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『つむじ風食堂の夜』製作発表会見

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会見に出席したスネオヘアーさん、八嶋智人さん、月船さららさん、篠原哲雄監督。八嶋さんが手にしているのは映画に登場するクロケット(コロッケ)定食

 ロングセラーとなっている小説を篠原哲雄監督のメガホン、八嶋智人さんの主演で映画化した『つむじ風食堂の夜』の製作発表記者会見が7月16日に都内でおこなわれ、篠原監督、八嶋さん、共演の月船さららさん、同じく共演で主題歌も担当するスネオヘアーさんが出席しました。
 吉田篤弘さんの同名小説を原作とした『つむじ風食堂の夜』は、“月舟町”という街にあるちょっと風変わりな“つむじ風食堂”に集まる人々と、主人公の「私」の日々の出来事を、北海道・函館でのオールロケによって描いたファンタジー。会見では出演者は演じた役について、監督は映画化にあたっての心境をそれぞれに語りました。

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「私」役:八嶋智人さん

本日はお集まりいただきありがとうございます。『つむじ風食堂の夜』という、かわいらしい作品ができあがったと思います。たくさんの人に観ていただきたいと思います。
 (原作を)すごいチャーミングな本だなと思って読んでいたので、まさか自分が「私」という役をやるとは思っていなかったんですけど、お話をいただいて嬉しく思っておりました。それで、原作者の吉田さんとお会いしたときに、これは自慢になりますけど、ぼくをイメージして書かれたとうかがって、じゃあこれは、来るべきものが来たのかということでございますので、映画、原作、そしてわたくし八嶋智人自身、なんのブレもなく演じることができたということでございます。ほんとに、こういう作品に出あえて、すごく幸せに思っています。

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奈々津さん役:月船さららさん

食堂の常連客のひとりの、舞台女優の奈々津という役を演じております、月船さららです。
 まず、こんなほのぼのした作品に出たことがなかったので、お話をいただいて単純にすごい嬉しかったんですけど、台本を読んで“月舟町”というのが出てくるので、これって縁起がいいから同じ名前でいこうっていう理由かなと、それだけの理由だったらどうしようと思ったんです(笑)。でも台本を読んでいったら、ちょうど私のそのときの心情と一緒だったんです。映画で私のやる役は舞台女優をやっていて、八嶋さん演じられる「私」さんに「脚本を書いてください」って言いに行くんですけど、私も実際に自分の舞台の脚本をお願いしていた時期だったんです。なので「これは運命だ」と思って、とってもワクワクして作品に挑みました。

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タブラさん・タブラさんの息子役:スネオヘアーさん

ぼくは喫茶店のマスターの親子ですね、タブラさんという役と、タブラ・ジュニア役、ならびに主題歌も歌わせていただきました。よろしくお願いします。
 やっぱり、普段、いろいろなメッセージや葛藤がある中でですね、飲み屋でしか言えないくらいのことを歌にして伝えていく、それが我々ミュージシャンのスタンスだと思っています。そういう意味では、演じるということは自分の中のモードにはまるでないものなんです。ただ、喫茶店のマスターという役は、自分もそろそろ音楽のほうも芽が出ないということに気づきだして、貯めた小銭で喫茶店のマスターでもやりたいなと思っていて、喫茶店を開くのが夢だったので、ほんとにこの役が来てラッキーだなと。演じるうんぬんというよりも、ほんとにありがたいお話だと思いました。

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篠原哲雄監督

篠原です。去年の12月の真冬に、函館でわずか8日間くらいでこの作品を撮りました。すごくスピーディーに撮ったんですけど、できあがるまでにはそれから半年くらいかかりまして、ようやくこうして発表できることになりました。すごく気持ちのいい映画ができました。みなさんに楽しんで観ていただきたいなと思っております。
 ぼくは食堂の話を撮りたかったんですよ。この話は食堂に集まる人の群像劇という要素がありまして、主人公は常に、こことどこか別のところは行ったり来たりできるんじゃないか? 世の中というのは、角度を変えてみればそういうふうに見えるんだ、というようなことを逡巡しながら迷っているような、そういう話なんですね。そういう人が集まっている食堂を“つむじ風食堂”と称しまして、逡巡というのは悪いことではなくて、そこにグルグルとつむじ風が貯まっていくみたいな、そういう“漂う主人公の心象”として表した言葉としての“つむじ風”、そしてそこに集まる人々の話です。すごく味わい深い哲学的な話題がなされたり、一風変わったヘンテコな会話がなされたり、原作を読んだときから「ちょっと世の中にない映画になるんじゃないか?」と思っていまして、ほんとに一風変わった映画ができあがったなと思っております。映画を観た人でないと、どこが一風変わっているかというのは言いづらい部分はあるんですけど、そんな感じです。

 映画のロケ地となった函館は、2002年に公開された『オー・ド・ヴィ eau de vie』(函館港イルミナシオン映画祭シナリオ大賞受賞作)の撮影がおこなわれるなど、篠原監督には縁の深い場所。篠原監督は、昨年『『オー・ド・ヴィ eau de vie』のメインスタッフとともに函館を訪れた際「吸い寄せられるようにここに来てしまったんじゃないか」と感じてロケハンを始め、『つむじ風食堂の夜』のロケ地が決まったことを説明し、「(天候の問題で)ほんとに綱渡りのように撮っていたんですけど、晴れたり曇ったり雪降ったりという表現ができて、映画の神様が“函館で撮れ”って言っているんじゃないかと思いました。奇跡がいっぱい起きて映画ができた気がしていています」と撮影を振り返りました。
 また、八嶋さんは「函館のみなさんの協力なしでは完成しなかった作品です。みなさんの“人と人とのつながり”で完成したというのは、映画の内容にもリンクしています」と、月船さんは「寒い時期に函館のみなさんの温かさを感じながら映画を撮れたのは、莫大な予算を使った映画よりずっと幸せなものを感じられたなと思っています」と、それぞれに函館の印象を語りました。

 『つむじ風食堂の夜』は、ほかに下條アトムさん、田中要次さん、芹澤興人さん、生瀬勝久さんらが出演。映像と音楽のコラボレーション・ムービー“CineMusica”シリーズの第7弾として2009年年内に全国順次ロードショーされます(配給:ジョリー・ロジャー)。

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クロケットにかじりつこうとする八嶋智人さん(左からふたり目)。映画の中でクロケットがどんな役割を果たしているかは映画を観てのお楽しみ

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