近年の日本映画界で注目を集めるふたりの俳優・木村知貴さんと川瀬陽太さんが兄弟を演じる『トータスの旅』が４月29日にテアトル新宿で上映され、木村さん、川瀬さんと湯舟すぴかさん、諏訪瑞樹さん、永山正史監督が舞台あいさつをおこないました。

　『トータスの旅』は、息子とふたり暮らしの男・次郎が、突然やって来た兄の新太郎に連れられ、息子の登とペットのカメ、そして兄の婚約者と一緒に、兄が結婚式を挙げる島まで旅をするロードムービー。昨年開催の第10回田辺・弁慶映画祭の男優賞や第17回TAMA NEW WAVE コンペティションのベスト男優賞、今年開催のゆうばり国際ファンタスティック映画祭２０１７のオフシアター・コンペティション部門グランプリを獲得するなど高い評価を得ており、今回は「田辺・弁慶映画祭セレクション２０１７＠テアトル新宿」の初日を飾る作品として上映されました。

　主人公の次郎を演じた木村知貴さんは長編映画初主演で「この作品はぼくは長編は初主演映画ということで、まだまだ未熟な役者なんですけど、今日登壇されているキャストの方含め、今日おられないキャスト・スタッフのみなさんに支えていただいて、なんとか役割は果たせたかなと思っております」とあいさつ。

　兄の新太郎を演じた川瀬陽太さんは「木村知貴くんの初長編初主演ということで、華を添える意味でも、華ではないですけれどもスミマセン。俳優部はみなさん、映画同様“亀の歩み”なので、これからも末永く木村くんをよろしくお願いします」と、映画のタイトルにかけて木村さんにエールを送りました。

　次郎の息子・登を演じた諏訪瑞樹さんは「難しいシーンもあったんですけど乗り越えられたので、面白い映画になっているので楽しんでください」、新太郎の婚約者・直子を演じた湯舟すぴかさんは「いまどきの“爽やか”とかそういう映画ではないんですけど、いろいろな映画祭で（上映が）終わったあとに、女性の方、しかも大学生の方に声をかけられたりして、観たことのない映画の体験になっていたら嬉しいと思いますし、その一部になれていたら嬉しいと思います」と、それぞれコメント。

　木村さんは「最後のエンディング曲があるんですけど（岡林信康＆はっぴいえんど「だからここに来た」）、その曲がこの映画全体を締めくくれているなと思っているので、最後まで観ていただければ嬉しいです」と映画の見どころを挙げ、永山正史監督は「この映画はけっこう自分の体験をもとに作っています。諏訪くんがやった役が学校がすごく嫌いな子どもなんですけど、ぼく自身そういう感じで育ってきて、そういうキツいときに親父にやってほしかったこととか、いま自分が親父になって、息子にやってあげたいこととかを反映して、そういう想いで作っていますので、ぜひご覧ください」と、映画に込めた想いを語りました。

　「田辺・弁慶映画祭セレクション２０１７＠テアトル新宿」は、和歌山県田辺市で２００７年より毎年開催され、インディーズ監督の登竜門的存在となっている田辺・弁慶映画祭の２０１６年受賞作を中心にした特集企画。テアトル新宿で４月29日(土)より５月19日(金)までの３週間にわたりレイトショーで開催され、受賞作『トータスの旅』、『私は渦の底から』（野本梢監督）、『空(カラ)の味』（塚田万理奈監督）３作品の上映に加え、各監督の過去作・新作や縁のある監督の作品上映、トークイベントなどがおこなわれます。

　『トータスの旅』は、５月３日(水)と５月12日(金)に上映され、３日には音楽を担当した石川江里也さんと劇中で弾き語りシーンもある木村知貴さんによるライブ、12日(金)には永山正史監督が登壇するトークイベントがそれぞれ開催。また、５月７日(日)と９日(火)には、永山監督の過去作と篠崎誠監督（７日）、蔦哲一朗監督（９日）の作品の上映とトークイベントがおこなわれます。