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『28 1/2 妄想の巨人』完成披露試写会

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舞台あいさつをおこなった押井守監督と奥田恵梨華さん(左より)

 世界から注目される押井守監督の最新実写作品となる『28 1/2 妄想の巨人』(にじゅうはっかにぶんのいち・もうそうのきょじん)のマスコミ向け試写会が6月28日に東京の文化学院講堂で開催され、押井監督と主演をつとめた奥田恵梨華さんが舞台あいさつをおこないました。
 『28 1/2 妄想の巨人』は、もともと2009年に上演された押井監督脚本・演出の舞台「鉄人28号」のメイキングとしてスタートした作品。押井監督の「ぼくが観た範囲で言うと、メイキングというのはほとんどがつまらない。前々から予算の無駄遣いだと思っていました。メイキングを作るのであれば、ドキュメントとして成立する作品にしたほうがいいんじゃないか」という発想から、奥田さんら舞台出演者とは別の俳優陣も参加して押井監督の演出で制作されたもので、押井監督は「途中からは完全に映画という意識でやっていました。舞台をやるついでにオマケに映画も撮れた、ついで映画、なりゆき映画。そういう方法でも映画は撮れるんだ」とコメント。「これだけ予算がなくてなにもないっていうのは珍しくて、大変苦労しました。苦労はしましたけど、その日なにを撮るかをそこに行ってから決めるという、ほとんど思いつきだけで撮った映画です。そういう意味ではたいへん楽しい撮影でした」と撮影を振り返り「個人的にはですね、こういう映画だけを作って暮らしていければひじょうに幸せ。こういう映画がぼくの一番好きな映画なんです」と堂々と宣言しました。
 監督も語ったように、脚本なしという独特の方式で撮影がおこなわれたため、主演の奥田さんは「ちゃんとした台本がなくて、当日(撮影場所に)行って“ちょっとこうしてみて”とか“そこでパン食べてみて”とか、そういうことも滅多にないこと」と、戸惑いもあった様子。「“ここで踊ってみようか”と言われたときが一番大変でした。本番直前の1時間くらいで振り付けを教えてもらって無茶振りって感じでやっていますので、ひどいことになっていると思うんですけど(笑)」と撮影の苦労を語り、映画の見どころを尋ねられると「逆にそこ(ダンスのシーン)は注目しないでほしい(笑)」と、逆アピールしました。

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「最後はすごいことになっています。一瞬ですけど。ほとんどタダみたいな感じ(の低予算)でやったんですけど、最後だけは気張りました。ヘリコプターも飛ばしたし」と見どころを語った押井守監督

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「私も参加しているうちに押井ワールドに引き込まれまれて、よくわからない感じになりました(笑)。押井ワールドを存分に堪能していただければと思います」と小林言子(あきこ)役の奥田恵梨華さん

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映画のポスターを挟んで立つ押井守監督と奥田恵梨華さん。監督によると「若い女優と仕事をするのが一番難しい。どうすればいいかわからなくて、慣れたころにはもう終わっちゃいました」とのこと。

 この日の試写会には、会場である文化学院でクリエイターを目指す学生も多く参加しており、押井監督は「学生さんに一言。こういう映画もあるんです。“こんなのは映画じゃない”と思っている人はですね、文化学院に通っても無駄になるんじゃないか。逆に“映画はこれでいいんだ”と思った人は呪いがかかって将来食えなくなる。映画というのはバランスが大事なんです。“これでいいんだ”と思った瞬間危ういし“こんなのは映画じゃない”と思った瞬間もダメなんですよ。映画になりかけようとしているなにかが一番映画的な映画。その辺を見極めてもらいたい」とメッセージを贈りました。

 フェデリコ・フェリーニ監督の名作『8 1/2』へのオマージュにもなっており、押井監督曰く「けっこうクラシックな映画ですよ。ぼくが学生だった70年代にはよくある映画。そういうものだと思ってみていただければそんなに変な映画だとばかりとも言えない」という『28 1/2 妄想の巨人』は、7月31日よりユーロスペースにてレイトショー。また、8月7日(土)から13日(金)までは『28 1/2 妄想の巨人』のもととなった舞台「鉄人28号」が同会場にて1週間限定レイトショーされます。

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