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『手を握る泥棒の物語』作品情報
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『手を握る泥棒の物語』竹中夏海さんインタビュー

 ティーンに人気の作家・乙一さんの小説を、内山理名さん、忍成修吾さん主演、犬童一心監督で映像化するブロードバンドシネマ『手を握る泥棒の物語』。この作品に出演する助演女優を、インターネットを利用し、一般の方々も審査に参加して選ぶというオーディションが開催されました。1500人を越える応募者の中からグランプリに選ばれたのは、埼玉県出身の19歳、竹中夏海さん。映画のクランクインを前に、竹中さんにお話をうかがいました。



楽しくて、もう発表はなくていいかなと思ってました

―― 『手を握る泥棒の物語』オーディション合格おめでとうございます。

竹中:ありがとうございます。

―― まず、竹中さんが今回のオーディションに応募した動機を聞かせていただけますか。

竹中:私は舞踊学専攻っていって、踊りをやる大学に行っているんですね。それでダンサー募集の広告を見ようと思って雑誌をめくっていたら、たまたま映画の募集を見つけて、そっちの方に心を奪われまして(笑)。原作があるということで、原作も読んでみて、面白くて興味を持ったので応募してみました。

―― 今までに映画のオーディションを受けた経験はあったんですか。

竹中:小学校の高学年から中学前半くらいまで、こういう仕事をしていたんですね。ミュージカルとか、映画の仕事を何本か。それで、そのときに何回も受けていますね。

―― そのときにやったお仕事で、いくつか挙げていただけますか。

竹中:ミュージカルの『美少女戦士セーラームーン』(1995年公演)の“ちびうさ”の役をやったのが初めてですね。そのあとに『学校の怪談2』(1996年/平山秀幸監督)という映画をやって、あと、青森市制100周年記念映画(『森に抱かれた街』1998年/及川善弘監督)にも出させてもらって。それくらいですね。

―― そうするとオーディションには慣れている部分もあったと思いますけど、今回のオーディションはいかがでしたか。

竹中:(2次オーデョションでは)とりあえず質問はすごくされたんですよ。だけどお芝居については全然訊かれなくて(笑)。監督に髪型とか服装のこととか、関係ないことについてものすごく訊かれたので、質問はいっぱいされたけど…って思っていたんです(笑)。お芝居(演技テスト)は、イメージをいろいろ考えていて、詰まったりはしなかったので、自分の中では良かったなと思いましたね。

―― 最終審査に進む10人に選ばれたときはどう思いました。

竹中:オーディションのその日に発表だったんですね。それで、もう次の日に10人のそれぞれのイメージムービーの撮影があったんで、オーディションってことよりも、明日撮影だってことがすごく頭の中でグルグルグルグル回ってましたね(笑)。

―― そのイメージムービーもそうですけど、今回のオーディションはインターネットでその模様が配信されていて、応援してくれる方たちと掲示板で直接交流もされましたよね。

竹中:やっぱり、オーディションの段階でいろいろな人に見てもらうっていうのは初めてだったので、全部がビックリしましたね。でも、掲示板でリアルタイムで意見を聞けて、リアルタイムで返せるっていうこと自体が楽しかったですね。昔、お仕事をやっていた頃にも、お手紙とかを頂いたりしたこととかあったんです。だけど、当時は事務所に所属していたので、ファンの方が手紙を出してくれて、まず事務所を通すじゃないですか。そこから私に渡ってくるまでが長いので、半年前に書いてくれた手紙に返事を書いたりとかしていたので、そういう時差みたいのがすごくもどかしかったんですよ。だから、それが全然ないのが嬉しかったです。

―― 2次オーディションに受かったのが10月半ばで、12月の最終発表まで、どんな1ヶ月半でしたか。

竹中:1ヶ月半っていっても、普通に過ごす1ヶ月半じゃなくて、掲示板に書き込みするのが日課みたいになっていたし、一緒に受けた女の子同士もどんどん仲良くなってっちゃうし(笑)。『ひかり荘』っていう生番組に出演して、自分が出ていないときにほかの子たちが撮影しているのを見て、この子はああいう子だな、こういう子だなって、どんどんお互いを知るようになって。こんなにオーディションで女の子同士がお互いのことを知ることってなかなかないので、ライバルじゃないんですよ。大学が終わったあとに通うっていう形だったので、クラブ活動みたいな感じですね。どんどん楽しくなっていったんで、現状維持したいと思ってて、もう発表はなくていいかな、とか思うようになりましたね(笑)。

―― 最終発表はどういうかたちでおこなわれたんでしょうか。

竹中:最終候補者の子がみんな集まって、全員の前でプロデューサーさんが名前を呼ぶっていうかたちでした。でも、あんまり覚えていないんですよね。とりあえず花束をもらうので立たなきゃとか思ってたんですけど(笑)。やっぱり、オーディション期間が長かったので、受かったんだってことを理解はできるんですけど、やっぱりそんなに簡単には実感は湧きませんでしたね(笑)。

―― 今までに受けたことのあるオーディションとは違う感じでしたか。

竹中:全然違いますね。みんなの前で発表っていうのは、テレビで観るオーディション番組とかではあるんですけど、まさか自分がそういう立場になるとは思いませんでしたね(笑)。

早く撮影が始まんないかなって感じなんです

―― この作品で竹中さんが演じる“萌”って、原作だとあまり出てこないんですよね。

竹中:はい、出てきません(笑)。だから、オーディションを受ける前に原作を読んだんですけど、なにやるのかなと思って(笑)。でも、「設定が少し変わることがあります」って書いてあって、書類で受かりましたっていう連絡が来たときに、セリフ(脚本の一部)が一緒に入っていて、それを読んだら設定がだいぶ変わっていたので、ああ、やっぱり違うんだと思いましたね。

―― 原作にほとんど出てこない役だから、役のイメージが掴みづらいんじゃないでしょうか。

竹中:そうですね。だから、いろんな段階があるんですけど、まず、原作だけ読んだときはなんなんだろうと思って(笑)。で、(2次オーディションのときに)セリフの一部を読ませてもらって、自殺未遂をするっていう設定だったんですね。それで、原作からヒントをもらうとしたら、萌のお母さんの性格を読んで、お母さんがこういう人だから娘がこういう風に悩むのかなとかっていうのを考えていって。そのときはすごい追い詰められている子を想像していたんですけど、今回、脚本全体を読ませてもらったら、そう思い詰め過ぎてる子にも思えなくて。演じ方次第で全然変わるような感じなので、まだちょっとイメージは確立はしていない感じですね。

―― 犬童一心監督のこれまでの作品はご覧になっていますか。

竹中:『ジョゼと虎と魚たち』を観ようと思っているんですよ。それはオーディションの前から観たくて、原作も読んだりしていたんですけど、ほかの作品は、まだ観てないですね(笑)。『黄泉がえり』(犬童監督が脚本に参加)はすごく観にいきましたよ。2回か3回映画館に行きました。

―― 2次オーディションのときに初めて監督にお会いしたんですよね。どんな印象でしたか。

竹中:不思議な感じですよね(笑)。オーディションでされる質問って、だいたい想像つくじゃないですか。でも、ほかの審査員の方からは「好きな女優さんは」とかって訊かれることはあったんですけど、監督がする質問は全部映画と関係ないことなんで、何を見抜かれているんだろうと思って(笑)。すごい人だなと思いましたね。こういう人じゃないと映画監督はできないんだろうなと思いました。

―― 以前やられた『学校の怪談2』の平山監督とは違った感じですか。

竹中:私の勝手なイメージなんですけど、平山監督はほんとに日本の映画監督っていう感じがして、なんかカッコいいんですよ。全然出たがりじゃなくて、舞台あいさつでも汚い格好してるんですけど(笑)、すっごいカッコいいんですよね。
 犬童監督も、平山監督とは雰囲気は違いますけど、やっぱり、優しそうな感じなんですけど、優しいだけじゃない感じですね。でも、まだオーディションのときしか会っていないんで、わかんないですね。

―― 犬童監督とお仕事するのは楽しみですか? それともちょっと怖い?(笑)

竹中:いやいや、全然楽しみです(笑)。オーディションのときは怖い雰囲気は感じなかったので。

―― それから、この作品では内山理名さん、忍成修吾さんのおふたりとの共演になりますね。

竹中:すごいやっていう感じですね(笑)。いろいろな作品に出ていて、変な言い方ですけど、内山理名さん、忍成修吾さんを観ようと思って観るんじゃなくても、自然におふたりの出ている作品を観るじゃないですか。そういう方たちとお仕事できるのはラッキーですよね。

―― おふたりの作品で印象に残っている作品ってありますか。

竹中:内山さんは、『バスストップ』(2000年/フジテレビ系放送)っていう内村光良さんと飯島直子さんのドラマで、祭ちゃんっていうのをやっていたのがすごい印象的で、日本の良さが全部詰まっている女の子みたいな感じがしましたね。その祭ちゃんのイメージが強いですね。
 忍成さんは、『リリイ・シュシュのすべて』(2001年/岩井俊二監督)を観たいと思ってるんですよ。私、オーディション受けたんですよね。それで落ちたんですよ(笑)。私、普段は緊張しないんですけど、そのオーディション会場は、ほかのオーディション会場と変わらないはずなんですけど、すごい緊張して。興味ある作品だったので逆に緊張したのかわからないんですけど、それをすごい覚えているんですよ。忍成さんもたぶんオーディションを受けたんだと思うんですね。だから、そのオーディションを勝ち抜いたのはすごいなと思って。『学校の怪談2』で共演した男の子(細山田隆人さん)も出ているんですよ。だから、今一番観たい作品ですね。

―― ちょっと気が早いですけど、この作品のあとはどんな風に活動をしたいと思っていますか。

竹中:自分なりのお芝居ができる女優さんになれれば一番いいんですけど、今は、とりあえずどんな役でもやってみたいですね。やったことのない役のほうが全然多いので、できるならなんでもやりたいと思っています。それから私、若かった頃の加賀まり子さんが大好きなんですよ。だから、見た目は加賀まり子さんみたいになりたいですね。なれるもんじゃないですけど(笑)。
 あと、昔から出たいと思っているのが音楽のプロモーションビデオ(PV)で、俳優さんが出ていて、物語があるPVがあるじゃないですか。そういうのに出たいんですよ。どのアーティストさんのPVに出たいというのじゃなくて、歌詞に物語がある感じの曲のPVに出たいですね。

―― 今まで観た中で特に好きなPVってありますか。

竹中:最近観た中で印象に残っているのは、ZONEさんの『僕の手紙』っていう曲で、映画っぽいんですよ。男の子が入院している女の子に手紙を出すんだけど、最後女の子が死んじゃって、みたいな。あと、ゴスペラーズさんの最近の曲で(『新大阪』)、遠距離恋愛の男の子と女の子の話で、駅のザワザワした音から入って曲が始まるんですけど、そういうのが好きですね。セリフがないから、すごい想像が膨らむじゃないですか。だから興味があるんですよね。

―― 今後、この監督の作品に出たいという監督さんはいらっしゃいますか。

竹中:平山監督の映画にまた出たいです。『学校の怪談2』をやった頃は、物心ついているかついてないかっていう頃だったので、今、ちゃんと意識を持って、もう1回監督の作品に出たいですね。

―― もうすぐ撮影が始まりますが、今の気持ちをお願いします。

竹中:緊張よりは、早く始まんないかなって感じなんです。小学校5年生のときとかにやってたのは、自分に近い、生意気な子供だったりとか、良く喋る子供だったりしたので、正直、お芝居をしている感覚は全然なかったんです。だから、こうして役について考えてお芝居しようと思っているのが初めてなので、早くやりたいですね。

(2003年12月24日/角川大映映画オフィスで収録)


 ハキハキとした口調で元気良く話すのが印象に残る竹中さん。お話の内容からは、女優という仕事に対してしっかりとした意識を持っているのが伝わってきました。その一方で、取材日がクリスマス・イブだったこともあり、スタッフとプレゼント交換の話題で盛り上がったりと、いかにも19歳の女の子らしい面も感じられました。
 『手を握る泥棒の物語』で、どんな演技を見せてくれるのか、とても楽しみです。

角川ブロードバンドシネマシリーズ最新作
手を握る泥棒の物語

犬童一心 監督作品
乙一 原作(角川書店「失はれる物語」収録)

 冴えないデザイナーの青年は、叔母のハンドバッグを盗むため旅館の壁に穴を開け、手を突っ込んだ。だがその瞬間、彼は、たいへんなものをつかんでしまった…?!
 薄い壁越しに手と手を握りあう彼と彼女の奇妙なひとときは、互いにどこか寂しさを抱えた二人の心を少しずつ近づけていく…。

製作:TEPCOひかり/CASTY/角川書店
2004年2月上旬配信予定

監督:犬童一心
1960年、東京都生まれ。
高校在学中より自主制作映画に着手、79年に脚本・監督作『気分を変えて?』でぴあフィルムフェスティバル入選。CMディレクターとして多数の受賞を重ね、96年には長編デビュー作『二人が喋ってる。』がサンダンスフィルムフェスティバル・イン・東京でグランプリ、日本映画監督協会新人賞を受賞。2000年公開の池脇千鶴、伊勢谷友介主演の『金髪の草原』でゆうばり国際ファンタスティック映画祭2000グランプリ受賞。市川準監督『大阪物語』、や、今年公開され大ヒットとなった塩田明彦監督『黄泉がえり』では脚本家としても活躍。田辺聖子の原作を映画化した池脇千鶴、妻夫木聡主演の最新作『ジョゼと虎と魚たち』が控えている。

主演:内山理名
1981年11月7日生まれ。
1998年、フジテレビ「美少女H」でデビュー。その後、NHK朝の連続テレビ小説「すずらん」など多数のドラマに出演を果たす。2003年はNHK大河ドラマ「武蔵 MUSASHI」の朱実役、TBS系日曜劇場「GOOD LUCK!!」の深浦うらら役、TBS「元カレ」の早川菜央役などで大活躍。映画では、2000年『GO-CON!』、2001年『サトラレ』の出演を経て、2003年、長澤雅彦監督『卒業』で初主演を果たした。『手を握る泥棒の物語』では主演の大人気アイドルをつとめる。

原作:乙一
1978年、福岡県生まれ。
17歳の時『夏と花火と私の死体』で第6回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞しデビュー。『GOTH リストカット事件』(角川書店)で第3回本格ミステリー賞を受賞、「2003このミステリーがすごい!」でも国内部門第2位にランクインするなど、高い評価を得ている。角川スニーカー文庫から傑作短編集『さみしさの周波数』のほか『きみにしか聞こえない -CALLING YOU-』、『失踪HOLIDAY』を出版、少年少女のストーリーをユニークな着想で描き人気を呼んでいる。


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