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安達祐実さん「集大成ではなくスタート」と決意を語る 『花宵道中』初日舞台あいさつ

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舞台あいさつをおこなった豊島圭介監督、津田寛治さん、小篠恵奈さん、安達祐実さん、渕上泰史さん、友近さん(左より)

 芸能生活30周年を迎えた女優・安達祐実さんが久々の映画主演をつとめ、花魁の哀しい恋を描いた『花宵道中』(はなよいどうちゅう)が11月8日に初日を迎え、テアトル新宿で安達さんと共演の渕上泰史さん、小篠恵奈さんら出演者と豊島圭介監督が舞台あいさつをおこないました。
 「女による女のためのR-18文学賞」受賞作の同名小説を映画化した『花宵道中』は、江戸末期の吉原の人気遊女・朝霧と、京から江戸にやってきた青年・半次郎の恋を官能的な場面も盛り込みながら描く本格時代劇。
 舞台あいさつは初回の上映終了後におこなわれ、朝霧を演じた安達さんは「いよいよ初日ということで朝からドキドキしていましたが、こうしてたくさんのお客さんが席に座ってくださっているのを見て幸せです。朝霧を演じて私自身いままでの自分とは違う自分を発見したということもあったり、今日を迎えるべく毎日宣伝活動しているうちに、朝霧に対しての思い入れとか愛着とかどんどん高まっていって、いまは撮影中より朝霧のことを愛おしく思っているんですけど、その朝霧をスクリーンでみなさまに観ていただけたことがほんとに嬉しいです」と、朝霧への想いを感じさせつつあいさつ。
 初めて時代劇のメガホンをとった豊島監督は「この映画は柱が2本あって、ひとつは主演の安達さんの覚悟を映像として撮りきること。もうひとつは、日本映画にはたくさんの花魁を題材にした映画があって、2014年にその花魁映画をどう撮るかというのがもうひとつのテーマでした。今日、壇上に上がっているみなさんは素晴らしい俳優ばっかりで、この方たちを撮ることだけで興奮する体験だったんですけど、こういう映画を監督できてすごく感動しています。そして今日、観客のみなさんの姿を見て、ほんとに映画が封切られてみなさんに観ていただけるんだと思うと感無量です。ありがとうございました」と、初日を迎えての心境を語りました。
 『花宵道中』は日本だけでなくアジア各国での上映も決定しており、すでにカナダ・モントリオール世界映画祭での上映に立ち会っている豊島監督は「西洋の方は着物衣裳を見るだけでも感動していらして、でも衣裳だけではなく物語の部分にもかなり触れていただけたみたいだったんで、国問わず伝わる映画なのかなと思っております」と、カナダでの反応を踏まえ自信を覗かせ、安達さんは「(海外での上映は)すごく嬉しいですし、作品を通して朝霧が世界中の方々に愛されるといいなと思います。あと、日本では私は小さいころからみなさんに見守られながら育ってきましたけれども、私のことを知らない国の方たちが観てどう感じるのかなということも興味のあるところです」と、海外での受け止められ方に関心を寄せました。

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「“人を愛することというのはこんなにも尊くて美しいことなんだ”ということを感じてもらえたらと思いながら作ったので、女性にも共感してもらえると嬉しいですね」と、主人公・朝霧を演じた安達祐実さん

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朝霧と惹かれあう半次郎を演じた渕上泰史さんは「初日を迎えると宣伝だったりいろいろと自分の出た映画に関わることが少なくなってくるので、ちょっと寂しい想いとが混ざっています」と心境を語りました

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初めての時代劇に「映画の中の一部として溶け込めていたらとても嬉しく思います」と、朝霧の妹分・八津役の小篠恵奈さん。「こんな素晴らしい役者のみなさまの中でお芝居できたことがほんとに幸せでした」

 『花宵道中』では、渕上さんが演じる半次郎や津田寛治さんが演じる商人・吉田屋を相手にした朝霧の濡れ場も大きな見どころのひとつ。「しっかりした濡れ場を撮るというのも初めてで、やってみたらものすごく面白かった」という豊島監督は、朝霧と吉田屋の濡れ場で台本以上のアイディアが津田さんから出されたことを明かし「津田さんにぼくのプランをぶっ壊されて、まず“津田ショック”というのはありましたよね」とコメント。安達さんも「“津田ショック”はかなりありましたね(笑)。ネットリとした場面かと思っていたら、リハになったら想像以上にアクロバティックで、けっこうスポーツだなと思いながら(笑)。でも、その“津田ショック”にグイグイ引っ張っていただいて、役に集中できる環境を津田さんにも監督にもスタッフの方にも作っていただいたという感じですね」と振り返りました。
 “津田ショック”と称された当の津田さんは「濡れ場って、いくら男優とか監督が考えても女優さんが乗ってくれていないとなにもできなくなってしまうので、安達さんがもう腹を決めていて、監督やぼくらが考えたことを“わかりました、それで行きましょう”って言ってくれたから広がっていったというのはありましたよね」と、安達さんの女優としての姿勢を賞賛。朝霧の妹女郎・八津役の小篠さんは「すごい大迫力というか、おふたり(安達さんと津田さん)とも本気でやってらっしゃるんだなというのがあったので、すごく勉強になりました」と共演者の視点から語り、やはり濡れ場を演じた淵上さんは「それ(朝霧と吉田屋の濡れ場)を見たあとに安達さんとの絡みだったので、緊張しました。あまり声を荒らげない監督にも“違うんだよ!”と怒られて、監督の想いを体現しなきゃいけないんだと……」と感想を述べました。

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五社英雄監督作品の大ファンで「念願の時代劇で吉原遊郭を舞台にした映画に出させていただいて、すごく幸せでした」という女郎屋の女将役の友近さん。「京都撮影所で撮ったというのが嬉しくて、感動です」

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「花魁を描いた映画でこれだけ人物をちゃんと描いているのも珍しいな、映画らしい映画をちゃんと観たなと思える花魁映画だと思いました。この映画に出演できて嬉しく思います」と、吉田屋役の津田寛治さん

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朝霧と吉田屋の濡れ場について「着物の(どう脱がすかという)段取りが大変だったんですよね。ああいう乱暴なシーンって、実はテクニカルにすごい大変なシーンでもありましたよね」と語った豊島圭介監督

 安達さんは「ヌードになったり濡れ場を生々しくやろうということもこの映画の大きな部分ではありますし、それは私のひとつの挑戦として乗り越えた部分で大事なところでしたけど、この映画が純粋にみなさんの心に残ったり刺さったりして広がっていけばいいなとすごく願っていますし、私はこの『花宵道中』をスタートだと思っていて、30周年で撮影した映画でしたけど、30周年の集大成ということではなくてひとつの区切りにして、ここからまた一歩ずつ踏み出していきたいという想いでいます。私のその決意と(共演者・スタッフ)みなさんの力の集結というものを感じていただいて、心の中に『花宵道中』を留めておいていただけたら嬉しいなと思います」と話し、舞台あいさつを締めくくりました。

 数々の名作を生み出してきた東映京都撮影所が2014年に送り出す艶やかな恋物語『花宵道中』は、11月8日(土)よりテアトル新宿ほか全国ロードショーされています。

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