お笑いコンビ・バナナマンの設楽統さんが映画初主演をつとめた『裁判長！ここは懲役４年でどうすか』が11月６日に初日を迎え、ヒューマントラストシネマ渋谷で設楽さんと共演の片瀬那奈さん、鈴木砂羽さん、バナナマンの相方で映画にも出演している日村勇紀さん、豊島圭介監督が舞台あいさつをおこないました。
　北尾トロさんによる裁判傍聴記を原作にした『裁判長！ここは懲役４年でどうすか』は、設楽さん演じる売れないライター・南波タモツを主人公に、裁判所で繰り広げられるさまざまな人間模様と、それを見つめる傍聴マニアたちの姿をコミカルに描いた作品。
　設楽さんは「（主演の話を聞いて）はじめはドッキリかなと思ったくらい。“なんで？　なんで俺なの？　そんな仕事来るわけねえじゃん”とちょっとマネージャーにキレ気味になりました。日村さんもそのとき同時に聞いたんですけど“日村さんも出ます。痴漢役です”って言われてずっこけちゃいました。コンビ内格差が生まれだしてるなと」と話して客席を笑わせつつ、初の映画主演について「違う畑に行った的な感じがしちゃって緊張しちゃうんですよ。法廷のシーンでは（セットが）４方向囲ってあってほんとに部屋の中にいるみたいで“いつ撮ってんのかな？”とか“これ、俺撮ってんの？”という感じでやっていまいた。お笑いだと“俺、いま喋ってんのかな？”とか“俺、コントやっているのかな”とは思わないですから、その辺が違うかな」と振り返りました。
　豊島監督は設楽さんについて「普通は目の前の山みたいなものに立ち向かって、それを乗り越えられるかどうかみたいなのが映画の主人公なんですけど、今回は自分の人生をかけて闘っている人たちをちょっと離れてニヤッと笑って見てるだけの主人公なので、物語としては作りづらかったんです。だけど、設楽統さんを主演にお呼びして初めて映画がきちんと成立したなと思います」と話し「芝居をするということよりも、そのままでカメラの前にいるほうが難しいんじゃないかと言われているんですけど、設楽さんはそれが自然にできていて、それはすごい才能だなと」と賞賛。
　監督のその発言には「“こうやれ”って言われるとできないから、監督に聞かないで、なんも言われないようにしていたんですよ」と謙遜した設楽さんですが、監督に「ときどき、フッと見ると撮っているのに寝ている設楽さんがいて(笑)」と撮影中の居眠りを暴露されると「撮影前にほんとに傍聴に行ったときもちょっと寝ちゃったんですよ。ということは映画の中でもちょっと寝ちゃっていいんじゃないかと。そういう役作り。リアリティとリアルの狭間をやってみようかと」とやや無理のある弁明を。監督も「“設楽さん”じゃなくて役名の“南波さん”ってお呼びしたらパッと目を覚まして、寝てても南波さんになっていました」とフォローを入れました。

　舞台あいさつ終盤では、設楽さんがあるシーンでの演技について「誰にも言わなかったけど、ぼくの中ではマイケル・Ｊ・フォックスを意識しています」と告白。すると片瀬さんも「アンジェリーナ・ジョリーさんを意識してやらせていただきました」、鈴木さんも「私はもともとハリウッド仕込みのメソッドですから、出てきた瞬間から向こうを意識しています」と続け、最後は日村さんが「トム・ハンクスです」と落として会場を沸かせました。

　「人が真剣になにかに取り組んでいるときについ見せてしまうおかしみだったり、間抜けなさまだったりを描きたかったんです。それをたくさん羅列されているのを設楽さんたちが眺めるという不思議な映画になっていますので、笑って楽しんでいただければ」と豊島監督が語る『裁判長！ここは懲役４年でどうすか』は、11月６日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショーされています。