20年ぶりに再結成することになった「元アイドルグループのアラフォー女子」５人の姿を描いたコメディ『ピンカートンに会いにいく』が１月20日に新宿武蔵野館で初日を迎え、主演の内田慈さん、共演の松本若菜さんらキャスト５人と坂下雄一郎監督が舞台あいさつをおこないました。

　『ピンカートンに会いにいく』は、２０１３年に始動以降数々の話題作を生み出している松竹ブロードキャスティングオリジナル映画プロジェクトの第５弾作品。20年前に突然解散した女性アイドルグループ“ピンカートン”の再結成を巡るドタバタと20年前のグループ解散の裏側が、現在と過去を交錯させながら描かれていきます。

　舞台あいさつには“ピンカートン”の現在を演じた女優５人が勢揃いし、主人公の神崎優子を演じた内田慈さんは「私たちは今日、ワクワクしながらここに向かっていまして、オシャレして歩いている自分たちを（海外人気ドラマの）『セックス・アンド・ザ・シティ』みたいじゃないかとか新宿の街を歩いているときに言い出したりとか、（舞台袖で）待っているときもワクワクしすぎちゃって“静かにしてください”と怒られたりとか(笑)、ちょっと部活っぽいノリで夏に撮った作品だったりもして、なんならいまでもライブシーン（のように）、ここで踊り出したいくらい嬉しい気持ちです」と、５人の仲の良さと主演作公開の喜びを感じさせるコメントを。

　アイドル時代に人気トップのメンバー・中川葵を演じた松本若菜さんも「慈さんもおっしゃったとおり、この５人が集まるとワイワイ女子学生に戻ったんじゃないかという、自分の中でも脳内がとてもセンチメンタルな気持ちになります。５人といるとこんなにも楽しいのかって思える素晴らしいキャストの方たちと、『ピンカートンに会いにいく』という作品がみなさんの目に触れるという今日、こうやって初日を迎えられたこと、ほんとに幸せに思っております」とあいさつし、１年間で監督作の公開が３本と活躍を見せている新鋭・坂下雄一郎監督は「作品自体はもう１年くらい前にできていて、上映できてホッとしております」と公開を迎えた心境を述べました。

　内田さんが演じる優子は劇中では他人に毒づくキャラクターとなっており、内田さんは「私はあんなに毒づく言葉が思いつかないので“神崎さんすごいな”と思いながらやりました」と役について語り、監督からは「早口でテンションも高い状態でやってくださいというオーダーが」あったため「どの作品でもそうなんですけど、絶対にブレないくらいにセリフを入れないと、ふとしたときにポーンと飛んじゃうので、とにかく大量のセリフを完璧に入れるというのからスタートしたところです」と役作りを振り返りました。

　そして怒りっぽいキャラクターの渡辺葉月を演じた岩野未知さんは、最初の台本の読み合わせのとき怒るシーンで「こんな人はいないだろうくらいのものを最初に出しとこうと思ったら（監督に）“それで”と言われて(笑)」、ほかのキャストが「なんで怒るのにこの方はこんなに面白いんだろうと(笑)」（山田真歩さん談）思うような怒り方をすることになったと告白。
　昨年公開の『東京ウィンドオーケストラ』に続いての坂下監督作品出演となった五十嵐かおり役の水野小論さんは「台本上（５人中、優子と葉月と葵の３人の性格が）キツい、キツい、まあキツいで、バランスがおかしいんですよ。だから、元アイドルだし、私が甘い方向に行かないとキツすぎるだろうと思って、私はそこだけしか考えませんでした」と”女の子らしさ”を意識したと語り、藤塚美紀を演じた山田真歩さんは「なにかをやろうっていうときに“いいじゃん、やろう”って面白いものには巻かれようみたいなところはあるので」と役と自身の共通点を挙げました。

　松本さんは、演じた葵が解散以来ほかのメンバーとの連絡を絶っているという設定だったため「ほかの４人は葵を探すまでのシーンが多いじゃないですか。それがすごく羨ましくて、（映画が）できあがってから観てみたらすごい楽しそうで」と、全員一緒のシーンが少なかったことを残念がりつつ「（水野さんが言ったように）キツい３人いるのに、５人ともこんなにキャラが分かれちゃうんだって」「普段の私たちもバラバラなんですよ。バラバラなのにうまく化学反応を起こして仲良くなっちゃったみたいな、そういうところは普段と劇中の中と接点かなあとは思いますね」と、５人のキャラについて話しました。

　また、舞台あいさつは脚本も書いた坂下監督が「女性のことをすごくわかっている」（山田真歩さん談）という話題でも盛り上がり、昔から無口であまり女性と話さなかったという坂下監督は「（会話をする）代わりに見ていたんじゃないんですか？(笑)」と”観察”が役立っていると話し「今回は“女の人ってこうだ”みたいなのは考えずに赴くままに書きました」と脚本作りについて話し、キャストから感心の声もあがりました。

　坂下監督は「ついに公開できてほんとに嬉しいです。ありがとうございました」とシンプルにあいさつし、内田さんは「私はこの松竹ブロードキャスティングという企画がとても大好きで、橋口亮輔監督の『恋人たち』に続き２回目呼んでいただいたんですけど、ほんとに監督至上主義というか、作品でみんながひとつになれるという土壌を作ってくださっている稀有な素晴らしい企画だと思います。参加できたことを嬉しく思いますし、観てくださるお客さんがこんなにたくさんいらっしゃることをほんとに嬉しいです。これから映画は作ったあとにお客さまに育てていただくものだと思うので、ぜひぜひＳＮＳ等でご協力いただけたら大変嬉しく思います」と呼びかけるとともに、１週間後に同じ新宿のテアトル新宿で公開となる出演作『神と人との間』（内田英治監督）も合わせ「新宿を行ったり来たりしながらお楽しみいただくのもいかがでしょうか？(笑)」と笑顔でＰＲして舞台あいさつを締めくくりました。

　舞台あいさつ登壇者のほか、ピンカートンの再結成を持ちかけるレコード会社社員・松本役に田村健太郎さん、ピンカートンの現役アイドル時代に小川あんさん（優子）、岡本夏美さん（葵）、柴田杏花さん（美紀）、芋生悠さん（かおり）、鈴木まはなさん（葉月）ら、多彩なキャストを迎えて過去との対峙をユーモアを込めて描く『ピンカートンに会いにいく』は、１月20日(土)より新宿武蔵野館、ほか全国順次公開されます。