日本映画専門情報サイト:fjmovie.com

fjmovie.comトップページニュース一覧>『春との旅』“出発の日”舞台あいさつ・会見

『春との旅』“出発の日”舞台あいさつ・会見

記事メイン写真

舞台あいさつをおこなった淡島千景さん、美保純さん、小林政広監督、仲代達矢さん、徳永えりさん(左より)

 国際的に高い評価を受けている小林政広監督がメガホンをとり、仲代達矢さんが9年ぶりに映画主演を果たした『春との旅』(2010年5月公開)がこのほど完成し、12月7日に有楽町朝日ホールで“出発の日”と題してマスコミ向けの試写会と完成報告会見がおこなわれました。
 『春との旅』は、仲代さんが演じる老人・忠男が、孫娘の春とともに、自分の住む場所を求めて兄弟たちのもとを訪ね歩くロードムービー。
 上映前には小林監督が登壇し「8年前に初稿を書きまして、企画を持っていろいろ歩いたんですが実現しなくて、2、3年前に仲代さんに手紙を添えて台本を送ったところ、気に入っていただいて出演が決まって、そこからまた3年もかかってしまったんですけどやっと実現しました。今日、この日を迎えられたのは嬉しいことです」とあいさつ。そして小林監督の紹介で仲代さん、春役の徳永えりさん、共演の美保純さんと淡島千景さんも壇上に上がり、5人による舞台あいさつがおこなわれました。

コメント写真

2001年の11月にスタートした企画を8年越しで実現させた小林政広監督は「とにかく、みなさんとぼくらの力を込めた作品になっています。どうぞごゆっくり楽しんで観てください」とあいさつしました

コメント写真

数日後に喜寿の誕生日を控えた仲代達矢さんは「この映画に出演させていただいて役者としての晩年を迎えたつもりでおります。この晩年のときにこの映画に出会ったことを誇りに思っています」とあいさつ

コメント写真

「仲代さんはじめ素敵な方々とお芝居ができたこと、小林監督とお仕事できたこと、ほかのスタッフの方々に支えられながらすごくいい時間を過ごせて、私にとって財産になりました」と春役の徳永えりさん

コメント写真

「私はおばさんの役なんですけど、しっかり(映画の中で)おばさんになっていることが嬉しくて、映画ファンのひとりですけど、やっぱり出るほうがいいなって(笑)。楽しかったです」と美保純さん

コメント写真

「やっと先生(小林監督)の作品に出していただけて嬉しく思いました。長く生きてきたからこうして素晴しい芝居をさせていただける映画に出していただけたんだと感謝しております」と淡島千景さん

コメント写真

「ぼくの親父が大好きな役者さんで、まさかご一緒に映画が作れるとは思っていなかった」という小林監督の紹介を受けて舞台へと登壇した仲代さんは、小林監督と壇上で固い抱擁を交わしました

 上映終了後には、小林監督、仲代さん、徳永さん、紀伊宗之プロデューサーが出席しての完成報告会見がおこなわれました。
 仲代さんは「すごくシナリオがよかったものですから、この素敵なシナリオを越えられるかなとちょっと不安に思っていた時期があったんですが(笑)、完成した作品を観まして、まず監督に言ったことは“監督、ホン(脚本)を越えたね”。小林さんは見事なシナリオを書き、見事に映画化した。私は小林さんは映画作りの天才だと思っております」と小林監督を評するとともに、「若い才能のある監督にはお金と時間をもう少し与えていったら、日本映画はもっと世界に羽ばたいていくと思います」と日本映画の現状への提言をおこないました。
 また、質疑応答では、作品を鑑賞したばかりのマスコミ関係者から映画の内容やプロモーション展開などについて活発な質問が寄せられました。紀伊プロデューサーは「50年代、60年代には、それぞれの地域でそれぞれのみなさんに伝えていくために全国各地に映画会社の人がいました。いま、そういう人たちがいなくなった中でどうするかというと、我々は全国に(株式会社ティ・ジョイの運営する)劇場を展開しています。劇場があるということはそこに従業員がいます。そうやって人から人に地道に伝えていくようなやり方でこの映画をたくさんの方に観ていただきたいと思っています」と方針を語りました。

記事メイン写真

会見に出席した小林政広監督、仲代達矢さん、徳永えりさん、紀伊宗之プロデューサー。左端は会見の司会をつとめた掛尾良夫キネマ旬報映画総合研究所所長

 舞台あいさつに登壇したキャストのほか、大滝秀治さん、菅井きんさん、田中裕子さん、柄本明さん、小林薫さん、戸田菜穂さん、香川照之さんら、日本映画界を代表する錚々たる俳優陣が顔を揃え、“生きる”というテーマを描いた『春との旅』は、2010年5月、全国ロードショーされます(配給:アスミック・エース/ティ・ジョイ)。

スポンサーリンク