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金田敬監督、新作を「一歩一歩いろいろな町へ届けたい」 『校庭に東風吹いて』初日舞台あいさつ

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舞台あいさつをおこなった本間淳志さん、子役の岩崎未来(いわさき・みく)さん、遠藤久美子さん、金田敬(かねだ・さとし)監督(左より)
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 児童の抱える事情にしっかりと向き合い愛情を注ぐ小学校教師を主人公にした『校庭に東風吹いて』が9月17日に初日を迎え、ポレポレ東中野で遠藤久美子さんら出演者と金田敬監督が舞台あいさつをおこないました。

 『校庭に東風吹いて』は、転任先の小学校で3年1組を受け持つことになった教師・三木知世が、学校に来ると他人と話せなくなってしまう「場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)」のミチルや問題行動の多い純平たち事情を抱えた児童にしっかりと寄り添い、問題解決のために奔走する姿を描いた作品。

 ミチルの母親・富子を演じた遠藤久美子さんは、場面緘黙症の娘を持つ母親という役柄を「難しかったですね」と振り返り「もちろん愛情はたくさんあふれているんですけど、普通の子として接してあげたい、厳しく育てたい、その狭間で揺れるというか、お母さんも三木先生に会って変わっていく“お母さんの成長物語”という部分もあるので、そういった部分をどう表現したらいいのか、監督に委ねて」とコメント。
 金田敬監督は“お母さんの成長物語”として描くため「(台本のままでは)先生に全部解決してもらったという表現になりはしないかと思って」映画終盤の富子とミチルのシーンを現場で台本から変更したことを明かし、遠藤さんがそのシーンについて「現場で監督が“こうしていこう、ああしていこう”みたいな感じで作ってくださったんです。(映画の神様が)降りてこられたんですね」と話すと、金田監督は「ぼくは行き当たりばったりで(笑)」と謙遜しました。

 また、遠藤さんは撮影後の今年8月に結婚と妊娠を発表しており、金田監督は「ぼくも全然知らなかったんですけど、ある日ネットでニュースを見ていたら“遠藤久美子結婚”と書いてあって、お相手は映画監督、俺かな!?」と冗談で会場の笑いを誘いつつ「素敵な方で(※お相手は映画監督の横尾初喜さん)、おめでとうございます」と、お祝いの言葉を贈りました。

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撮影前に場面緘黙症について調べ「少しは理解して撮影に臨めたかとは思うのですが、難しかったです」という蔵田富子役の遠藤久美子さん

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あいさつに続きおもむろに「ご結婚アンドお子様がおできになったというおめでたい」と遠藤さんをお祝いする金田監督と、その言葉に笑顔の遠藤久美子さん ※画像をクリックすると大きく表示します

 教師・三木知世役で主演をつとめた沢口靖子さんは舞台あいさつには不参加でしたが、金田監督は沢口さんについて「みなさんがお持ちになっていらっしゃるイメージのとおりの方で、まっすぐで絶対に妥協しない方です。映画の中の三木知世は真摯に児童やいろんな問題に対峙していく人でしたけど、沢口さん自身も真摯で、とてもやりやすい女優さんでした」と印象を。
 遠藤さんも、金田監督の「沢口さんに見つめられるとすべてを見透かされそう」という言葉を受けて「私もそうで、吸い込まれそうで、なので緊張をずっとしていた感じですね。とてもきれいな美しい方でした」と共演者の立場から語り、ミチル役の岩崎未来さんは「撮影の合間に3年1組の控え室に(沢口さんが)来てくれて、あやとりとかしりとりとか、いろいろ遊んでもらえて嬉しかったです」、図工教師・河合守役の本間淳志さんは「ぼくがオールアップしたときに、ジッと目を見て沢口さんから握手してくださって“(共演した)居酒屋のシーンが思い出です”と言ってくださって、沢口さんの思い出の一部だと言ってもらえた気がして嬉しかったです。素敵な方でした」と、それぞれ共演しての感想を述べました。

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あるシーンの撮影で「ミチルちゃんの気持ちがお母さんにわかってもらえたんだなと思って嬉しかったです」と蔵田ミチル役の岩崎未来さん

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図工教師・河合守役の本間淳志さんは「きれいな映像の中で唯一、むさ目のヒゲ面で出演させていただきました(笑)」と自己紹介しました

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撮影中の遠藤さんについて「スタッフはみんな大好きで、みんな一緒の写真を撮りたがって大変でした(笑)」とエピソードを披露の金田敬監督

 金田監督は「小さな映画ですけど、すばらしいキャストのみなさんに出ていただいて、地味な映画かもしれませんが、何年間かにわたって一歩一歩いろいろな町へ届けたいと思っております。映画館やホールだけじゃなくて、小学校や中学校でもやっていただきたいなと思っておりますので、もしご覧になって“よかったな”と思っていただけたら、周りの方にもお口添えをお願いします」とあいさつ。
 遠藤さんは「この作品に入ったときは、結婚したり子供を授かったりということが現実味を帯びていなかったので、この作品を通して母としてのひとりのあり方として自分の中に深く刻まれていく作品だと思っています。親とはどういうものなんだろうか、子どもと接していくにはどうしたらいいんだろうかと、私自身が考えた作品でしたので、ひとりでも多くの方に観ていただけたらなと思っています」と作品で得た想いを語り、岩崎さんは「場面緘黙症のことをもっとみなさんに知ってほしいので、もっといろんな人に観てもらいたいです」、本間さんは「完成品を観ても感じましたし、現場でも感じたのですけど、この作品はきっと大人の方が観てなにか感じられるものがあるんじゃないかと思います。ぼく自身、長編映画の主要キャストとして出演させていただくのは初めてで、チャレンジする作品だったので、すごく思い出があります。みなさんに広めていただけたらと思います」とそれぞれに想いを語って舞台あいさつは締めくくられました。

 9年ぶりの映画出演で主演をつとめた沢口靖子さんのほか、星由里子さん、村田雄浩さん、柊子さん、ひし美ゆり子さん、嶋尾康史さん、仁科貴さん、大塚まさじさん、祷キララさんら、ベテランから期待の若手まで幅広いキャストが揃った『校庭に東風吹いて』は、9月17日(土)よりポレポレ東中野(東京)、大阪シネ・ヌーヴォ、宇都宮ヒカリ座(栃木県)ほか全国順次公開。
 また、映画館での上映のほか、ホールなどでの上映会も各地でおこなわれています。

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