犯罪増加に苦慮する東京都が導入したのは、一般市民が犯罪検挙にあたる“市民ポリス”制度。さえないサラリーマン・芳一彦治郎（ほういち・ひこじろう）も市民ポリスに選ばれた。気弱で面倒なことを避けてきた芳一だが、市民ポリスとして力を振るう快感に目覚めていく。そして芳一がひそかに憧れるコンビニの美人店員・桃や謎の組織も絡んで、事態は思わぬ方向に!?
「翔んだカップル」「特命係長 只野仁」など膨大な作品で知られるマンガ家・柳沢きみおのコミック『市民ポリス69』が、個性豊かなキャストを迎えて実写映画化を果たした。
主人公の芳一を演じるのは、バラエティ番組でも人気の個性派俳優・酒井敏也。長いキャリアを持つ酒井だが、意外にも映画主演は『市民ポリス69』が初めて。妻にも娘にも冷たくされ悲哀の漂う中年男を見事に演じている。
ヒロインの桃には、人気アイドルグループ・ももいろクローバーのメンバーで、先ごろグループからの脱退を発表し話題となった早見あかり。本格的な演技は初挑戦ながら、さまざまな表情を見せて女優としての可能性を感じさせる。
そのほか、多くの作品で名バイプレイヤーとして活躍する津田寛治、人気セクシー女優の原紗央莉、独特の空気をもたらす佐藤二朗、貫禄の存在感を発揮するスター・錦野亘ら幅広いキャストが集結。さらに、早見の所属するももいろクローバーのメンバーも全員登場し、早見の女優デビュー作に彩りを添えている。
メガホンをとったのは『ＧＳワンダーランド』などで独自の世界を作り出す本田隆一。ポップな中にキッチュさとブラックな笑いも仕込み、一風変わったアクション・エンターテイメント作品を完成させた。
いまより３倍ほど物騒になった東京。都市犯罪の増加に直面した都は“市民ポリス”制度を導入した。善良な一般市民から選ばれた１００人が、素顔を隠す覆面と麻酔銃を支給され市民ポリスとして１ヶ月の間、犯罪取り締まりにあたるのだ。
69人目の市民ポリスに選ばれたのは、１日の小遣い２００円のさえない宅配ドライバー・芳一彦治郎（酒井敏也）。もともと気弱な芳一は犯罪を目撃しても見てみぬフリ。なんとか任期の30日間をやり過ごそうと考えていたが、あるきっかけから市民ポリスの力を行使する。そのときこれまで味わったことのない充実感に満たされた芳一は、力を振るう気持ちよさにとりつかれたように、次々に犯罪者を検挙していく。
そんな芳一が仕事で訪れるコンビニで働いているのが桃（早見あかり）。妻は不倫、娘は非行と家庭で居場所のない芳一にとって、優しく笑顔で接してくれる桃は心に安らぎをくれる存在だ。だが、小遣い２００円ではお弁当を作ってくれた桃にお礼もできず、みじめさに肩を落とす芳一。市民ポリスとして強盗事件を解決しても「なんで貧乏人が金持ちを助けなけりゃいけないんだ？」という疑問が芳一の胸によぎるようになる。そんなとき偶然に知りあった同じ市民ポリスの佐々木（桐生コウジ）から甘い誘惑が。そして芳一は衝撃の場面を目撃してしまい……。
一方、芳一たちの知らないところでは、輝也（津田寛治）率いる謎の組織のメンバー・冴子（原紗央莉）たちが暗躍をはじめていた。彼らが進める計画とは？
やがて、桃に呼び出された芳一は、桃からある秘密を打ち明けられる。そのとき、芳一はどうする!?
