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野良ネコから見る平和:『Peace』特別試写会トークセッション

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トークセッションをおこなう想田和弘監督、坂本美雨さん、栗原彬さん、進行役をつとめた明治学院大学国際平和研究所主任の猪瀬浩平さん(右より)

 庭に来たネコたちに餌をやる夫婦と夫婦が携わる介護NPOの活動から現代の日本をとらえたドキュメンタリー映画『Peace』(7月16日公開)の試写会が7月11日に明治学院大学白金キャンパスアートホールで開催され、上映終了後には想田和弘監督とミュージシャンの坂本美雨さん、日本ボランティア学会会長の栗原彬さんがトークセッションをおこないました。
 坂本さんは映画について「最初はネコたちに飛びついたのが正直なところです(笑)」と笑顔でコメント。「日本のいろいろなところにリアルに暮らしている人がいて、些細な幸せだったり守っていきたい日常だったりをありのままに映しだしている。映画に出てくる方々は特別だから主人公になったのではなくて、私たちの毎日の中にもあの瞬間はある。すごく親しみがもてるというか、(映画に登場する夫妻が)自分のおじいちゃんおばあちゃんじゃないかというふうに観ていました」と感想を述べました。
 想田監督は「今回の企画は韓国の映画祭から“平和と共存についての映画を撮ってほしい”と言われて始まりました。ぼくは日常にカメラを向ける人間なのでそういう大きなテーマは難しいと思ったし、ぼくはドキュメンタリーを撮るときに先にテーマを設定しないので、二重の意味で難しいと思っていた」と、当初は作品作りに戸惑いがあったことを明かし、坂本さんの感想を受けて「たまたまネコたちに出くわしてしまって“ネコたちの平和と共存だったら撮れるんじゃないかな?”と思ってカメラを回したんです。遠くにある戦場ではなくて、日常を見つめたほうが有意義なことがあるんじゃないか、ぼくの身の丈にあっているんじゃないかと思って撮ったので、そう観ていただけるとすごく嬉しいです」と話しました。
 また、栗原さんは「(この映画は)抽象的な“平和”を映画にしようというのではなくて、日常の中に埋もれていて普段は見えないものだけれども、私たちが“生きている”というときにほんとに大事なことを支えていることが描かれている」と評しました。

 さらに、トークショーでは坂本さんが賛同する団体“フリーペッツ”が、東日本大震災被災地でおこなっている被災動物支援の活動も紹介され、坂本さんは活動への理解と協力を求めました。

 『選挙』『精神』と“観察映画”と題された手法によるドキュメント作で国内外での高い評価を受ける想田監督の最新公開作となる『Peace』は、7月16日(土)よりシアター・イメージフォーラムほかにて全国順次公開。シアター・イメージフォーラムでは公開から3日間にわたり全上映回で想田監督が観客からの質問に答える「Q&Aマラソン」がおこなわれるほか、関連イベントの開催も予定されています。

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