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佐藤仁美さん「“感謝の時期”なんだ」と思った主演作公開 『惑う After the Rain』初日舞台あいさつ

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舞台あいさつをおこなった林弘樹監督、小林且弥さん、中西美帆さん、佐藤仁美さん、宮崎美子さん、小市慢太郎さん、藤田弓子さん(左より)
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 佐藤仁美さんが主演をつとめ、ある家族の姿を通して人々に受け継がれてきたものを描く『惑う After the Rain』が1月21日に初日を迎え、有楽町スバル座で佐藤さんと中西美帆さん、小市慢太郎さん、宮崎美子さんら共演者、林弘樹監督が舞台あいさつをおこないました。

 『惑う After the Rain』は、静岡県三島市で市民参加型映画プロジェクトとして製作された作品。結婚を間近に控えた女性・いずみを主人公に、その妹と母、姉妹の成長を見届けぬまま世を去った父という家族がたどってきた道程が、いくつもの時代にまたがって描かれていく人間ドラマとなっています。

 佐藤仁美さんが演じた主人公の石川いずみは、父亡きあとに自分が家長として家を守ろうとする芯の強い女性で、佐藤さんは「ご覧になっていただいたとおり、私とは真逆の役ですね(笑)」とあいさつして客席の笑いを誘い「私にないものをやればいいので、ひじょうにやりやすかったといえばやりやすかったです(笑)。ひじょうに楽しく演じさせていただきました」と振り返りました。

 いずみの妹で奔放に生きるかえでを演じた中西美帆さんは実際には長女とのことで「(中西さんの)妹や弟が身勝手な行動をしているなと感じることがたくさんあったんですけど、それは姉としてのフィルターを通しての見え方だったのかなと、かえでを演じて思いました。今回、妹を疑似体験することができて楽しかったです」と役と自身を照らしあわせてコメント。

 林弘樹監督は「この映画は静岡県三島市の方々と3年くらいかけて作った作品なんですが、多くの方々とこれからどう生きていこうか、どういう町にしていきたいかということを考えていく中で、いまは時代が大きく変わろうとしていますよね。その変化の中で変わらない大切にしてきたものをテーマにしていこうと。その中心はやはり家族だろうということで、家族、まさに親子3世代と、その核である夫婦を軸に描かせていただきました」と“家族”をテーマにした理由を明かしました。

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主人公の石川いずみを演じた佐藤仁美さん

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いずみの妹・かえで役の中西美帆さん

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いずみとかえでの母・イト役の宮崎美子さん

 姉妹の母・イトを演じた宮崎美子さんは「(イトは)苦労は大きかったんですけど結果的にいい旦那といい娘、家族で1日1日丁寧に積み重ねてそれを続けていくことでしか得られない幸せ、だからこそ得られる幸せってあるんだなと感じました」と役を演じての感想を述べ、姉妹の父親で私塾を主宰する誠志郎を演じた小市慢太郎さんは「この役をいただいて脚本を読ませていただいたときに“これ、自分の役だ”って思うたんです。これはほんとに初めての体験で、興奮にも似た少し不思議な気持ちになったんですけど、そういう役に出会えてほんとにありがたかったですし、素晴らしいかかたちでそれを体感させてもらってありがたい限りです。大好きな作品なので、みなさんよろしくお願いします」と、役と作品への想いの強さをうかがわせました。

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いずみとかえでの父・誠志郎役の小市慢太郎さん

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誠志郎の生徒だった木部徹役の小林且弥さん

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石川家本家の大女将を演じた藤田弓子さん

 誠志郎の教え子・木部徹を演じた小林且弥さんは、三島市の方々とよく飲みに行っていたと指摘されると「ぼくより(佐藤)仁美さんがたくさん行っていらっしゃって、ぼくが三島を訪れるたびに仁美さんが飲んでいるところに連行されて」と暴露しつつ「三島は人があったかいんですよね」と印象を語り「この映画はやっぱり三島を興していこうという“まちおこし映画”で、どこがまちおこしかと言ったら、ぼくと仁美さんが飲んでいたバーが2号店を出した。たぶん儲かったんでしょうね。映画の興行成績が出るより早い段階で結果がひとつでました」と報告して場内に大きな笑いをプレゼント。
 いずみたち石川家の本家にあたる料亭の大女将を演じた藤田弓子さんは三島に近い伊豆在住で、小林さんのコメントを受けて「ほんとに三島は人があったかいですね。やっぱり住むというのは人と交わるということなので。それと、(静岡は)なんといっても富士山があんな近くで見えるってほんとに幸せです。そういうところで映画を撮っていただいて、監督ほんとにありがとうございます」と地元からの視点で語り「三島は素敵なところで、伊豆にもぜひお越しくださいませ。それこそまちおこしになりますので」と三島と伊豆をPRしました。

 また、映画製作に尽力した三島市の「みしまびとプロジェクト」のみなさんがサプライズで登場し、監督と出演者に花束を贈呈しました。

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メガホンをとった林弘樹監督

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「みしまびとプロジェクト」のみなさんから登壇者に花束が贈られました。(クリックで拡大します)

 林監督の作品には『ふるさとがえり』(2011年)、『空飛ぶ金魚と世界のひみつ』(2013年)に続き3作品目の出演となる佐藤さんは「監督とお仕事をさせてもらうと、必ず“いま家族のことを考える時期なんだ”というのを毎回思うんです。この作品に関わってから、いまは家族のことを振り返ったり連絡をしなければいけない、会わなければいけない時期だと思ったんですけど、何度か観ていると、いまの自分がいるのは周りの人のおかげで、自分の周りの人にも感謝をしなくてはいけない“感謝の時期”なんだと思うようになりました。みなさんもそう思ってくれたらいいと思います」とメッセージを贈りました。
 そして林監督は、撮影の高間賢治さん、音楽の宮本貴奈さん、脚本の栗山宗大さんら客席に来場していたスタッフとキャストを紹介すると「その他、ほんとに多くのスタッフ、キャストの方々と作って、今回の封切り初日を迎えることができて、奇跡だなと思っています。観ていただいたみなさんも、ぜひ今日から家族のような気持ちでこの作品を育てていっていただければなと思っています」と、舞台あいさつを締めくくりました。

 脚本作りから地元の方々の意見を取り入れて製作された『惑う After the Rain』は、登壇者のみなさんのほか、斎藤洋介さん、村田雄浩さん、是永克也さんらが出演。1月21日(土)より有楽町スバル座ほか全国順次公開されます。

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