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鶴田法男監督特集で『リング0』関係者が集合:第3回三鷹コミュニティシネマ映画祭

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トークショーをおこなった高橋洋さん、鶴田法男監督、須永弘志さん、小川真司さん(後列左より)、伴大介さん、雅子さん(前列左より)

 11月23日に三鷹産業プラザ特設会場で「第3回三鷹コミュニティシネマ映画祭」が開幕し、企画「三鷹の映画人 vol.1」として鶴田法男監督の特集上映がおこなわれました。
 今回の特集上映は、鶴田監督のお父さんがかつて三鷹にあった名画座・三鷹オスカーの経営者だったという三鷹との縁から開催されたもので、上映されたのは『おろち』(2008年)と『リング0〜バースデイ〜』(2000年)の2作品。
 『おろち』では初の試みとして鶴田監督と脚本の高橋洋さんによる生オーディオコメンタリーが実施され、希望者はイヤホンを用いて映画と同時に解説や撮影裏話を楽しみました。
 『リング0〜バースデイ〜』上映後には、鶴田監督、高橋洋さん、『リング』シリーズで貞子の母親・志津子を演じた雅子さんによるトークショーがおこなわれました。トークショーは三鷹オスカーの思い出からスタートし、いまも年間160本程度映画を観るという雅子さんは「三鷹オスカーは高校生くらいのときに2、3回来たことがあります。いまも名画座にはよく行って、家でDVDで観るよりも映画館に行って観たあとの余韻を噛みしめたりするのが好きです」と、高橋さんは「三鷹オスカーは3本立てで有名でよく利用してました。『アルタード・ステーツ』(1981年・米/ケン・ラッセル監督)を観てしまったのはたぶん三鷹オスカーで、ほかの映画を目当てで来て普段なら避けちゃう映画をついでに観てしまう。そういうのが名画座の面白いところだと思います」と、それぞれエピソードを披露。鶴田監督も「映画ってやっぱり劇場で観て“いま観たのはどういう映画だったのだろう”と考えながら頭の中で映像を反芻しながら帰るという、その時間が大切だったりすると思う」と映画館への想いを語りました。

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鶴田法男監督

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『リング0』出演の雅子さん

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『リング0』『おろち』脚本の高橋洋さん

 そして話題は『リング』シリーズに移り、原作者の鈴木光司さんが高橋さん脚本・中田秀夫監督の『女優霊』(1996年)を観ており、鈴木さんの指名で『リング』第1作を高橋・中田コンビが手がけることになったという経緯や、実は原作「リング」刊行直後に高橋さんがある会社に映画化企画を持ちかけたところ「軽く断られた」話、モデル業がメインの雅子さんが「原作の印象が面白かったので」気軽な気持ちでオーディションを受けたところ貞子の母親役で出演が決まったことなど、さまざまな秘話が語られました。

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トークショー中の鶴田法男監督、高橋洋さん、伴大介さん、雅子さん、須永弘志さん、小川真司さん(左より)

 トークショーにはさらに『リング0』プロデューサーの小川真司さん、『リング0』『おろち』編集の須永弘志さん、『リング』シリーズで伊熊平八郎を演じた伴大介さんも参加。鶴田監督自身は「あまり記憶はない(笑)」という『リング0』主演の仲間由紀恵さんへの鶴田監督の熱心な指導や、小川プロデューサーが明かす公開当時のユニークなプロモーション案、須永さんが編集という立場から見た鶴田監督の演出法など、この場でしか聞けないであろう話が次々と披露され、『リング0』以外にも鶴田監督作品に出演している伴さんは「いろいろな作品に携わってきていて、絶対に監督の作品には“鶴田マジック”があると思っています」と評しました。

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『リング0』プロデューサーの小川真司さん

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『リング0』『おろち』編集の須永弘志さん

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『リング0』出演の伴大介さん

 上映やトークショーに加え、会場には『リング0』『おろち』撮影時に鶴田監督がプランを書き込んだシナリオのコピーや、キャスト・スタッフにあてた手紙など、貴重な資料も展示されました。

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映画祭は35mmフィルムでの上映。映写機の回る音を聞きながら映画を観るという体験は現在では貴重な機会となりつつあります

 三鷹コミュニティシネマ映画祭は、三鷹オスカー閉館以降、常設の映画上映施設がなくなってしまった三鷹市にかつての三鷹オスカーのような映画館をという市民の想いからスタートし、数回の上映企画開催を経て2010年から年1度の映画祭として開催されているもの。
 市内の飲食店の協力によるドリンク&フードコーナー“シネマカフェ”も開設されており、休憩時間やトークショー終了後には、鶴田監督をはじめトークショー出演者や来場していた映画関係者と一般の参加者がドリンクや食事を片手に会話を交わすなど、市民による映画祭らしい気軽な交流がおこなわれました。

 第3回三鷹コミュニティシネマ映画祭は24日・25日も引き続いておこなわれ、24日には「三鷹オスカー一日だけ、復活!!第4弾『ジョンレノン特集』」として『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』(2009年・英/サム・テイラー=ウッド監督)と『ジョン・レノン, ニューヨーク』(2010年・米/マイケル・エプスタイン監督)の2本の洋画上映と三鷹在住の音楽家・三原綱木さんをゲストに迎えたトークショーを開催。25日には文化庁優秀映画鑑賞推進事業として、4本1000円という往年の名画座スタイルで『雪之丞変化』(1963年/市川崑監督)、『暁の脱走』(1950年/谷口千吉監督)、『悪名』(1963年/田中徳三監督)、『隠し砦の三悪人』(1958年/黒澤明監督)という名作4本が上映されます。

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