部分があると思うのですが、監督自身がアキにご自身を投影した部分はあるのでしょうか?

佐藤:たぶん、結果的にはものすごくあったと思いますね。やる前の段階においては、監督としてどう演出するのか、自分はどういう立ち位置で芝居するのかとか、いろいろなことを考えちゃってたんですよ。ただ、始まったときに、たぶん理屈で考えたことは全部間違っていると思ったんですね。だから現場に行って、自分を映画の中の存在としてだけ正しく成立させていけばいいということでやっていったんです。それが自分自身なのか、真島アキなのか、はたまた別のなにかなのか、まったく考えられなかった。ひたすら突き進むしかないという感じで、撮影しているときも、横で準備しているときも、休憩しているときも、自分の中ではまったく変わりなく、ずっと同じキャラで進んでいたというか。だから、ぼくが真島アキを演じていたのか、真島アキがぼくになってしまっていたのか、自分としてはなんら意識することなく、逆に意識する暇もなく最後まで行ってしまった感じはありますね。

―― 映画を作る上で監督自身の実体験などを入れていった部分というのはあるんでしょうか?

佐藤:脚本を書く段階では意図的に入れようとした部分はありますね。冒頭のアキが監督をクビになる部分のやり取りは、まさにリアルに近い出来事というか(笑)。

―― あれは面白い場面ではあるんですけど、似たような話を聞いたことがあるので微妙に笑えないところはありました(笑)。

佐藤佐吉監督写真

佐藤:身につまされますよね(笑)。そういう意味では脚本の段階で、ぼくが今までに受けてきた、「受けてきた」って言い方はあれだけど(笑)、憎悪というか怨念はけっこう出ていましたね。そういう部分でいやらしくなってしまった部分はあるかもしれないですけど、撮影の段階ではそこまでは意識してはいなかったですね。

―― この作品を観たときに、昔、自主映画をよく観ていたころのことを思い出したんです。かつての自主映画でも、映画を撮るということについて映画で考えていくという作品がけっこうあったと思うんです。

佐藤:ぼく自身は自主映画を撮った経験ってまったくないんですけど、中学生とか高校生で初めて映画を撮るんだ、映画について映画を撮るんだというときのような初期衝動でやれたなという感じはしたんですよね。ほんとに意図的ではなくて、いろんな要素が奇跡的にそう感じさせてくれたんです。自分で手持ちカメラで撮影したりとか、今までやったことないことがあったからなんでしょうけど、初めて「俺は自分なりの映画を撮るんだ」っていう新鮮に青臭い感じで最後までやれたのかなあという気はします。それが結果的にそういう感じになったのかもしれないですね。

―― 『平凡ポンチ』は“純愛ロードムービー”とコピーにありますけど、もちろんアキとミカの純愛ストーリーでもあると同時に、アキと映画とのラブストーリーでもあるし、さらに佐藤監督と映画とのラブストーリーなのではと思いました。

佐藤:今回やる中で、いろいろな部分でぼくに対して「お前にとって映画とはなんなんだ?」ということを突きつけてくることが多くて、それに対してよこしまなことではこの現場に臨めないなというのはあったんです。ほんとに自分自身の映画への想いを純粋にぶつけるしかないなってことだったんです。やっぱり、やりながら「ほんとに俺って映画が一番好きなんだな、映画以外ないんだな」ということが改めてわかったし、最後のほうは純粋に「この映画の中に溶け込んでしまいたい」くらいの気持ちになったんですよ。だからラストシーンで「俺が映画なんだよ」というセリフがあって、脚本を書いている段階ではなんかいやらしいキザなセリフかなあと思ったんですけど、やってみると、もうそれ以外ないなと思いましたね。それは「愛」という言葉であれば、やっぱり「愛」かなと思うんです。

(2008年11月8日/ユナイテッド エンタテインメントにて収録)

作品スチール

平凡ポンチ

  • 監督:佐藤佐吉
  • 出演:秋山莉奈 佐藤佐吉 小西遼生 森下悠里 哀川翔 ほか

2008年11月22日(土)よりシネマート六本木、シネマート新宿にてロードショー

『平凡ポンチ』の詳しい作品情報はこちら!

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