政府より発行される死亡予告証・通称“逝紙（イキガミ）”。それを受け取った者は24時間後に必ず死亡する――。“国家繁栄”の名のもとに。
24時間後に自分自身が、もしくは最愛の人が、死亡すると知らされたらあなたならどうするだろうか？ そう、映画『イキガミ』は、あなた自身の物語なのかもしれない。
２００５年「週刊ヤングサンデー」誌にて連載開始され原作コミックは、その衝撃的な設定や世界観もさることながら、そこに描かれる「残りの人生が24時間」であると宣告された人間と、周囲の人々の人間ドラマが読者の胸を打ち、ヒット作となった。
映画化にあたっては、人気コミックの映画化にふさわしい充実のキャストとスタッフが揃った。
“イキガミ”の配達人となる厚生保健省の国家公務員・藤本賢吾には、映画『花より男子 ファイナル』や、ＮＨＫ大河ドラマ「篤姫」など話題作への出演が続き、いまもっとも注目を集める俳優・松田翔太。イキガミがかつての仲間に届いたことを知るストリートミュージシャンに塚本高史。幼いころに事故で両親と視力を失った少女に成海璃子。その兄で、イキガミを受け取るチンピラに山田孝之。そのほか、風吹ジュン、柄本明、劇団ひとり、井川遥、笹野高史ら、豪華なキャスティングが実現。
監督は『樹の海』『犯人に告ぐ』など、リアルな人間ドラマを描くことで定評のある瀧本智行。本作でも、特殊な設定の中でリアルな人間な感情を描き出した。
極限状態におかれた人々が織りなす、リアルで壮絶な生命の輝きを描いた“ヒューマン・ドラマ”が誕生した。
“国家繁栄維持法”により、国民の“生命の価値”を高めることが、社会の生産性を向上させると信じられている世界――。そこでは、１０００人にひとりの確率で選ばれた18歳から24歳の若者の命が自動的に奪われる。
厚生保健省の国家公務員・藤本賢吾（松田翔太）の仕事は、政府より発行された死亡予告証・通称“逝紙（イキガミ）”を、国家繁栄のための栄誉ある国繁死亡者に配達すること、すなわち、死亡宣告をくだすことだった。イキガミを受け取った者に残された時間は、わずか24時間。藤本は“名誉ある仕事”であるイキガミ配達業務をまっとうしようとしていた。
ミュージシャンになる夢を捨てた森尾秀和（塚本高史）。かつての仲間の田辺翼（金井勇太）はデビューが決まっていたが、その矢先に翼にイキガミが届けられる――。
女性議員の滝沢和子（風吹ジュン）は、息子の直樹（佐野和真）にイキガミが届いたことを選挙戦に利用しようとする。直樹は、イキガミを受け取りある決意を固める――。
事故で両親と視力を失った飯塚さくら（成海璃子）。妹と暮らすことを願いつつ、生活のため犯罪まがいのことに手を染めていた兄のさとし（山田孝之）に、イキガミが届く――。
自らが届けた３通のイキガミを通じて“人生最後の24時間の生命の輝き”を目の当たりにした藤本は、自分の中に説明しがたい葛藤が渦巻いているのに気付く。そして物語は魂を揺さぶる衝撃のクライマックスを迎える――。
