「解 散！」 その言葉を残して蒸発した父。その日から、中学生の“ボク”のホームレス生活が始まった……。
人気お笑いコンビ“麒麟”の田村裕が、自身の体験を著した「ホームレス中学生」は、発売直後から話題を呼び、発売後２ヶ月で１００万部を達成。２００８年５月現在、発行部数２２２万部を記録している超話題作が、映画化を果たした。
一家離散という厳しい現実を前に、自分の力で生きていこうとする主人公の田村少年を演じるのは、原作者が主演に熱望していた小池徹平。『ラブ★コン』『KIDS』などで実力派若手俳優としての地位を固めるほか、人気ユニット“Wat”で音楽活動も好調な小池が、自らの出身地である大阪を舞台に、たくましく成長する中学生をいきいきと演じている。
子供たちを残して蒸発してしまう父親には、独特の存在感が光るイッセー尾形。そして、突然の事態に戸惑いながらも家庭再生を試みる兄をキングコングの西野亮廣、ひょうきんでどこか抜けている姉に池脇千鶴と、関西出身のふたりが少年の家族を好演する。さらに、亡母に古手川祐子、少年を見守る大人たちには田中裕子、宇崎竜童、いしだあゆみらベテラン勢が揃い、人情味溢れる大阪の人々を味わい深く演じる。
監督は『ロボコン』『奈緒子』など、青春群像劇に定評のある古厩智之。本作では、感受性豊かな少年の成長をみずみずしくきりとった。
現代の人々がなくしつつある思いやりと、家族の絆。思いっきり笑って、ホロリと泣けて、観終わったあとには大きな愛に包まれる……。心温まる作品が誕生した。
夏休みが始まったばかりの日。学校から駆け戻ってきた裕少年（小池徹平）を待っていたのは、家の玄関に貼られた“差し押さえ”の黄色いテープだった。
「まことに残念ではございますが、家のほうには入れなくなりました――解散！」。ぼう然とする裕たちにそんな言葉を残して、父（イッセー尾形）はいきなり蒸発。兄ちゃん（西野亮廣）や姉ちゃん（池脇千鶴）とも離れて、今日からひとりで生きてかなくてはならない。こうして、家をなくした裕少年のホームレス生活が始まった。
家の代わりに住みついたのは、公園にある巨大なウンコみたいな形をしたすべり台、通称“まきふん”。近所の子供たちからは「ウンコのオバケ」呼ばわりされ、必死に縄張り争いを繰り広げる毎日だ。自動販売機の下の小銭を集め、知恵と工夫で雨風をしのぎ、ときには空腹に耐えかねて段ボールをかじるというサバイバル生活。そんな波瀾万丈の生活を続けるうちに、少年の眼にはこれまで見えなかったものが映りはじめる……。
当たり前のように存在していた“わが家”が突然消えてしまった驚き。失って初めて見えてきた家族の絆。そして胸に蘇る、亡き母（古手川祐子）の思い出。やがて少年は、友達やその家族、近所の人たちに温かく見守られながら、大切なものを学んでいく。
