重力ピエロ
監督：森淳一
出演：加瀬亮 岡田将生 小日向文世 鈴木京香 ほか
２００９年４月25日(土)宮城先行公開、５月23日(土)よりシネカノン有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー
２００９年／カラー／ヴィスタサイズ／ドルビーＳＲＤ／１１９分
ベストセラーを次々と送り出し、文学界に旋風を巻き起こしている作家・伊坂幸太郎。『アヒルと鴨のコインロッカー』『フィッシュストーリー』など、映画化が続いている伊坂作品の中でも、絶大な人気を誇りつつも映像化不可能といわれていた傑作ミステリー『重力ピエロ』が、ついに映画化を果たした。
つらい過去を持った家族。その記憶を抱えて兄弟が大人になったとき事件は起こる。謎の連続放火事件、残された壁の落書き、落書きと遺伝子暗号の奇妙なリンク。すべての謎が解けたとき、24年前から繋がる家族の謎が明らかになる――。
原作に魅せられ、情熱を持って映画化に挑んだのは、『大停電の夜に』などの脚本家・相沢友子と、『Laundry』『恋愛小説』などのほか人気アーティストのミュージックビデオやＣＭなども手がける森淳一。原作者も絶賛する作品へと仕上げた。
キャストにも、現在の日本映画界を代表する俳優陣が揃った。遺伝子研究をする兄・泉水（いずみ）には『それでもボクはやってない』『インスタント沼』の加瀬亮。その弟の春には『ハルフウェイ』『ホノカアボーイ』の岡田将生。父・正志に『ALWAYS 続・三丁目の夕日』『マジックアワー』の小日向文世。母の梨江子に『血と骨』の鈴木京香。謎の女・夏子に『蛇とピアス』の吉高由里子。泉水の友人・山内に「木更津キャッツアイ」シリーズの岡田義徳。事件の鍵を握る葛城に監督デビューも話題の渡部篤郎。期待の若手からベテランまで、人気実力を備えた豪華キャストが重厚な演技のアンサンブルを紡いでいく。
『重力ピエロ』は、ときにつらく残酷な物語だ。しかし、この奇妙なタイトルの意味を知るとき、観客は痛いほど胸を貫く深い感動に包まれるに違いない。
大学院で遺伝子の研究をしている奥野泉水（おくの・いずみ：加瀬亮）は、弟の春（岡田将生）と父の正志（小日向文世）が暮らす実家へと戻った。母・梨江子（鈴木京香）の命日を一緒に過ごすためだった。
街のあちこちに描かれた落書きを消すのを仕事にしている春は、連続放火事件を伝えるテレビのニュースを見て、放火された場所がいずれも春が消した落書きのすぐ近くであることに気づく。これからも落書きの近くで放火があると考えた春は、半信半疑の泉水を誘って夜の街で見張りをおこなう。だが、見張りの甲斐なく、ふたりのそばでまたも火の手が上がるのだった。
放火現場の近くにあった落書きに書かれたのは「God」「Can」「Talk」「Ants」「go to」「America」といった文字だった。入院した父を見舞った泉水は、クロスワードパズルを解く父の姿を見て、落書きの頭文字が人間の遺伝子をあらわす文字列と一致することに気づく。遺伝子の文字列が対応する文字と対になって二重螺旋を作っているように、落書きの頭文字と、放火された場所の頭文字は対をなしていたのだった。落書きは、遺伝子配列を使って放火現場を予告する暗号だったのだ。
だが、放火と遺伝子にどんな関係があるのか？ 頭を悩ます泉水は、大学院の友人・山内（岡田義徳）から、24年前に仙台市内で起きたある連続事件の犯人がすでにこの地に戻っていることを知らされ、その犯人・葛城（渡部篤郎）のことを調べはじめる。そして謎の女（吉高由里子）の姿が泉水の身辺に見え隠れする――。
葛城と泉水たちの間にはどんなかかわりがあるのか？ そして謎の女が告げる衝撃の事実とは？
