大事な公演を前に“劇団フラッシュバック”の劇団員は合宿にやってきた。だが、もともとズレはじめていた劇団員の気持ちは合宿中の出来事がきっかけとなって完全にバラバラに。崩壊寸前となった劇団に起こる予想外の事態とは？
『失恋殺人』『CRAZY-ISM クレイジズム』『僕の中のオトコの娘』と、近作３作が３年連続モントリオール世界映画祭正式出品を果たしている映画監督・窪田将治。最新作『夜明け前 朝焼け中』で窪田将治が描くのは“劇団”だ。やる気も人気も結束力もない小さな劇団の中の人間模様、そして思わぬ状況に置かれた劇団員たちが選択するもの――。
キャストには、いま注目の若手俳優が起用された。「特命戦隊ゴーバスターズ」でファン層を広げた馬場良馬が主人公の劇団員・渡辺泰介を演じて窪田作品に３作連続出演するのをはじめ、劇団の主宰・石田亮には八神蓮、劇団員の手塚圭吾に平田裕一郎、同じく劇団員・末次圭吾に高崎翔太と、ミュージカル「テニスの王子様」出演経験を持ち舞台や映画、ドラマで活躍する若手男優が顔を揃えた。そして劇団の看板女優・南野香枝には「牙狼」シリーズなどの肘井美佳、団員・松井栄子にはファッション誌「ラブベリー」モデルを経て女優として活躍する橘美緒、客演女優の川口冬実にはミスマガジン２００７の中島愛里。７人の男優・女優の個性あふれる演技は見ものだ。また、窪田作品常連の草野康太、前作『僕の中のオトコの娘』主演の川野直樹、同作出演の河合龍之介、『CRAZY-ISM』出演の植野堀誠と、窪田作品に縁のある俳優が共演している。
どこかでありそうな小さな無名の劇団の人間模様は、あるきっかけから非日常の世界へと変化していく。まるで映画のジャンルが変わるような急展開が魅力の、青春変化球ムービーだ！
渡辺泰介（馬場良馬）たち“劇団フラッシュバック”の面々は、10周年記念公演を前にして合宿へとやって来た。台本を担当する劇団の主宰・石田亮（八神蓮）は、まだ台本が未完成にもかかわらず気楽なもので、合宿所に着くと早速飲み会をスタートさせる。創立10周年だが劇団フラッシュバックはいまだ無名の小さな劇団。酔いが回るにつれて愚痴ばかりが増えていく石田を、泰介は苦々しい想いで見つめる。
ようやく稽古が始まるが、台本があるのは芝居の序盤のほんの少しだけでろくな稽古もできない。泰介はもっと真面目に演劇に取り組もうと呼びかけるのだが、石田をはじめほかの団員の反応は鈍い。それでも、若手団員の末次圭吾（高崎翔太）だけは、泰介の熱意を感じて真剣に稽古に取り組みはじめた。
だが、看板女優の南野香枝（肘井美佳）と団員の手塚圭吾（平田裕一郎）は稽古よりも劇団内恋愛に熱心な様子。さらに客演女優の川口冬実（中島愛里）は、石田に色仕掛けで迫って自分の出番を増やそうとする。冬実の企みは見事に成功、石田が書き直した台本は冬実の出番ばかりが増えていき、わりを食った香枝と松井栄子（橘美緒）は、冬実への敵意をあらわにしていく。
団員たちの重なる不満はついに爆発し、とうとう稽古中に衝突してしまう。さらに冬実が石田だけでなく手塚にも迫っていたことまで判明し、ズレはじめていた団員たちの気持ちは完全にバラバラになってしまう……。
いまや崩壊寸前となった劇団フラッシュバック。そして想像もしていない事態が彼ら彼女らを待ち受けていた。やがて劇団フラッシュバックは、まさに人生を賭けた大芝居に臨むことになる……。
