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新星・白波瀬海来さん「まだわからない」初主演作公開 『セシウムと少女』初日舞台あいさつ

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舞台あいさつをおこなった才谷遼(さいや・りょう)監督、川津祐介さん、白波瀬海来(しらはせ・かいら)さん、金野美穂さん、なんきんさん、飯田孝男(はんだ・たかお)さん、そして劇中に阿修羅役で登場するシロクマ(左より)

 高校生の少女が7人の神様とともに時間を超えた冒険を繰り広げるファンタジー『セシウムと少女』が4月25日にユジク阿佐ヶ谷で初日を迎え、ヒロインを演じた白波瀬海来さんと共演の川津祐介さんらキャストと才谷遼監督が舞台あいさつをおこないました。
 『セシウムと少女』は、出版社“ふゅーじょんぷろだくと”や映画館・阿佐ヶ谷ラピュタなどを経営し文化発信に携わり続けてきた才谷監督の62歳にしての監督デビュー作。
 1940年代の東京へのタイムトラベルや3.11以降のホットスポット問題など、さまざまな内容が盛り込まれたストーリーとなっており、主人公のミミを演じた白波瀬さんは「最初に台本を見たときにむちゃくちゃ内容が難しくて理解するのに何回もすごい時間がかかりました。撮影をしていてもまだわからず、できあがった映画を初めて観てやっと理解した感じですね(笑)。まだわからないところもあるので、監督にちょこちょこ聞こうと思います(笑)」とコメント。
 実写とアニメの合成が使われるなどストーリーだけでなく映像面でもさまざまな趣向が凝らされており、ミミの祖母・静の少女時代を演じた金野美穂さんは合成用グリーンバックの前での撮影が多かったため「全然(できあがりが)想像できなくて、ただ“ここはこういうシーンだから”と言われて撮っていたんですけど、完成したのを観て“こうなるんだ”と思いました」と振り返りました。
 また、川津さんは本作で海の神・うみさんを演じるにあたり、才谷監督から「スッポンさん(1966年の鈴木清順監督の映画『けんかえれじい』で川津さんが演じた役)が年をとっても同じことをやっている感じでやってください」と言われていたそうで、川津さんは「(スッポンは)ケンカがやたらと強くて、逃げる場面になるとローラースケートになってローラースケートで逃げる。今回はローラースケートをやらせてもらえなかったので残念に思っています(笑)」と笑いも交えて話しました。

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満を持しての監督デビューを果たした才谷遼監督は「映画を企画して、1年はシナリオで6ヶ月は(準備も含め)撮影で、ようやく初日を迎えました。ほんとに今日はありがとうございます」と、初監督作の公開初日を迎えての心境を語りました

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「この映画は高校2年生の夏休みを全部使ってやったのですごく濃い夏休みになったんですけど、撮影自体が初めてだったので、すごいいい経験になったし、先輩方とも仲良くできてほんとによかったです」と、主人公・ミミ役の白波瀬海来さん

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「真夏の撮影だったんですけど、私は60年近く役者をやっているものですから過酷とは感じなかったです(笑)。服装も夏の服で暑くもなく寒くもなく、すごく大事にしていただきながらやらせていただきました」と、海の神・うみさん役の川津祐介さん

 初の映画主演をつとめた白波瀬さんは、撮影初日に緊張のため貧血を起こしたこともあったそうですが「(共演者が)すごいフレンドリーに迎えてくれて、演技についても教えていただいたので、すごく楽しい現場になりました」、やはり映画初出演の金野さんも「すごく現場は明るくて楽しかったし、(共演シーンの多い白波瀬さんと)同い年で一緒にやっていたのでやりやすかったです」と、ふたりとも撮影を楽しめた様子。
 ベテランの川津さんはそんなふたりを「役の中に全部を投入して生きるというところまでは行っていない。だからこそ良かったというところはあったと思うんです。うまくやろうとすると“うまくやろうの波動”が出てしまうから観ているほうはつらいんです。でも修学旅行で“写真撮ろう!”とはしゃいでいる女の子と同じスタンスで現場にいるので、楽しくてしょうがないというのが出ている」と評し「私と一緒に映画に出ると、みんなスターになるんですよ(笑)」と、エールを贈りました。
 さらに川津さんは、才谷監督について「ものすごくいまの時代を憂いておられる。その点で少し心配でしたが、撮影の現場でも(映画の内容が)シビアだったのがだんだんマイルドになってきて、安心もさせていただきました。現場はとても楽しかったです。みんなを引っ張ることができる監督さん」と評し「主張を持って映画を撮る方って少なくなってきたし、主張があまり強すぎると観てもらえないという映画界の状況ができてきているので、その中でどう生きていただけるかというのが楽しみです」と、今後の活躍にも期待を。
 芸能の神・ミッキーを演じたなんきんさんも「正直言うと、半分くらいは監督がなに言っているのかわからないという状況だったです」と明かしつつ「“こういうストーリーだからこういうふうに観てこういう結論を出してくださいね”って言われてるような映画が多すぎる気がするんです。そういうのってすごく退屈しちゃうので“これを作った人はなにを見せたいんだろう、なにを言いたいんだろう?”と、観る側にも考える時間を与えてもらいたいとずっと考えていたんです。これはそういう映画、観る側にも自由のある映画なのかなと思いました」と、完成した作品の印象を述べました。

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「原発のお話なんですが、楽しい場面もたくさんあって、暗くならずにすごい受け入れやすいお話になっているので、小さい方とかもっともっとたくさんの方に観ていただけたら嬉しいと思います」と、ミミの祖母・静の少女時代を演じた金野美穂さん

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「すんなりと入り込みやすくて、原発問題とか関係なしに観ても楽しいファンタジーとしてできあがっているので、とにかく絵が綺麗ですし、これから観る方はとにかく楽しみに、気を楽に観てください」と芸能の神・ミッキーを演じたなんきんさん

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「映画の中でミミちゃんがホタルが住めるような場所に行くんですけど、そこにミミちゃんが生きがいを見出すような意味合いもあるのかなと思いました。なかなか立派な映画だと思うのでよろしくお願いします」と、風神のふーさん役の飯田孝男さん

 才谷監督は「3.11以降、ぼくらは発言しなくてはいけないのかなというかたちでこの映画の製作にとりかかったんですけど、オーディションのときに(白波瀬)海来ちゃんが来て“これはアイドル映画になるな”と。現場ではアイドル映画のつもりで撮っていました」と、白波瀬さんの存在が映画に大きな影響を与えていると話し、白波瀬さんは「3.11から4年が経って、そのときのことを忘れはじめている方もいると思うので、この映画でもう一度思い出して」というメッセージで舞台あいさつを締めくくりました。

 個性的なキャストと名だたる名監督の作品に参加してきた精鋭スタッフ、さらに日本のみならず世界からも注目されるアニメ作家と、多彩な才能が集結した『セシウムと少女』は、4月25日(土)よりユジク阿佐ヶ谷で上映中、ほか全国順次公開予定です。

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