日本映画専門情報サイト:fjmovie.com

fjmovie.comトップページニュース一覧>話題作に迫るドキュメンタリー『映画 潜行一千里』初日舞台あいさつで向山正洋監督「言葉もないです」

話題作に迫るドキュメンタリー『映画 潜行一千里』初日舞台あいさつで向山正洋監督「言葉もないです」

記事メイン写真

舞台あいさつをおこなった相澤虎之助さん、向山正洋監督、富田克也さん、川瀬陽太さん(左より)
※画像をクリックすると大きく表示します

 2017年2月に公開され注目を集めた『バンコクナイツ』の撮影の旅を追ったドキュメンタリー『映画 潜行一千里』が12月16日に新宿K's cinemaで初日を迎え、向山正洋監督と『バンコクナイツ』監督の富田克也さんらが舞台あいさつをおこないました。

 『映画 潜行一千里』は、ヒップホップクルー“stillichimiya”の映像ユニットで『バンコクナイツ』の撮影も手がけた“スタジオ石”の向山正洋監督が初めて監督をつとめた作品。10年の構想を実現させ『バンコクナイツ』を制作した映像制作集団・空族(くぞく)の、タイ・ラオスの約4000キロ(=一千里)におよぶ撮影の旅を記録したドキュメンタリーとなっています。

 100時間を越え「全部読み込んだら(編集用のソフトの)プロジェクトが(容量が大きすぎて)開けなくなって」(向山監督談)というほどの膨大な映像を編集して作品を完成させた向山監督は、公開初日を迎えての心境を訪ねられると「言葉もないですね」と回答。「編集しているときは言いたいことがものすごい出てきたんですけど、編集も後半になってくると言葉じゃない世界みたいなところに行っちゃって“なんにも言えねえ”みたいな」と、かつて流行したフレーズを織り交ぜつつあいさつ。
 向山監督はさらに、富田克也さんに「(『映画 潜行一千里』に)いっぱい出てましたね」と指摘された『バンコクナイツ』出演者の川瀬陽太さんについて「ほんとに映画人だなって思わされました」「率先して一番つらいこととか、みんなが気づかないこととか、現場がスムースに進むことをしてくれるので、結果的に多く映っていたというのはそういうこと」と説明しました。

コメント写真

『映画 潜行一千里』が初監督作品となる向山正洋監督

コメント写真

『バンコクナイツ』で共同脚本をつとめた相澤虎之助さん

コメント写真

『バンコクナイツ』監督の富田克也さん

 『バンコクナイツ』では共同脚本を手がけ『映画 潜行一千里』では出演者となった相澤虎之助さんは『映画 潜行一千里』に登場するタイの龍神・パヤナークを例に「『バンコクナイツ』本編だとちょっとわかりにくいというか、なんとなしにしかわからないことが実はこの映画で語られているという、ぼくとしてはそれはほんとにみんなに知ってほしかったというのがあったので、それが映っていてよかったです」と『映画 潜行一千里』が『バンコクナイツ』を補完するような部分もあるとコメント。
 同じく『映画 潜行一千里』では出演者である『バンコクナイツ』監督の富田さんは、向山監督が『映画 潜行一千里』の編集作業を通じて『バンコクナイツ』撮影時の反省点に気付き「編集しながら身悶えしていた」と話していたことを紹介し「(向山監督が)すごく勉強になったと言うから、ぼくたちにとってこの作業(=『映画 潜行一千里』の制作)というのはひじょうに大きかったなというのは思ったんです」「そういうところを共有して、また次に行けるようにしようみたいな話もあったりとか、そんな話は(完成した『映画 潜行一千里』を)観たあとにしてたんです」と『映画 潜行一千里』が今後の映画作りにつながっていく可能性を示しました。

コメント写真

『バンコクナイツ』出演者である川瀬陽大さん

写真

トーク中の向山正洋監督、相澤虎之助さん、富田克也さん、川瀬陽太さん(左より)

 舞台あいさつに登壇しつつ実は完成した作品をまだ観ていないという川瀬陽太さんは「恵比寿映像祭で少し映像を見せてもらったのもあって(※YCAM=山口情報芸術センターと空族により制作された『バンコクナイツ』のインスタレーション映像)、どういうふうにまとまっているのかなっていうのも楽しみだし、自分で観て冷や汗をかきます」と語るとともに、向山監督に「監督デビューおめでとうございます」とお祝いの一言を贈りました。

 富田さんは「『バンコクナイツ』は、あれだけ長い映画(182分)の中にギュウギュウにぼくらの思いの丈を詰め込んだような映画ではあるので、これ(『映画 潜行一千里』)を観てもらって、もう1回『バンコクナイツ』に戻ってもらったときに腑に落ちるみたいなこととかは目指したんですよね」と作品について語り、向山監督は「あんまり説明的になるとウザい感じだなというのもあって、かといってそういうのを全部省くとワイワイ楽しい端から見ると引いちゃうくらいな風景なんですが、そのいい落とし所を模索するのに時間がかかりましたけど、完成なんですけどまだまだだなという勉強にもなりました」と初監督の感想を。

 そして富田さんは「10年もかけてずっと考えてきたことを(『バンコクナイツ』に)詰め込みまくったので、このドキュメンタリーと、その前の(YCAMの)インスタレーションと、「潜行一千里」という書籍が発売になっているんですけど、そういうものに分散させてすら足りないくらいの思いの丈みたいなものなので、こうやっていろいろなお見せの仕方をしながら、みなさんに長く楽しんでいただければと思っているということです」と『バンコクナイツ』からさまざま派生し発展している作品群への想いを語って舞台あいさつを締めくくりました。

 空族の映画作りに迫る初のドキュメンタリーである『映画 潜行一千里』は12月16日(土)より新宿K's cinemaにて公開。そして『バンコクナイツ』本編も同日より新宿K's cinemaで上映されており『映画 潜行一千里』半券提示で『バンコクナイツ』鑑賞料金が割引となるサービスも実施されています。

スポンサーリンク