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“魂”を伝える美術ドキュメンタリー公開 『魂のリアリズム 画家 野田弘志』初日舞台あいさつ

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舞台あいさつをおこなった日向寺太郎(ひゅうがじ・たろう)監督(左)と野田弘志さん

 日本のリアリズム絵画の第一人者・野田弘志さんの作品制作過程を追ったドキュメンタリー映画『魂のリアリズム 画家 野田弘志』が8月23日にテアトル新宿で初日を迎え、野田さんと日向寺太郎監督が舞台あいさつをおこないました。
 実写版『火垂るの墓』など劇映画とドキュメンタリー双方を手がける日向寺監督がメガホンをとった『魂のリアリズム 画家 野田弘志』は、野田さんが最新作「聖なるもの THE IV」を完成させるまでの様子を、約1年半にわたり記録した作品。
 日向寺監督は、1993年にスペインの画家で世界的に著名なアントニオ・ロペス・ガルシアを主人公にしたヴィクトル・エリセ監督の映画『マルメロの陽光』を観たあと、日向寺監督の師匠であり美術に造詣の深い松川八洲雄監督に「日本にもアントニオ・ロペス・ガルシアのような画家がいるんだよ」と画集を見せてもらったのが野田さんの絵との出会いだったと説明。それから20年近くを経た2011年、テレビの美術番組で野田さんの特集を観た監督が「直感で、自分なりの『マルメロの陽光』ができるんじゃないか」と思ったのが映画製作のきっかけとなったと話しました。
 数年前の講演会の会場で日向寺監督から直接「映画を撮りたいんですけど」と言われ、その場で「一緒にやりましょう」と快諾したという野田さんは「いきなり“やろう”と(監督が)言うから、ビックリしてなんとなく返事をしちゃった(笑)」と会場の笑いを誘い、映画として撮られることに「抵抗はないですけど、ただ描いているだけですからね、延々と。(最初は)こんなもの映画にならないだろうと思ってたんです」と映画の被写体となる心境を語りました。

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「私たち映画人にとって初日というのは特別な日で、今日、みなさんに観ていただいたことで映画が生まれるというか、生きはじめる日なんです」とあいさつした日向寺太郎監督

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「黙って絵ばかり描いているんで喋り方を忘れちゃったというか(笑)」と冗談を交えあいさつした野田弘志さん。観客のみなさんに「ありがとうございました」と丁寧な御礼を

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映画製作にいたるまでや撮影中のエピソードを語る日向寺監督と野田さんは、ときおり顔を見合わせ笑い合うなど、舞台あいさつは終始和やかな雰囲気でおこなわれました

 完成した作品は71分ですが、取材した素材の映像は約70時間にものぼり、日向寺監督は「編集しながらつくづく思ったのは、ぼくはやっぱり好きな方じゃないと映画は撮れないな。70時間見るのは嫌いな人ではできないなと。批判的にとらえる人間のドキュメンタリーは、ぼくの場合は撮れないなとつくづく思いました」と、映画制作を通しての想いを語りました。

 『魂のリアリズム 画家 野田弘志』は、8月23日(土)より、テアトル新宿にてモーニングショー上映されています。

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