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『彼岸のふたり』朝比奈めいりさん・並木愛枝さん・北口ユースケ監督インタビュー

 永年過ごした児童養護施設を出て働きはじめた西園オトセは、かつてオトセを虐待していた実母・陽子の訪問を受ける。一方、地下アイドルとして活動する広川夢は、マネージャーとの子どもを身ごもったことを母の靖恵にしか言い出せない……。
 ふた組の母子の姿を通して、それぞれの人生を懸命に生きる女性たちを描く『彼岸のふたり』。関西で先行公開され、すでに海外の映画祭で高評価を得ているこの作品が、いよいよ全国公開を迎えます。
 現役アイドルであり映画初主演でオトセ役に挑んだ朝比奈めいりさん。数々の作品に出演しオトセの母・陽子を演じた並木愛枝さん。短編で注目を集めた新鋭・北口ユースケ監督。3人は重いテーマにどう取り組んだのか。お話をうかがいました。

朝比奈めいり(あさひな・めいり)さん(写真左)プロフィール

2002年生まれ、大阪府出身。イロハサクラとEllis et Campanuleのふたつのアイドルグループのメンバーとして関西を拠点にアイドル活動をしつつ、女優としても活動する。女優としての出演作に、映画『あおざくら』(2018年/中村みのり監督)『手のひらに込めて』(2019年/中村みのり監督)など。『彼岸のふたり』で初の映画主演をつとめる

並木愛枝(なみき・あきえ)さん(写真中央)プロフィール

1978年生まれ、埼玉県出身。10代より小劇場を中心に活動し、2001年より映像ユニット“群青いろ”に参加。出演作『ある朝スウプは』(2003年/高橋泉監督)『さよなら、さようなら』(2003年/廣末哲万監督)がPFFアワード2004でグランプリと準グランプリを獲得、同アワード審査委員長をつとめた若松孝二監督の『実録・連合赤軍〜あさま山荘への道程〜』永田洋子役に起用される。『14歳』(2006年/廣末哲万監督)で第22回高崎映画祭最優秀助演女優賞受賞。ほか出演作多数

北口ユースケ(きたぐち・ゆーすけ)監督(写真右)プロフィール

1984年生まれ、大阪府出身。早稲田大学在学中に『カミュなんて知らない』(2005年/柳町光男監督)で「北口裕介」名義で俳優デビュー。俳優として活動しつつ2016年より映像作品制作を始め、初短編『BAD TRANSLATOR』(2016年)が第1回やお映画祭に入選。以降の短編『ノリとサイモン』(2016年)『ベイビーインザダーク』(2017年)『That Man From The Peninsula』(2018年)も受賞や海外での上映が続く。『彼岸のふたり』で長編初監督

「ちゃんとできるかなって、最初はすごく不安に思いました」(朝比奈めいりさん)

―― 『彼岸のふたり』は、児童虐待を背景にした、かなり重いテーマの作品ですが、朝比奈さんと並木さんは出演するにあたって映画の内容をどう感じられましたか?

『彼岸のふたり』スチール

『彼岸のふたり』より。朝比奈めいりさんが演じる主人公・西園オトセ

朝比奈:私は普段のお仕事ではアイドルとして歌って踊っていて、自分が仕事をしてる中での勝手なイメージなんですけど、アイドルというのは虐待というような重いテーマからは目を背けがちな印象を持っていたんです。なので、これまで『彼岸のふたり』の前にも何回かお芝居をした経験はあったんですけど、ここまでしっかり重たい内容を自分がちゃんとできるかなって、最初はすごく不安に思いました。

並木:私は、いわゆる社会問題と見られているような物事を扱った重たい作品ばかりやってきたもので、重いかどうかの感覚がちょっと麻痺しているのですが(笑)、この『彼岸のふたり』が、観ていて楽しいというよりは、深く考えなくてはいけないと思うような作品であることはたしかだと思います。そして、ここで扱われているテーマは、映画であっても絵空事ではなくて、日常に絶対にあって、現在も苦しんでいる方がいらっしゃることなんですよね。そういう方たちの助けになりたいとまで大それたことは考えていませんが、こういう日常があることにすら気づいていない方たちに、それを知ってもらうきっかけとなったらいいなというのは、いつも思っています。

―― 監督は、この題材をどう描こうと考えられていたのでしょう?

北口:ぼくはこれまでに撮ってきた短編が、どれもテーマが重たいと言われているんです。ぼくは決して普段から社会的な問題にアンテナを張っているわけではないですし、エンターテイメントな作品も好きなんですけど、脚本を書いたり作品を作っていると、自然と社会的なことに繋がっていったりするんです。今回は、短編をご覧になったプロデューサーから「社会問題を扱うのが得意ですよね」ということでお話をいただいて児童養護施設を舞台にすることになったんですが、取材をしたり資料を読んでいく中で、当事者でないぼくには踏み込めない領域があって、そこを無責任にいい加減に描くのは危険だという感じはありました。ただ「親子の関係」というのは誰もが多かれ少なかれ抱えているものだと思いますから、そこを突き詰めていくことはできるのではないかということで、こういう作品になった感じです。

―― 朝比奈さんが演じたオトセは、暗い部分を抱えていて、アイドルの朝比奈さんとは別の面を見せなくてはならなかったのではないかと思います。朝比奈さんはこの役にどう取り組まれたのですか?

朝比奈:もう、レッスンのときにいろいろ考えましたし、教えていただきました。

北口:演技の経験があまりなかったので、リハーサルの前に2ヶ月くらいかな? 演技の基礎トレーニングをやったんですよ。

朝比奈:その最初のレッスンのときに、普段のアイドルの歌とダンスのレッスンのときはレッスン着も可愛い服を着るので、同じ勢いで可愛いレッスン着で演技のレッスンに行ったんです。そしたら、北口さんに「たぶんオトセはそういう服は着ないんじゃないかな」って言っていただいて。

北口:そうやったっけ?(笑)

朝比奈:はい(笑)。それで、次のレッスンからは「オトセちゃんならこんな服を着るのかな」って、地味な服を着ていって、メイクもレッスンのたびにどんどん薄くなって、素なくらいにしていました。

北口:オトセの役はオーディションをしていて、そのときに彼女はアイドルなのにキラキラだけじゃなくて、なんかダークな光を放っていたんですよ(笑)。

朝比奈:嬉しいです(笑)。

北口:嬉しいの?(笑) それで彼女がいいなと思ったので、オトセのような役もできるんじゃないかなとは、オーディションの段階で思っていたんです。

『彼岸のふたり』スチール

『彼岸のふたり』より。主人公の母親で並木愛枝さんが演じる西園陽子

―― 並木さんが演じた母親の陽子も難しい役だったと思います。並木さんはどう役に取り組まれたのですか?

並木:最初にもう「毒親の役なんです」と伝えられていたので、果たすべき役割はわかっていたんです。ただ、私の希望として、どうしても「母親である」ということは失くしたくなかったんです。一瞬でもいいから、みなさんが母親に求めるものが作品の中に残ってほしいという希望が自分の中であったので、ご覧になった方に「この人は本当に娘を愛しているんだ」って思われる瞬間を作ろうと思って役作りをしました。役作りというか、私にとっては「自分だったらどうするのか?」ということと、すり合わせていく作業ですね。

―― 監督が陽子役を並木さんにお願いしたポイントはどんなところでしょう?

北口:もう、学生時代から憧れの女優さんだったので、いつかお仕事をしたいと思っていたのはありましたし。台本ができあがって「誰だったらこの役ができるだろう?」と考えたときに、最初に浮かんだのが並木さんで、並木さんが浮かんだらもう並木さんしか考えられなくなって。キャスティングの話をしているときにプロデューサーから「もし、世界中の誰でもいいから誰かひとりキャスティングできるとしたら、誰をキャスティングしたいですか」と聞かれたとき、すぐに「並木さんです」って言うくらいでした。

並木:ありがとうございます、本当に。

「いろいろな感情を詰め込まなくてはいけないという使命を自分に課していたんです」(並木愛枝さん)

―― この作品の大きな軸となるのが、オトセと陽子の親子の関係ですよね。おふたりは、親子を演じる上でお互いどんな感じで向き合っていらっしゃったのでしょう?

並木:私の場合は、親子ということを意識しない時間のほうが多かったんです。陽子はクライマックスのほうに行くと「私は親であり、この子は我が子なんだ」というところがようやく出てくるんですが、最初はオトセを自分の娘とは思ってないんですよね。単に自分が生きる上で利用できる相手を探して娘に白羽の矢を立てて会っただけで、親子として始まったわけではないと私は思っているんです。今回、めいりちゃんとは会うのも初めてでしたし、あまり話もしていない状態で撮影に入ったので、それが逆によかったんじゃないかと思います。映画の最初のほうでオトセに会った陽子が「あなたに会いたかった」と言いますけど、誰が見ても嘘くさいですよね。あの感じは、めいりちゃんを深く思いやる気持ちが私の中に湧いていたら出なかったと思うんです。でも、めいりちゃんは違っていて、最初から親子だって思っていたのかもしれないです。オトセちゃんとしては親を求めますよね、やっぱり。どんなにひどいことをされても親は親だって思っちゃうから。

『彼岸のふたり』スチール

『彼岸のふたり』より。施設を出手働き初めたオトセの前に母・陽子が現れる……

朝比奈:そうなんです。私は最初から「お母さん」っていうふうに思ってて。私はオトセちゃんと実際の自分とが少し重なるところがあって、私は実際の母とはすごく仲良しなんですけど、昔から「ほんとはもっとお母さんに甘えたいな」って思うことがすごくいっぱいあったんです。母と不思議な距離感があって、あまり素直に言いたいことを言ったりできずに生きてきたので、そこでオトセちゃんに実際の自分と通じるところも感じながら撮影していました。映画の中でオトセちゃんがお母さんにお金を渡してしまうのも、オトセちゃんがそのときにできる「お母さんに会えて嬉しい」という表現というか、オトセちゃんにとっての甘え方なのかなって思うんです。

北口:さっき話したように、この作品のために虐待に関して調べたり資料を読んだりしたんですけど、これを読んだから脚本を書き上げられたという記事があって、それは「親にどんなにひどいことをされても、愛されたいという気持ちが勝ってしまう」という内容のインタビュー記事だったんです。それを読んだときに「これだ!」と思って、それがこの作品の核になっているんです。たぶん、それをふたりに話したことはなかったと思うんですけど、いま話を聞いていて、言わなくても感じてくれていたのかなと思いました。

並木:その「愛されたい」という子どもの気持ちを陽子が利用しているのが、ほんとに嫌な女ですよね。陽子は子どもの気持ちを知らずにやっているのかもしれないけど。

―― 映画の終盤の、オトセが陽子の家を訪れるところはこの映画のクライマックスだと思います。緊張感の高いシーンですが、演じているときはどんなお気持ちでしたか?

並木:その一連の流れが、私が『彼岸のふたり』において俳優の仕事をする上でのクライマックスでもあったんです。「ここがうまくいかなかったらこの作品も成功しない」というくらい大事に作らなくてはいけないと思っていたので、私もめちゃくちゃ緊張しましたし、絶対に成功させなきゃと思って、めいりちゃんに「がんばろうね!」という意味でお話をしたら、泣かせてしまいまして(笑)。

朝比奈:あのときはすみませんでした(笑)。

北口:あそこはスタッフもみんなピリピリしていたし、そこに向かって集中力が高まっていたので、そのプレッシャーが全部ふたりに行っていたんですね。

インタビュー写真

朝比奈めいりさん、並木愛枝さん、北口ユースケ監督(左より)

並木:私はあのとき、いろいろな感情を詰め込まなくてはいけないという使命を自分に課していたんです。「この子のことが可愛い」と思ってみたり「一緒に暮らしたかった」と思ってみたり「自分がもっとちゃんと生きていたら、この子のいろいろなところを見られたんだろうな」とか、いろいろな感情が自分の中でどんどん変わっていくというのをやりたかったんです。だから、周りからのプレッシャーというよりも、自分が考えた演技プランをちゃんとできるかという、自分でかけたプレッシャーがものすごかったんです。

北口:あそこはたしか1回しか撮っていないんですよ。

並木:撮り終わったときは、ある意味、仕事をまっとうしたという安心感もありました。めいりちゃんを泣かせてしまったのは、本当に申し訳なかったですけど(笑)。

―― 朝比奈さんは、そこの撮影のときはどんなことを考えていましたか?

朝比奈:すごく覚えているのが、お母さんのお部屋に入って座るじゃないですか。周りを見たら「なんてだらしないお部屋なの」って思って(笑)。お金を催促する請求書の封筒みたいなのがいっぱいあったり、洋服もグチャグチャに置いてあったり。それで、映画の中でオトセは未成年なんですけど、お母さんはお酒を出してきて、それもコップじゃなくてマグカップに入れて出してきたり、それを結局お母さんが自分で飲んじゃったり、そういうところはお芝居でこうしようというより、自然に目で追ってしまっていて、自然にピクピクしていました。

―― それは、美術スタッフの方々のおかげもありそうですね。

北口:おかげですね(笑)。撮影に使ったあの家が見つかったのもラッキーで、オトセの職場の先輩を演じてもらったエレン・フローレスさんとたまたま喋っていたら、彼女の旦那さんが家を貸していたんだけど借りてた人たちが夜逃げしちゃって、散らかったままで困ってるという話だったんです。それを聞いて「ちょっとそれ見に行っていいですか?」ってなって、それがあの家やったんです(笑)。ほんで使わせてもらうことになって、部屋の中にものを足したり、少し汚したりはしているんですけど、あんまりいじらずにあの雰囲気だったので、場所にはずいぶん助けられたと思います。

朝比奈:えっ、知らなかった(笑)。すごいリアルでした(笑)。

「派手な演出はないからこそ、大きなスクリーンで観ていただきたい」(北口ユースケ監督)

―― クライマックスの陽子の家のシーンでは手持ちカメラが使われていますね。作品全体でも手持ちカメラが効果的に使われているなと感じましたが、監督はどういうところで手持ちカメラを使われていたのでしょう?

『彼岸のふたり』スチール

『彼岸のふたり』より。オトセと陽子の母娘はやがて……

北口:基本、役者やキャラクターの心情に寄り添いたいところで手持ちをチョイスしているんですけど、ぼくは元が役者なものですから、わりとすぐに寄り添ってしまいたくなるので、手持ちが多いのかなとは思います。あとは、こっちで動線を決めて「このタイミングで、こう立ち上がってください」とかってやるのはあまり好きではなくて、なるべく役者に自由に動いてほしいんです。別にテストでやったことをそのまま本番でやってほしいとは思ってなくて、本番では役者にしかわからないやり取りがあって「テストではこうだったけど、こう行くぞ」みたいなのが生まれてくるので、そっちを大事にしたいんです。そういうのに対応して自由な動きを追えるように、手持ちをチョイスしているんだと思います。

―― クライマックスでは、緑色っぽい照明が使われているのも印象的でした。あの照明はどういう発想で思いつかれたのっでしょう?

北口:もう、ロケハンをしたときから「あそこは緑にしよう」というのはずっと言っていたんです。発想というか直感ですかね。なんか薄気味悪い感じを出したくて、緑にしたと思います。

―― この作品では、アイドルというのがもうひとつの物語の大きな軸となっていますね。朝比奈さんは普段はご自分がアイドルとして活動されていて、映画でアイドルを観る立場を演じてみて、どんな感覚でした?

朝比奈:オトセちゃんが行くライブハウスのシーンでは、イロハサクラという私が所属しているグループも出てくるんですけど、普段一緒に活動しているメンバーが、普段着ている衣裳で、普段自分もやっている楽曲を歌って踊っているのを他人として観るのが初めてだったので、すごい新鮮な経験でした。客席から舞台のアイドルを観るのも初めてで、客席のひとりになって初めて感じたことがあったんです。映画の中でオトセちゃんは、仕事も住むところもなくなってしまって「明日からなにもできない、もうダメだ」っていう限界の状態で、たまたまチラシを貰ってほかに行くところもないからライブを観に来ているんです。オトセちゃんはそういう最悪の状況でライブを観ていて、ほかのお客さんはコールしたり踊ったりして自分の推しを応援していて、ライブを観ている人の中には劇中のアイドルグループのマネージャーさんもいて、客席にいる全員がひとりひとり全然違った気持ちでひとつのライブを観ているんだって、客席で観ていてすごく感じたんです。私はいままでアイドルとして活動しているときに、客席にいらっしゃるみなさんを「お客さんたち」とひとかたまりで捉えていたところがあったんです。でも『彼岸のふたり』を撮影してからは、自分がライブをやるときに、客席にいるのはひとかたまりの「お客さんたち」ではなくて、ひとりひとり違う個人の方たちが、それぞれの人生を背負って観に来てくれているんだっていう意識を持つようになりました。

北口:すごい!

並木:素晴らしいですね。

―― 監督は、作品の中でアイドルというものをどう位置づけようと考えられていたのでしょうか?

インタビュー写真

朝比奈めいりさん、並木愛枝さん、北口ユースケ監督(左より)

北口:アイドルというか芸能プロダクションって、あくまで世間一般のイメージですけど「芸能界の闇」みたいなイメージってあるじゃないですか。いまはハラスメントなんかが話題になることもありますし、そういう意味では虐待問題とはけっこう近いところがあるんじゃないかとは思っていました。映画に出てくる夢というアイドルの子は、マネージャーとの間に子どもができてしまうんですけど、そのふたりは向き合おうとしていないんですよね。オトセと母親は、最終的には向き合おうとしているので、そこが違うんです。いまは「向き合う」ことができない人が多いんじゃないかと思っていて、オトセと母親が向き合おうという選択をしたのはカッコいいと思うし、自分もそうありたいなというふうには思うんです。……なんか話が逸れてしまいましたけど、そんなことは思っています。

―― 最後になりますが、関西で先行公開されていた『彼岸のふたり』が、いよいよ全国公開を迎えます。公開を前にしたお気持ちを、それぞれお願いします。

朝比奈:私は普段はアイドルとして「どうしたらキラキラできるだろう?」って考えているところを、この『彼岸のふたり』では、いかに西園オトセという大変な境遇の女の子になれるかという、いままで考えたことのない意識でがんばったので、アイドルとしての私を知っている方が観たら違いにビックリするんじゃないかなと思いますし、私をまったく知らない方にも「どこかのアイドルがちょっと映画やったんやな」って思われないくらいにがんばれたと自分では思っているので、とにかく、いろいろな方、たくさんの方に、1本の映画として観ていいただきたいなと思っています。

並木:この映画は北口監督の初長編で、監督にとっても大事な作品だと思います。今回、俳優としてご一緒させていただいて、本当に俳優の心情だったりを尊重してくださって、俳優から出てくるアイディアや感情をとても大切に扱ってくれる方でした。機会があればこれからも何度でも一緒に作品作りをしていきたいと思える監督でしたので、それが実現するためにも、この長編1作目が「この監督が新しい作品を作ったらまた観たい」と思ってもらえるきっかけになったらいいなと思っています。
 私個人としては、長く俳優をやっていますけど、久しぶりにメインどころで出していただけて、ここのところは柔らかい役をやることも多かったところ、また刺激の強い女性の役でしたので、ふんだんに感情を詰め込んだところを観ていただいて「俳優・並木、またちょっと進化したな」と思っていただけたらいいなと思っています。

北口:やっぱり、劇場で観てほしいんですよね。すごく小さな作品ではありますし、爆発もしないし、アクションもないし、派手な演出はないんですけど、だからこそ大きなスクリーンで観ていただきたいんです。ほんのちょっとした目の揺らぎであったり、指先の動きであったり、そういう細かいディティールにぼくも俳優もすごくこだわって芝居を作っていて、小さい画面では見逃す情報がいっぱいあると思いますし、1回観ただけではわからないところもあると思いますので、細かすぎて伝わりづらい演出と演技を、劇場の大きなスクリーンで楽しんでほしいなと思います。

インタビュー写真

朝比奈めいりさん(左)と並木愛枝さん。おふたりが劇中でどんな「母娘」の姿を見せているのか、ぜひ劇場でたしかめてください

(2023年1月24日/池袋シネマ・ロサにて収録)

作品メインビジュアル

彼岸のふたり

  • 監督・脚本・編集:北口ユースケ
  • 脚本:前田有貴
  • 出演:朝比奈めいり 並木愛枝 ドヰタイジ 寺浦麻貴 井之上チャル ほか
  • 主題歌:イロハサクラ「地獄太夫」

2023年2月4日(土)より池袋シネマ・ロサにてレイトショー ほか全国順次公開

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