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『甲州街道から愛を込めて』有里まりなさん・古瀬リナオさんインタビュー

 売れないミュージシャンで口の悪いリリコと、精神的に不安定でろくな男に出会えないマナミ。人生うまく行かない女子コンビは、タイチとルミのカップルとともに、ある目的のため1台の車に乗り込み甲州街道を旅する――。
 新たな映画レーベル「マヨナカキネマ」の第2弾『甲州街道から愛を込めて』は、生きるのがヘタな若者4人の青春ロードムービー。リリコ役に有里まりなさん、マナミ役に古瀬リナオさんと、オーディションで抜擢されたふたりが主演をつとめます。
 新作の公開が続く鬼才・いまおかしんじ監督がメガホンをとったこの作品での主演経験はどのようなものだったのでしょうか? 有里さん、古瀬さんにお話をうかがいました。
※古瀬リナオさんはリモート取材となっています

有里まりな(ありさと・まりな)さんプロフィール

1997年生まれ、神奈川県出身。舞台や映像作品で俳優として活動中。出演作に映画『ペテロの帰り道』(2021年/オカモトナオキ監督)など。自身のYouTubeチャンネルで弾き語りやアコースティックカバーの動画をアップし音楽活動もおこなっている

古瀬リナオ(ふるせ・りなお)さんプロフィール

神奈川県出身。慶應義塾大学在学中より「劇団あはひ」の看板女優として活躍。2020年には史上最年少劇団として本多劇場に進出。その後、東京芸術劇場やKAAT神奈川芸術劇場でも主演をつとめる。映像作品では、映画『KAPPEI カッペイ』(2022年/平野隆監督)やダンスボーカルグループ・ZILLIONのミュージックビデオ「One Day」などに出演

自分のキャラクター性とは違うからこそ挑戦したい(古瀬リナオさん)

―― おふたりは今回オーディションで主演に選ばれていますね。オーディションに応募した動機を聞かせていただけますか?

『甲州街道から愛を込めて』スチール

『甲州街道から愛を込めて』より。有里まりなさん演じる片島リリコ

有里:自分はこの公募をウェブで見つけて、いまおかしんじさんが新作の映画を撮るということで興味を持ったんです。いまおかさんのお名前を知ったのは『れいこいるか』(2019年)で、最初にシナリオの雑誌で紹介されているのを読んで、そのあとSNSでの「すごくいい」という評判を見て、正直ちょっと取っつきにくい題材というか、自分が元気なときじゃないと観られない映画かなと思っていたんです。だけど、実際に観てみると悲しくないというか、観たあとにすごくサッパリした気持ちになって、それがいまおかさんの世界観なのかなって、すごく印象的だったんです。今回はもちろん作品の内容にも興味を持ちましたけど、いまおかさんの新作ということで応募させていただきました。

古瀬:私は事務所からオーディションの募集要項をいただいて応募したんですけど、募集要項の説明文を読んだらロードムービーで、私は一番好きな邦画が『ポンチョに夜明けの風はらませて』(2017年/廣原暁監督)というロードムービーなので、その段階でワクワク感みたいなものを刺激されていました。そのあと書類選考に通ってから台本をいただいて、それまでは概要に書いてあるキャラクターの説明文しかなかったので、台本を読むとキャラクターたちのわからない部分も出てきて難しそうだなと思いました。それに、応募のときからわかっていたことなんですけど、ベッドシーン的なものもあるので、自分は選ばれる感じのキャラクターではないだろうから無理かなとも思ったんです。でも、わからないからこそやってみたいし、自分のキャラクター性とは違うからこそ挑戦したいと思って、そういう気持ちでオーディションに行っていました。

―― オーディションで印象に残っていることはありますか?

有里:オーディションの最中、ずっと和気藹々していたというか、柔らかい雰囲気で、作品についてお話をしたり、自分についてたくさん質問もしていただいて、もっともっとお話していたいという印象でした(笑)。

古瀬:お話パートは楽しかったですよね(笑)。

有里:ほんとそうですよね(笑)。

古瀬:ただ、ちょうどコロナの感染が増えているころだったのでガッツリとシールドがあって、仕方のないことなんですけど思っていたオーディションの感じとはけっこう違っていたんです。だから思うようにできなくて「ああ、ダメだ」って思いながら帰った記憶があります(笑)。

有里:すごくわかります。パーティーションで仕切られていて相手役の方の顔もわからないような状態だったんですよ。自分もほんとに落ち込んで、帰りは5駅くらい歩いて帰りました、反省しながら(笑)。

―― 初対面のときのお互いの印象を教えてください。

有里:オーディションは別の回だったので決まってからお会いしたんですけど、私はリナオさんに会ってすごく可愛いなと思って、リリコはマナミをよしよししているというか、彼氏が彼女にするようにマナミを扱っているんですけど、その気持ちがすごくわかって「愛せるな」と思いました。

『甲州街道から愛を込めて』スチール

『甲州街道から愛を込めて』より。古瀬リナオさん演じる榎本マナミ

古瀬:あはっ(笑)。私は有里さんに会って、かなり私が想像していたリリコだなって思いました。カッコいい感じで。あと声がめちゃくちゃいいなと思って、リリコは歌うところがあるので歌を聴くのが楽しみでした。

有里:ありがとうございます(笑)。

―― おふたりが演じた役は、リリコもマナミも、かなりキャラクターのはっきりした役ですね。そういう役を演じられるのはどんな感覚でしたか?

有里:それこそリリコは口も悪いし態度も悪いし、そういう表面的な部分って普段の自分にはまったく重ならなかったんです。だからオラついたセリフを「いかにもセリフ」というように発してしまうのは嫌だなと思ったので、日常生活でちょっと口を悪くさせていただいて(笑)。母に対してちょっと口を悪くしたりしながら体に馴染ませようとしたんですけど、内面的な部分は共感できる部分もかなりあって、そういう意味では取っつきにくくはなかったかもしれないと思います。

古瀬:私は、台本をいただいてからマナミのキャラクターに関して、いま思うと割と決め込んだ読解をしてしまっていたんです。自分の中で一旦しっかりマナミの感じを作り込んで撮影の前のホン読みに行ったんですけど、そこでほかのみなさんと掛け合いをしたり監督とお話をしていく中で、どんどん私の中の読解も変わっていったんです。マナミの読み取り方も「ああ、こういう部分を掬いあげきれていなかった」ということを繰り返して、マナミの像も固定化されていたわけではなく、かと言ってキャラクターを押し出すところは押し出さなくてはいけないんですけど、けっこうリハーサルとか撮影をしていく中で広がっていた感じがします。

いまおかしんじさんは妖精さんみたいだなって。すごく不思議なんです(有里まりなさん)

―― 今回は、旅をする映画なので舞台がどんどん変わっていきますが、撮影はけっこうタイトなスケジュールだったようですね。

『甲州街道から愛を込めて』スチール

『甲州街道から愛を込めて』より。4人の若者は車で甲州街道を旅する。前列左からリリコ、マナミ、後列左から和田瞳さん演じる吉田ルミ、遠藤史也演じる田辺タイチ

有里:4日で撮影させていただきました(笑)。初日が東京で4人が初めて一緒になって揉めるシーンで、そこからほんとに甲州街道を辿って撮っていって、旅をしながら撮影していました。だからちょっとだけ順撮りに近かったです(笑)。

古瀬:ちょっとだけね(笑)。

―― 実際に旅をしながらの撮影で、タイチ役の遠藤史也さんやルミ役の和田瞳さんも含めて、撮影をしながらお互いの関係性が変わっていったようなところはありますか?

古瀬:どうなんだろ、あっという間過ぎて、ギュッと転がっていたような感じもします(笑)。

有里:ですね(笑)。移動しながらなので車の中でおしゃべりをしながら、そういう意味では仲を深めながら進められたと思います。

―― 車の中での会話シーンも多いですが、車内での撮影で特に印象に残っていることはありますか?

古瀬:実は、車の中のシーンはグリーンバックで、しかもまとめて最後の日に撮ったんです。そこは全然順撮りではなくて、冒頭のシーンも最後に撮ったりして、グリーンバックで想像を膨らませて(笑)。

有里:試写のときにビックリしましたね。「ああ、グリーンバックってこうなるんだ」って、ちょっと感動があり(笑)。

古瀬:初めて実際に全面グリーンバックを経験したので、完成は驚きと感動でした(笑)。

―― ほかに撮影で印象に残っていることがあれば教えてください。

有里まりなさん写真

有里まりなさん

有里:一番はタバコの2本吸いですね(笑)。(※リリコがタバコを吸うとき一度に2本咥える)最初はなにも言われていなくて、撮影当日にいまおかさんから「じゃ、リリコ2本で吸って」って言われて、そのときは「それはどういうことでしょうか?」って聞きました(笑)。そしたら、いまおかさんが実際に喫煙所で知らない男性がタバコを2本咥えて吸っているのを目撃したことがあったらしいんです。そのアナーキーな感じがリリコには欲しいという話で、2本まとめて持って「火がつかない!」とか思いながら(笑)、なんとかやらせていただきました。

古瀬:私は、雪の中でみんなで楽器を演奏する夢みたいなシーンがあって、台本を読んだときにもすごく楽しみだったんですけど、撮影の……3日目?

有里:2日目かな?

古瀬:あ、そうだね。撮影の2日目で、一緒に車で旅をして山梨に泊まって、みんなのキャラクターの関係性が膨らんできた中でのあのシーンだったので、ほんとに役として「みんなで最高のステージをやれているんだな」みたいな感動に包まれながら、キラキラした反射の中で演奏したのが、すべてが詰まっていてすごく楽しかったです。

有里:楽しかったですねえ。

―― いまおかしんじ監督のお話が少し出ましたが、撮影中のいまおか監督の印象はいかがでした?

有里:私は……すごく不思議な方だな、面白い方だなという印象でした。なんだろう……妖精さんみたいだなって(笑)。

古瀬:フフ(笑)。

有里:すごく不思議なんですよ。言葉とか距離感とかもそうなんですけど、演出も自分にはまったくない引き出しからすごい演出を付けてくださるので、なにを考えている方なんだろうって、最後まで不思議でした。

古瀬:私も、いまおかさんの過去の作品を拝見するとけっこう不思議な演出とかもあって、でもそれがすごく画面を完成させているみたいな、リズム感がいい人なのかなみたいな、私の勝手な想像なんですけど、その感性でいろいろなものをポンポン配置している印象があったんです。なので、実際に撮影で私の考えでは思いつきもしないような演出が入っても「きっと監督の中では、ここに配置されて画ができあがったらすごい面白いものになるんだろうな」と思って、それに乗っかっていました。そうやってみんなで乗っかってやっていったら、思っていたのを超える面白い画が完成していたので、やっぱりすごい方なんだと思いました。

ちょっと依存なのかもしれないですけど、マナミはリリコがとても大事なんだと思います(古瀬リナオさん)

―― 映画を観ると、リリコもマナミも、あまり人間関係が得意ではなさそうというか、はっきり言うと友達少なそうですよね(笑)。

『甲州街道から愛を込めて』スチール

『甲州街道から愛を込めて』より。リリコとマナミ、ルミ

有里:フフ(笑)。そうですね。

古瀬:それは間違いないですね(笑)。

―― でも、そんなふたりが仲良くしていますよね。映画の中ではリリコとマナミがどう知り合ったとかは語られていませんけど、おふたりはリリコとマナミの関係ってどう考えられていましたか?

有里:出会いについては一応お話をしていて、リリコがストリートライブをしているときにマナミが観に来てくれて、そこからはほんとに唯一の友達で(笑)。

古瀬:ほかにはいないんですよね(笑)。

有里:それからずっと一緒に過ごすようになったという感じですね(笑)。

―― リリコとマナミは、なんでお互いをあれほど大切に思っているんだと思います?

有里:なんだろうな……お互いを認めあえる関係だし、たぶんリリコにとってマナミは弱い人に見えるんですよ。だから守ってあげたいという気持ちもあって、リリコ自身が強がっているから、そういう部分でも一緒にいたいって思えるし、根本的には自分を認めてくれるところをすごく信頼しているんだと思います。

古瀬:ありがとうございます、ってマナミの気持ちで(笑)。

有里:フフ(笑)。

古瀬リナオさんアーティスト写真

古瀬リナオさんアーティスト写真

古瀬:やっぱり、マナミはきっとリリコにすごく憧れていて、リリコの歌を聴いているとその世界が包み込んでくれるみたいな気持ちになれて、そういう歌を歌えるリリコがすごくカッコよくて好きなんです。でもその反面、マナミはマナミで「私がリリコを守らなきゃ」みたいなことを勝手に思っている気もしていて、ちょっと依存なのかもしれないですけど、とても大事なんだと思います。

―― リリコの歌の話が出たところでお聞きしたいのですが、リリコはミュージシャンという設定で、映画の中で歌うシーンがいくつかありますね。有里さんは役として歌ってみていかがでしたか?

有里:撮影自体はほんとに楽しかったです。自分は学生時代にバンドをやっていたことがあって、そのときもボーカルだったんですけど、そのときのライブとはまた違うアプローチというか、作品としてひとつの画面を占める大事な時間になるので、準備のときは人生で一番というか、ほんとにしっかり歌と向き合った時間でした。

―― 横浜銀蝿の翔さんが演じた大崎ゴロウとリリコが一緒に歌うシーンは、実際に現場で歌いながら撮影をされているんですよね?

有里:そうです。ほんとに現場のライブカフェで一緒にセッションをしながら撮影して録音をしてというかたちだったので、横浜銀蝿というレジェンド的な存在と一緒に歌うというプレッシャーも大きかったんですけど、ワクワクする気持ちもありましたし、もう「やってやるぞ!」という気持ちで、リリコと一緒に歌った感じでした。

―― 古瀬さんは 有里さんが歌うシーンをすぐそばでご覧になっていてどんな印象でした?

古瀬:もう、翔さんとライブハウスで歌うシーンが一番強烈だったんですけど、リリコがいろいろな想いがあってゴロウさんに会えて、一緒に歌うことになって、少しはにかみながら声を伸ばしている姿を見て、私はマナミとしてめちゃくちゃ胸が熱くなってしまって、あのシーンはほんとにその場で起こる歌に胸を動かされながら、涙ぐんだり拍手したりしていました。感動しました!

有里:ありがとうございます。楽しかったですね、すごく。

―― 古瀬さんが演じたマナミも、イラストレーター志望という設定があってイラストを描くシーンがありますね。

古瀬:そうなんです。劇中に出てくる絵は私ではなくて美術スタッフの方が描かれたものなんですけど、私もちょっとイラストを描いたりするので、絵を誰かに見せるときのドキドキだったり、褒められたときの喜びなどは自分でもわかるので、似たようなものを感じながら演じていました。

自分の俳優人生の中で貴重な経験をさせていただいたと思っています(有里まりなさん)

―― 少し作品と離れたことをお聞きしたいと思います。おふたりは、どういうきっかけで演技をすることに興味を持たれたのでしょうか?

有里:きっかけ自体は母に勧められたことなんです。自分は大学生のときに私生活もろもろでけっこう悩んでしまって、毎日苦しかった時期があったんですけど、そのときに友達と映画を観に行ったんです。『君の膵臓をたべたい』(2017年/月川翔監督)という作品で、ほんとに映画を観るのが久しぶりだったんですけど「お芝居ってすごいな」って思って、しかも主演のおひとりの北村匠海さんが自分と同い年なので「自分と同い年の人がこんなにすごいことをしていて感動した」というようなことを母に伝えたんです。そしたら母に「じゃあやってみればいいじゃん」って言われて、すごい軽い感じで投げられたので「え?」と思ったんですけど、それがお芝居を始めるきっかけでした。いまでは生きていく上での活力みたいな気持ちで芝居に取り組んでいますね。

古瀬リナオさんアーティスト写真

古瀬リナオさんアーティスト写真

古瀬:私はきょうだいがいなくて、私立の学校に通っていた関係で地元に友達もいなくて、ずっとテレビっ子だったんです。物心がついてドラマを目にしたころからテレビっ子になりはじめて、一番古い記憶だと「女王の教室」(2005年)の志田未来さんを観ていたのを覚えているんです。そのとき「私はこういう女優さんになるんだ」って思った記憶があって、そこからずっとそれを信じて疑わなかったというか(笑)。ただ、ずっと芸能活動禁止だったので実際にはなにもできなくて、ダンスとか芸能活動にあたらないことをやっていたんです。でも大学生になったときに、まだ「女優になるんだ」という謎の確信というか(笑)、その目標が自分の中からどうしてもなくならないままだったので、本格的にそっちの道に進みはじめたという感じです。

―― これまでのお話でもいくつか作品のタイトルが出ていますが、観客としてはどんなジャンルの映画がお好きですか?

有里:やっぱり音楽映画はすごく好きですね。それから、今回のこの作品もそうですけど、こじらせている人が奮闘して「なにかを起こすぞ!」ってなって、それであんまりなにも起きないみたいな(笑)、そういうお話も好きです。あとは、家族を描いたお話というか、人間の中身を描いたお話が好きですね。

―― 最近ご覧になった作品で印象に残っている作品はありますか?

有里:そうですね……最近だと『トップガン マーヴェリック』(2020年・米/ジョセフ・コジンスキー監督)がすごすぎてすべての記憶が塗り替えられてしまったんですけど(笑)。……こじらせ系で言うと、ちょっと前ですけど『勝手にふるえてろ』(2017年/大九明子監督)とかは好きですね、すごく。

古瀬:わかる!

有里:いいですよね!

―― 古瀬さんはどんな作品がお好きですか?

古瀬:たぶん、私も有里さんとけっこう好みが似ている部分があると思うんですけど、ほかにどんなのが好きだろうかと考えると、群像劇が好きなのかなって思います。私は好きな映画とかドラマとかは何回も観たりするんですけど、観るときによって感情移入するキャラクターが変わったりとか、別のキャラクターの視点で観て「この視点から観ても面白いな」みたいな楽しみ方があるので、群像劇はけっこう好きです。最近観た映画だと、これはそんなに群像ってわけではないんですけど『偶然と想像』(2021年/濱口竜介監督)が衝撃的すぎて観たあと放心しちゃって、すごく印象に残ってます。

―― 今後、こんな役を演じてみたいとか、こんな作品に出てみたいというのはありますか?

有里:うーん……ちょっと考えますね(笑)。

―― じゃあ、古瀬さん先に行けますか?(笑)

古瀬:えっ、私も考えてて(笑)。……「遊びたいな」って。今回もかなり遊ばせていただいたと思うんですけど、自分のイメージのとおりでいただく役よりも「え、そんなことできないよ」と思うような、自分の中をひっくり返して「そんな部分が私の中にあるかな?」って探すような部分のある役をやってみたいなと思っているので、ピンポイントで「こう」というよりは、自分にないところを引き出してくれるいろいろな役をやってみたいです。

有里まりなさん写真

有里まりなさん

有里:そうですね、いまリナオさんの話を聞いて私も思ったんですけど、外側から見た印象と自分で見た自分の印象って違う部分があると思いますし、今回のリリコも自分の中にはない部分をすごく引き出された役だったんです。そういう役にどんどん挑戦していきたいですし、逆に「これにしか見えないでしょ!」みたいな、もう自分そのマンマっていうよう役もやってみたいです。

―― では最後に、今回の作品で主演をつとめて感じられたことと、映画をご覧になる方へのメッセージをお願いします。

有里:今回の作品に関わるにあたって、本当にいろいろな人に支えられているということに改めて気付かされた部分があったり、ひとつの作品を作るためにいろいろな方がいろいろなことをして完成に向けていく、その一部に関われたことがすごく嬉しくて、自分の俳優人生の中で貴重な経験をさせていただいたと思っています。今回は、すごく不器用な4人のお話なんですけど、やっぱり生きづらい世の中じゃないですか。生きづらさを自分で作ってしまったりもすると思うんですけど、そういう生きづらさを感じている方に「ひとりじゃないんだよ」って思ってもらえるような作品として届けられたらなと思っています。

古瀬:私はひとりで映画を観にいって、勇気をくれたり寄り添ってくれるものを貰って、ポカポカした気持ちで映画館を出るということをするタイプなんです。なので、映画館に足を運んでこの映画を観てくださった方にも、観たあとにちょっといい気持ちを持って帰ってもらえたらいいなと思います。そして、今回マナミという役に出会わせていただいて、すごく考えて演じさせていただいて、こうしてふたり「オーディションで抜擢」と銘打っていただいているんですけど、まだまだ「これから始まりです」という感じなので、もっともっとたくさんの方にこの作品を、このキャラクターを観ていただけるように、私自身もがんばろうと思っています。

―― 本日はありがとうございました。

有里・古瀬:ありがとうございました!

(2022年7月8日/キングレコードにて収録)

【『甲州街道から愛を込めて』予告編】
作品ポスター

甲州街道から愛を込めて

  • 監督:いまおかしんじ
  • 出演:有里まりな 古瀬リナオ 遠藤史也 和田瞳 ほか/li>

2022年8月5日(金)よりシネマート新宿ほか 全国順次公開

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