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韓英恵さんのラップに宮崎大祐監督も現場で感動と語る 『大和(カリフォルニア)』公開記念トーク

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トークをおこなった宮崎大祐監督と韓英恵さん(左より)
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 米軍基地のある街・神奈川県大和市を舞台にした音楽青春映画『大和(カリフォルニア)』公開2日目となる4月8日、新宿K's cinemaで主演の韓英恵さんと宮崎大祐監督によるトークイベントがおこなわれました。

 『大和(カリフォルニア)』は、韓英恵さんが演じるラッパーに憧れる少女・サクラが主人公。米軍基地があり“基地の住所はカリフォルニア州”という都市伝説もある大和市で暮らすサクラが、サンフランシスコ育ちの少女・レイとの出会いなどを経て、やがて“語るべき言葉”を得ていく姿が描かれていきます。

 『大和(カリフォルニア)』が撮影されたのは3年前。ラップが重要な要素となる作品だけに、ラップ経験のなかった韓さんは台本を読んだ段階で戸惑いもあったそうですが、撮影前に宮崎監督と話をする中で「そこまで韻を踏んでとかは考えずに、自分の言いたいことを言うということがいま超クールなラップなんですよ、みたいなことを(監督に)言われたので」そのスタンスでラップに臨めたと振り返り、宮崎監督も「韻を踏んだり早いとかじゃなくて、心がこもっている己の本質から出てくる言葉を吐けばそれはラップなんだという方向性で行こうと。それがぼくはすごくよかったと思いました。現場で聴いていてもちょっと感動した」と韓さんが挑んだラップを評しました。
 また、宮崎監督は、劇中でサクラが体育館でラップをするシーンが、現場では音楽を流せず、韓さんはリズムを刻むカチカチというクリック音だけに合わせて「シーンとしていてなにも聞こえないところで、韓さんだけがラップをして」いたことを明かし「メチャクチャ難しいと思う」と韓さんの演技に賛辞を。
 同様に、廃墟でサクラがバンドをバックにしたシーンも現場では「バンドは弾いているフリなんで、音がない状態で」(宮崎監督談)撮影されていたそうですが、韓さんはその場面で使われる音楽を撮影前に1度聴いて「音楽がすごくよくって、その音楽を聴いただけでこみ上げてくるものがあったので、行けた」と撮影時の思い出を語りました。

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脚本も手がけた宮崎大祐監督

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主人公・長嶋サクラ役の韓英恵さん

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トーク中の宮崎監督と韓さん

 トークイベントでは、映画を鑑賞したばかりの観客のみなさんからの質疑応答の時間も設けられました。
 舞台でありロケ地である大和市の近くが地元という方からの「大和という街はどうでしたか?」という質問に韓さんは「普通の街でしたね」と答えた上で「基地があったりとか、住んでいたら思うことがたくさんあるのかなというか」「飛行機の音だったりとか、そういうものが始めはうるさく聞こえたりしたんですけど、それがどんどん慣れてしまったりとか」「いたら居心地がよくなってきちゃう、そういう街ですよね」と印象を。宮崎監督は韓さんの答えに「それはあんまり普通(の街)ではないですよね(笑)」と指摘を入れつつ「でも韓さんの育たれた感じには似ている?」と問いかけ、韓さんもそれに同意し「それがいいなと感じました」と答えました。
 やはり大和市に住む方からの米軍基地航空機の騒音に関する質問に関して、宮崎監督は映画では現場で録音した音を割れないようにむしろ抑えていると説明し「それ(航空機の騒音)が5分に1回、10分に1回あるので、よく言われるのは大和は撮影場所は面白いところは多いけど、この音があるから映画向きではないというか」と大和の騒音の状況を挙げ、劇中のあるシーンでは航空機の騒音でカットがつながらなくなるのを防ぐために「何度も何度も撮り直して、狙ったところに騒音が来るようにしている」ことを明かしました。
 質疑応答の時間ではさらに、基地周辺での撮影では「青い迷彩服を着た方々とか、赤灯をつけた方々」「ここに“M”と“P”と書いてある方々」(宮崎監督談)がいるため「スタッフがみんな隠れて、ぼくと韓さんとカメラマンの芦澤(明子)さんという方だけで、こんな小っちゃいカメラで隠し撮りみたいにして撮ったんですよ」(宮崎監督談)というカットもあるという、ロケ地ゆえの事情も披露されました。

 トークイベントではこのほか撮影時のさまざまエピソードなどが語られ、韓さんは「ほんとに始まったばっかりで、明日も明後日もずっと続くので、ぜひいろいろなところで口コミで伝えていってくれればなと思います」と、宮崎監督は「観ていただいてわかるとおり、かなり小さい、仲間の支えで成り立っているような映画です。この映画は少しずつ上がっていって最後にサクラが突き抜けるというイメージで作りましたので、もし今日なにか残るくらい引っかかったものがあったら、いいも悪いもぜひツイッターとかで呟いていただいたり、地元の方はぜひ近くの方に“こんな映画があるよ”という話をしていただけると、映画も少しずつ広がっていけるかなと思いますので、よろしくお願いします」とそれぞれ呼びかけてトークイベントを締めくくりました。

 遠藤新菜さん、片岡礼子さん、内村遥さん、塩野谷正幸さんらが共演、地元出身のラッパー・NORIKIYOさんや横須賀市出身のラッパー・Cherry Brownさん、GEZAN、割礼といったバンドなど多くのミュージシャンが参加し、海外の映画祭で高い評価を得ている『大和(カリフォルニア)』は、4月7日(土)より新宿K's cinemaにて2週間限定ロードショー上映されています。

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