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完成から2年の公開に監督・主演俳優陣も喜びと感謝を 『ブルーハーツが聴こえる』プレミア上映会

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舞台あいさつをおこなった監督と主演俳優陣。後列左より、李相日監督、工藤伸一監督、井口昇監督、清水崇監督、飯塚健監督。前列左より、豊川悦司さん、斎藤工さん、市原隼人さん、尾野真千子さん
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 いまだに多くの人々を魅了する伝説的ロックバンド・THE BLUE HEARTS(ザ・ブルーハーツ)の楽曲を題材に、6人の監督と6人の主演俳優が作り上げた『ブルーハーツが聴こえる』(4月8日公開)の公開直前プレミア上映会が開催され、各作品の監督と主演俳優による舞台あいさつがおこなわれました。

 『ブルーハーツが聴こえる』は、『ハンマー(48億のブルース)』(尾野真千子さん主演/飯塚健監督)、『人にやさしく』(市原隼人さん主演/下山天監督)、『ラブレター』(斎藤工さん主演/井口昇監督)、『少年の詩』(優香さん主演/清水崇監督)、『ジョウネツノバラ』(永瀬正敏さん主演/工藤伸一監督)、『1001のバイオリン』(豊川悦司さん主演/李相日監督)という、ザ・ブルーハーツの楽曲タイトルをそのまま冠した6作品で構成された作品。
 今回の舞台あいさつは『ハンマー(48億のブルース)』より尾野真千子さんと飯塚健監督、『人にやさしく』より市原隼人さん、『ラブレター』より斎藤工さんと井口昇監督、『少年の詩』より清水崇監督、『ジョウネツノバラ』より工藤新一監督、『1001のバイオリン』より豊川悦司さんと李相日監督が登壇しました。

 恋人の浮気に気づきながらもなにも言えないアラサー女性の葛藤をコミカルに描いた『ハンマー(48億のブルース)』に主演した尾野真千子さんは、作品について「共感できると思います」と語り、見どころのひとつとなっている共演者とのテンポよい掛け合いについては「顔合わせとかホン読みのときに、みんなで話し合ってとか、監督が”ここはこういうふうにしよう”という感じで練習を重ねて、本番で“じゃ、こんなふうに読んでみよう”とか」とコメント。飯塚健監督は「(掛け合いについて)指示したかしてないかといえばしているんですけど、すごく(テンポを)早くしようと思ってやってるってことはなかったかなと思います。みなさんで読んでやってくれたものがそのままという感じですかね」と振り返りました。

 『人にやさしく』は、はるか未来、事故を起こした宇宙船内での乗員同士のドラマを描いたSFストーリー。アクションも多い内容のため「トレーニングして臨みました」という市原隼人さんは「いまこの時代にこの歳でいるのは、なにかをするために生かされているのではないかというメッセージが込められています。なにかにむけて行動を起こそうとする方にエールを送った作品です」と作品に込めたメッセージをアピール。市原さんはさらに「(現場での)監督も少年のようで、言い方が失礼になってしまうかもしれないのですが、自主制作のような“やりたくてここにいるんです”という職人が集まってできあがった作品なんです。そんな作品に携われてほんとに楽しかったです。嬉しかったです」と作品に参加しての感想を述べました。

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『ハンマー(48億のブルース)』一希役の尾野真千子さん

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『ハンマー(48億のブルース)』の飯塚健監督

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『人にやさしく』で「謎の男」を演じた市原隼人さん

 脚本家の青年が高校時代にタイムスリップするというストーリーの『ラブレター』は、井口昇監督自身の高校時代の初恋が反映された恋愛ファンタジー。井口監督の分身と言える主人公を演じた斎藤工さんは「『わびしゃび』(※井口昇監督の1988年の8mm作品)という監督の素晴らしい作品のセルフリメイクとうかがいまして“ぼくの役ができるのは工さんしかいない”というメッセージをいただき、役者冥利につきる、それこそラブレターのような手紙をいただいたので、即答でやらせていただきたいということでした」と出演の経緯を語り、自身の高校時代を「男子校だったので、映画の中のヒロインとかに恋していました。(ロベール・)ブレッソンの『スリ』(1960年・仏)という映画のマリカ・グリーンという女優さんに恋したり『月曜日のユカ』(1964年・中平康監督)の加賀まりこさんに恋したり、だから(映画少年だった)井口さんの気持ちはすごくわかりました」と回想。
 井口昇監督は、斎藤さんに高校時代肥満だった役を演じてもらうにあたり「太った男の子ってどういう動きをするかということとかをレクチャーしました。顎の下の肉を触ると柔らかいのでついつい触っちゃうんですよとか、走り方とかですね」と明かし、斎藤さんの演技について「佇まいが太った人の動きを完璧にコピーしていただいているので素晴らしいと思いました」と太鼓判を押しました。
 また、斎藤さんが劇中でカメラを回すシーンで斎藤さん自身が撮影した映像も実際に作品中で使われており、斎藤さんは「ほんとに被写体との距離というか、そういうものがひじょうに深く伝わる映像になってくれたと思います」とコメント。

 1987年を舞台にしたシングルマザーとその息子の物語『少年の詩』は、清水崇監督の出身地・群馬県前橋市で撮影をおこなっており、清水監督は「初めて自分自身を投影して生まれ故郷で撮りたいと思ったので、自分の小学生のころを思い出して(作品を作ろう)と思ったんですけど、そのころはブルーハーツもまだ結成されていない時期で『少年の詩』という歌も生まれていないということに気づいて(『少年の詩』がリリースされた)1987年をいろいろ調べたり話を聞いたりして、そのころに流行っていたものとか、世間を騒がせた事件とか、小道具も衣裳もそうですし、喋り方とか人のあり様とか、テレビCMとかにこだわらせていただいて、子どもって石を拾って集めていたりとか、大人には理解の度を越えた世界を持っているので、そういうところを世界観にまぶしたいなと思いまして、そんなところにこだわって」と自作について語るとともに「監督の色が確実に出ていると思うんですよ。ほんとにジャンルも全部違うので、それぞれに疲れるくらいお腹いっぱいになるので楽しんでいただければと思います」と『ブルーハーツが聴こえる』全体について語りました。

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『ラブレター』で大輔を演じた斎藤工さん

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『ラブレター』の井口昇監督

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『少年の詩』の清水崇監督

 最愛の女性を失った男の愛をセリフなしで描く『ジョウネツノバラ』は主演の永瀬正敏さんが脚本も手がけており、以前より永瀬さんと作品を作るなど関わりが深く「映画の話で盛り上がって、ぼくの書いたプロットを永瀬さんに読んでもらったり、永瀬さんの持たれている原案を読ませてもらったり」していたという工藤伸一監督は、今回の企画がスタートした際に「永瀬さんと話をしていた原案が『ジョウネツノバラ』に乗せたら相当いい話になるんじゃないかなと思い、すぐ永瀬さんに連絡して、永瀬さんがふたつ返事で“ぼくが脚本を書くよ”ということで書いてもらったら、2時間近い脚本があがってきまして(笑)。ものすごい熱量があったので、それを20分強の短編に集約していく中で、30稿近く脚本のやり取りをさせてもらったんですけど、どんどんシンプルに無駄なものを削いでできあがったのが今回の『ジョウネツノバラ』だと思っています」と作品誕生の経緯を説明。

 東京で暮らす元・原発作業員の男性とその家族を描いた『1001のバイオリン』に主演した豊川悦司さんは「原発事故を扱っていまして、最初に(脚本を)読んだときには、これは絶対に映画でしかできない話だなと思いました。ぼくが演じた達也さんという元・原発の作業員の方の家庭の話なんですけど、現実に達也さんのようないまだに苦しんでいる方はたくさんいらっしゃるので、実在している人を演じるということで、普段以上に緊張感を持って演じさせていただきました」と演じた役への想いを語り、ロケで訪れた福島について「自分が思っていた想像を遥かに越えて、ほんとにすごいところで、もちろん映画の中に出てきますけど、ここで起こったことが大変なことなんだと改めて思いました。その上で、監督と一緒にスタッフのみなさんも含めて、この作品を作るということに、ほんとに心の底からきちんとしたものを作らなくてはいけないなという気持ちにさせられたと、そんな感じでした」と印象を。
 李相日監督は「震災から3年という時間を(※撮影当時)どうやって(撮影期間の)4日5日で見つけていけばいいんだろうなと、そういう答えがないような会話を豊川さんとはしたような気がしていますね」と撮影を振り返り、豊川さんを起用した理由を「豊川さんの福島弁がまた聞きたくなって。独特の味がありますし、重苦しいことはいくらでもあるんですけど、でも映画ってそうではない日々、兆しみたいなものを探していると思うんですよね。そういう、いい意味での浮遊感みたいなものが(豊川さんの)独特の味なんですよね。豊川さんにしかない雰囲気だと思うので、ぜひ今回やっていただきたいなと」と明かしました。

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『ジョウネツノバラ』の工藤伸一監督

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『1001のバイオリン』達也役の豊川悦司さん

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『1001のバイオリン』李相日監督

 『ブルーハーツが聴こえる』は、THE BLUE HEARTS結成30周年にあたる2015年の公開を目指しながら諸般の理由により未公開となり、クラウドファンディングによる一般の方からの支援などもあって2年を経ての公開が決定したもの。
 監督・キャストも「この作品が公開できるのは、制作に携わるすべての方々の情熱と、ひとえに応援してくださるみなさんの力添えのおかげだと、ほんとにありがたく思っております」(市原さん)、「2年以上のときを経て、こうやって公開を迎えたので、そのプロセスやクラウドファンディングも含めて、みなさんの差し伸べてくれた手のおかげで、とてもドラマティックな2年間をこの作品の側で寄り添っていたことを、いまとなっては幸せだと思っております」(斎藤さん)、「30周年に向けて2013年から企画からスタートさせてもらって2015年に公開する予定だったんですけど、こうやってBlank 30 years(=30年の空白を経て)ならぬBlank 2 yearsで公開ができるということでほんとに感謝しかないです」(工藤監督)、「みなさんおっしゃってますけど、公開まで長い道のりで、ほんとにたくさんの方がたくさんたくさんヘルプをしてくれました。そのおかげで今日上映できることを大変嬉しく思います。本当にありがとうございます」(豊川さん)、「撮影から今日という日まで3年近く経っているんですけど、正直、途中でもうダメかなと諦めかけるときもあったんですけど、やっぱりブルーハーツというバンドはずっとぼくらに“諦めるな!”ということを30年間以上伝えてくれているバンドだと思うので、その力のおかげで今日という日を迎えられたんじゃないかと思います」(李監督)と、公開を目前に迎えた喜びと感謝を口にしました。

 『ブルーハーツが聴こえる』は、角田晃広さん(『ハンマー(48億のブルース』)、高橋メアリージュンさん、浅利陽介さん(『人にやさしく』)、要潤さん、山本舞香さん(『ラブレター』)、新井浩文さん(『少年の詩』)、水原希子さん(『ジョウネツノバラ』)、小池栄子さん、三浦貴大さん(『1001のバイオリン』)ら豪華なキャストが共演。4月8日(土)より、新宿バルト9ほか全国ロードショーされます。

作品スチール

ブルーハーツが聴こえる

  • 監督:飯塚健 下山天 井口昇 清水崇 工藤伸一 李相日
  • 出演:尾野真千子/市原隼人/斎藤工/優香/永瀬正敏/豊川悦司 ほか

2017年4月8日(土)より新宿バルト9ほか全国ロードショー

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