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黄川田将也さん「毎日ちょっとした奇跡が起こった」主演作公開 『函館珈琲』初日舞台あいさつ

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舞台あいさつをおこなった夏樹陽子さん、中島トニーさん、Azumiさん、片岡礼子さん、黄川田将也さん、いとう菜のはさん、西尾孔志監督(左より)
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 北海道・函館で毎年開催されている函館港イルミナシオン映画祭から生まれた映画『函館珈琲』が9月24日に渋谷ユーロスペースで初日を迎え、主演の黄川田将也さんはじめ出演者と西尾孔志監督らが舞台あいさつをおこないました。

 函館港イルミナシオン映画祭が20周年を機に立ち上げた「シナリオ大賞映画化プロジェクト」の第1弾となる『函館珈琲』は、2013年度の同映画祭シナリオ大賞で函館市長賞を受賞したシナリオの映画化。新作の書けない小説家・桧山英二が、若きアーティストたちの集まる函館のアパートメント・翡翠館で過ごす中でなにかを見つけていく姿が、オール函館ロケで描かれていきます。

 桧山を演じた黄川田将也さんは、満員となった客席を前に「この作品はちょうど1年前に撮って、短い撮影期間の中で大変なロケだったんですけど、毎日ちょっとした奇跡が起こった現場でした。今日、初日に大勢のみなさんがいらしてくれて、まだ奇跡が残っているんだなと本当に嬉しく思います」と声を詰まらせそうになりながらあいさつ。
 メガホンをとった西尾孔志監督は、脚本がすでにあり面識のない俳優陣や重鎮のスタッフが参加するという、これまでの西尾監督の作品とは違った作り方に「ぼくがなにもしないまま映画ができてしまうのではないか」という想いもあったと明かしつつ「(撮影を)思い出してみるとひたすら頑固にこだわっていて(笑)。これだけ日を置いて完成したものを観ると、ちゃんと自分の映画にできていたなと、ちょっと今日は感慨深くみなさんの前に立っております」と、公開初日を迎えての心境を述べました。

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「ちょっと泣きそうで、想像していたのはこんなに(お客さんが)いらっしゃる感じではなかったので、嬉しいです」と喜びを見せた主人公・桧山英二役の黄川田将也さん

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「いろんなことを話したいんですけど、まずはこの映画をコーヒーの香りとともにいろんな人に伝えてほしいというのが一番の想いです」と、堀池一子役の片岡礼子さん

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藤村佐和役のAzumiさんは「この私たちの映画をひとりでも多くの方に観ていただきたいと思います。どうかどうかこの映画を伝えてください」と涙をこらえてあいさつ

 翡翠館の住人でトンボ玉(ガラス細工)職人の一子を演じた片岡礼子さんは「私は映画とコーヒーが大好きだと自分のブログとかにも書いているんですけど、現場に美鈴(※函館の老舗珈琲店)のコーヒーがいつもあって、幸せなことにいつも飲み明け暮れる毎日でした(笑)」と振り返り、役の気持ちになるため空き時間に函館の各所を巡るなど「かなり(函館を)満喫したので、この場で話すと時間をとってしまうのでいろいろなところで話していきたいと思います」と簡単に話しきれないほどの函館の魅力をコメント。
 写真家の佐和役で演技に初挑戦したミュージシャンのAzumiさんは「初めての現場で、こんなに素晴らしいキャスト、ほんとに映画愛にあふれたスタッフのみなさんと映画というものに触れられて、ここからが私の俳優としてのスタートだなと思いました。ほんとに素晴らしい映画に関わらせていただきました」と初の映画出演について語り、テディベア作家の幸太郎を演じた中島トニーさんはお母さんが函館出身のため「函館とドイツのハーフの中島トニーです」と自己紹介し「函館出身のお母ちゃんありがとう。函館代表として映画に出させていただいて、ほんとに光栄と思っております」と、ドイツから来日していた客席のお母さんへ感謝の言葉も贈りました。

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「ずっとドイツに住んでて毎年2週間くらいは函館の親戚に会いに行っていたので、(自分にとって)日本というのは函館だったんですよ」と相澤幸太郎役の中島トニーさん

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「(キャストが)みんな仲良しで、それを見守るおばさん、お母さん、お姉さん、そんな役で出させていただいて、今回とても幸せでした」と、荻原時子役の夏樹陽子さん

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来場していた脚本のいとう菜のはさんも舞台あいさつに参加。「脚本として書いたものがこうして映像になって、生身の俳優さんに演じていただけたというのは感無量です」

 翡翠館のオーナー・時子を演じた夏樹陽子さんは「函館はちょっとの時間でも楽しめる場所がたくさんあって、たぶん映画をご覧になった方は“近いうちに行ってみようかな”と思ってくださるんじゃないかと思います。それはすごく大切なことで、映画を観て、その映画の場面に自分をフッと置いてみたらどんなかな? なんて、そんなことを考えるのも映画の楽しみ方ではないかなと思います」と、映画の舞台を訪れる楽しさを紹介。
 そして、脚本のいとう菜のはさんも西尾監督の紹介で舞台あいさつ途中から登壇し「函館の魅力を描こうと思ってこういった物語が生まれたので、流れる時間そのものが函館かなと思っています」とあいさつ。さらにいとうさんが「今回、キャストのみなさんが撮影前にそれぞれの(役が取り組む)アートの勉強に行ったり役作りのためにがんばってくださって、トニーくんの連れているテディベアはトニーくんが自分でミシンをカタカタ踏んで手作りをしてくれました」と話すと、客席からは驚きの声も上がりました。

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西尾孔志監督は自転車で函館を回りロケハンしたそうで「それが映画の糧になっていて、観光地ガイドには載っていない函館の風景がこの映画にはいろいろあると思います」

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中島トニーさんは、映画劇中にも登場している自作のテディベアを連れて一緒に舞台あいさつ。片岡礼子さんも映画の内容に合わせ、トンボ玉作りを指導した方の製作したアクセサリーを手首に付けての登壇でした

 黄川田さんは「やっとこの映画が“おぎゃあ”と産声をあげて、各地でどんどん成長していくと思うのですが、観てくれた方の心にそっと寄り添える優しい作品になればと思います。知人なり家族なりにこの映画の話をしていただけたら本当に嬉しいです」と、西尾監督は「30代、40代の人間が青春を引きずっていて大人になれなくて、そこでまだモジョモジョしている姿を、あまり暗い映画にしないでやりたいなと思ってこういう映画になりました。気に入っていただけたら広げていただけたらと思います」と、それぞれ話して舞台あいさつを締めくくりました。

 函館に流れる優しい時間とその中で生きる人々の姿を描いた『函館珈琲』は、9月24日(土)より渋谷ユーロスペースほか全国順次公開。
 また、9月29日(木)には映画公開を記念し、ユーロスペースと同じビルの1階にあるライブハウス・LOFT9で『函館珈琲』で佐和を演じ主題歌も担当したAzumiさんのライブと『函館珈琲』出演者によるトークイベントが開催されます。

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