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万田邦敏監督、映画美学校の学生と作りあげた新作は「踏み絵」 『イヌミチ』初日舞台あいさつ

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舞台あいさつをおこなったスタッフ・キャスト。前列左より万田邦敏監督、伊藤理絵さん、永山由里恵さん、矢野昌幸さん。後列左より、小田原直也さん、柏原隆介さん、古内啓子さん、古川博巳さん、中川ゆかりさん

 万田邦敏監督5年ぶりの劇場公開作となる映画美学校コラボレーション作品『イヌミチ』が3月22日にユーロスペースで初日を迎え、主演の永山由里恵さん、矢野昌幸さんら出演者と脚本の伊藤理絵さん、万田監督が舞台あいさつをおこないました。
 『イヌミチ』は、映画美学校脚本コース第1期高等科在籍時に伊藤さんが執筆した脚本を、アクターズ・コースの学生をメインキャストに、フィクション・コースの学生がスタッフに参加して映画化するという、様々なコースで映画人を養成する映画美学校の特色が活かされた作品。日々の生活に疲れを感じる女性・響子と、響子と偶然に知り合った男性・西森が始める、イヌと飼い主のように振る舞う“遊び”が描かれていきます。
 響子を演じた永山さんと西森を演じた矢野さんはじめ、キャストの多くは映画撮影後も宣伝担当として映画に携わってきており、永山さんは「たくさんの人に助けられて、公開までこぎつけられたことを、ほんとにありがたく思っております。この場を借りまして『イヌミチ』に関わってくださったすべての人にお礼を言わせていただければと思います」と、矢野さんは「こんなに沢山の人に来ていただけまして誠に光栄です」と、それぞれあいさつ。
 永山さんは「中盤に(響子と西森が)楽しくふたりで遊ぶシーンが入ってくるんですよ。撮っているときもすごく楽しく撮影できて、幸福なシーンになっていると思いますので、そこをぜひご覧いただければと思います」と映画の見所を挙げましたが、脚本の伊藤さんは「あそこのシーンはあまり楽しいというイメージでは書いていなくて、できあがった映画を観て、楽しい音楽が付いていて、一番驚いたシーンではありました」と明かし、万田監督は「ぼくの解釈と伊藤さんがもともと書いていたもののズレが、すごく奇妙に面白く出ているんだろうなというふうには思います」と、そのシーンについて語りました。

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「こんなにたくさんのお客さんが来てくださるのはとても嬉しいです」と初日を迎えての心境を語った万田邦敏監督。「サラッと終わる映画ですから楽しんでください」

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「黒瀬響子という主人公の女の人がどう変化していくのか、どういう女になっていくのかというのを、ぜひ楽しんでご覧になっていただければと思います」と黒瀬響子役の永山由里恵さん

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「普段ぼくがやっている役とはまったく違う役で、普段の役をみなさんほとんど知らないと思うんですけど(笑)、大変苦労したんですけど、そこを観てほしいです」と西森役の矢野昌幸さん

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「今回、いろいろな意見を目にして、映画って人の数だけ見方があるんだなということを身体で味わいまして、この映画に携われてよかったなと思っております」と、脚本の伊藤理絵さん

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「大勢の方に来ていただいけてすごいよかったなと思っております」と河原康介役の小田原直也さん。万田監督からは「ラストの小田原くんのお芝居すごいですよね、期待ですね」の言葉が

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「宣伝を主演のおふたりがメインでやっていて、いろいろな意見を浴びて、フレームを背負って立っているみたいなところがすごく好きなので、よろしくお願いします」と田村役の柏原隆介さん

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笹川チカ役の古内啓子さんは「なんか“イヌっていいなあ”と思うんじゃないかなって思います。楽しんでいってください」とコメントしました

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「10年、20年して、たぶんこのメンバーがまだがんばっているときにこの映画をもう一度観て、原点に立ち返れるようにっていう想いであります」 と、山瀬役の古川博巳さん

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「観たあとにたくさんの言葉が生まれる映画ではないかと思っています。いい感想であれ、不思議な感触であれ、凸凹したいびつな作品になっていると感じました」と、さとみ役の中川ゆかりさん

 万田監督は「映画ができあがってからいろいろ考えることがあって、いまではこの映画の物語がひとつの“踏み絵”だったんだなって思っているんですよ」と作品について話し「“踏み絵”というのは、つまりある態度決定を迫られるっていうことなんですよね。この映画が持っている、ある“いま”みたいなね、あるいは“若さ”みたいな、空気と言いますか、感じと言いますか、雰囲気と言いますか、そのことに対して、自分がそれをどう判断するかっていうことなんですかね。それが一体なんなのか、どうなのか、っていうことを考えるきっかけになってもらえればいいなと思っております」と、観客にメッセージを送りました。

 万田監督と次代の映画人たちが既存の男女の関係には当てはまらない男女の姿を描く『イヌミチ』は、3月22日(土)よりユーロスペースにて3週間限定レイトショー。4月3日(木)には万田監督と批評家の佐々木敦さん、4月8日(火)には永山さんと矢野さん、『イヌミチ』出演者の兵頭公美さん、映画監督の深田晃司さんが出演してのトークイベントも開催されます。

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