ピンク映画を中心に一般映画でも活躍し、広く映画ファンからの注目を集める監督、いまおかしんじ。エドワード・ヤンやウォン・カーウァイ、ジム・ジャームッシュなど、名だたる監督たちの作品に参加し世界に名を知られる名カメラマン、クリストファー・ドイル。このふたりの才能が集い、１本の作品を生み出した。その名は『UNDER WATER LOVE 〜おんなの河童〜』。タイトルのとおり、日本の妖怪・河童をモチーフにした、日本とドイツ合作のピンクミュージカルである。
映画は、結婚を控えた女性の前に河童が現われるところから始まる。実はその河童、高校時代に事故で死んだ同級生の生まれ変わった姿だった。女性と河童と、婚約者や職場の同僚も絡んでの物語は、やがて不可思議な世界へと向かう。
その不可思議な世界を彩るのは、ドイツの人気ポップ・デュオ、ステレオ・トータルが担当した音楽だ。フランス人ボーカルのフランソワーズ・カクチェスが歌う日本語の歌詞は、観客を引き込む魅力に満ちている。
劇中歌の歌詞を手がけたのは、いまおか監督とともに脚本も担当した守屋文雄。脚本作『キツツキと雨』も待機中の守屋は、俳優としても重要な役で出演している。
主人公・明日香を演じたのは、これが映画初主演の正木佐和。30代半ばの女性をリアルに、そしてとてつもなくキュートに演じている。河童の青木役には、松江哲明監督のドキュメンタリー『童貞をプロデュース』で注目された梅澤嘉朗。そのほか、いまおか監督作品の常連である吉岡睦雄や、映画デビュー作『Ｍの呪縛』で大胆な演技を見せたセクシー女優・成田愛が共演する。
国境を越えたコラボレーションで送る、河童とエロス。斬新なラブストーリーが、いま世界に向けて放たれる。
缶詰工場で働いている明日香（正木佐和）は、ある日、工場の近くで河童を目撃する。慌てて工場の主任で婚約者のはじめ（吉岡睦雄）を連れてきて河童の姿を探すが、さっき見かけたはずの河童はどこにも見あたらなかった。
ところが、仕事を終え帰宅途中の明日香の車の前に、あの河童が姿を現わした。明日香はその河童にどことなく見覚えが。なんとその河童、明日香の高校時代の同級生で、沼で溺れ死んだ青木くん（梅澤嘉朗）が生まれ変わった姿だったのだ。
青木＝河童を自宅へと連れて帰ってきた明日香、青きと17年前の高校時代の思い出話に花を咲かせる。そこへ突然やってきたのははじめ。慌てた明日香はなにかと理由を付けてはじめに帰ってもらおうとするが、はじめは一向に帰ろうとしない。危うく風呂場に隠れている青木の存在がばれそうになるが、なんとか隠しとおすことに成功した。
はじめが帰ったあと、青木は明日香の家に泊めてほしいと切り出した。こっちの世界で暮らしたいというのだが、結婚の準備で忙しい明日香は、その頼みを断る。
しかし青木は、マスクにサングラスと帽子で顔を隠し、明日香とはじめが働く工場にバイトとしてやってきた。仕事が終わり、明日香と帰ろうとする青木だが、明日香ははじめとのデートが予定が。取り残された青木に同じ工場で働くセクシーな麗子が声をかけてきた。麗子は、隠れ家として使っている廃屋へ青木を連れていく。奇しくもそこは、かつての青木の家だった……。
なんとなく不思議な関係を続けていく明日香と青木、そしてはじめと麗子。ある日、明日香は青木が奇妙な格好をした男と一緒にいるのを見かける。その男は、青木に明日香に関するある事実を告げる……。
