ヒモの信介とホームレスのツトムはあるきっかけから怪しいオッサン・安倍さんのもとで働くことになった。そして過去にある事件に関わった青年・寺田のもとにマスコミとネットが迫る。その背後に見え隠れするのは、巨大企業を率いる加藤 the catwalk ドーマンセーマン……。かつて陰陽師・安倍清明が活躍した京都を舞台に、古から伝わる伝奇的な世界と、現代を象徴する少年犯罪やメディアの暗部が融合したカテゴライズ不能の映画、それが『堀川中立売』（ほりかわなかたちうり）だ！
監督は、近年多くの映画人を輩出する大阪芸大出身の柴田剛。身体障害者を主演に起用した衝撃作『おそいひと』で世間を震撼させた柴田が、再び『おそいひと』製作のシマフィルムと組み、現在暮らす京都を舞台に『堀川中立売』を作り上げた。
バンド・オシリペンペンズのボーカル・石井モタコが信介で映画初主演をつとめるのをはじめ、ツトムには山下敦弘監督作品などで強烈な印象を残す山本剛史、寺田には本作が映画発出演となる野口雄介、さらに、バミューダ★バガボンドの堀田直蔵、VP-MONCHとして活躍する秦浩司、HATENA TAXIの清水佐絵と、関西を拠点に活動する面々を中心に個性あふれるキャストが揃った。また『おそいひと』主演の住田雅清が柴田監督作品に再登場。さらに神聖かまってちゃんのビデオクリップ出演で注目を集める祷キララが出演しているのも見逃せない。
音楽は“neco眠る”“あらかじめ決められた恋人たちへ”“SUPERDUMB”など、インディーズシーンで注目を集めているバンド総勢10組が楽曲を提供、さらにneco眠るのギタリスト森雄大が映画のためにオリジナルスコアを書き下ろしている。
柴田監督が京都で得た感覚が生んだカオスな世界。スクリーンからほとばしるエネルギーは必見だ。
堀川中立売と書いて「ほりかわなかたちうり」。京都の堀川通りと中立売通りが交わる場所の地名である。名高い平安時代の陰陽師・安倍清明を祀る神社の近くであり、清明が使った式神が住んだという“もどり橋”は堀川中立売にかかる橋……ではなくて、その隣だったりする。
現代の京都の街。消費者金融の社長が殺される事件が発生し、その事件は“天誅殺人”と呼ばれるようになっていた。“天誅殺人事件”は、15年前、当時14歳の少年が消費者金融社長一家を殺害した“正義感殺人事件”の再来なのか？ そして同時に、街では奇妙なペットボトルが置かれる事件も起きていた……。
信介（石井モタコ）は、ヒモとしてサエ（清水佐絵）に養ってもらっているのだが、ある日サエからいままで使った金を返すように言われて途方にくれる。そんな信介が橋の近くで出会ったのは強面のおっさん・安倍さん（堀田直蔵）。信介は安倍さんに金を用立ててもらう代わりに、人を探すことになった。やがて信介が見つけた尋ね人は、ホームレスとして暮らしているツトム（山本剛史）だった。安倍さんの指示で、信介とツトムはある“仕事”に携わることになる……。
そのころ、職を失ったばかりの青年・寺田（野口雄介）に、大企業会長である加藤 the catwalk ドーマンセーマン（秦浩司）が声をかけてきた。寺田は加藤の紹介で消費者金融につとめることになったのだが……。
街で起こる数々の事件とその背後に見える加藤の影。マスコミとネットに扇動された人々が迫る寺田の過去。果たして“宇宙警備隊”の安倍さんの目的とは？ この狂った世界に立ち向かうヒーローは？
