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日中合作サイコサスペンスは「いろいろ言えない」謎がいくつも 『心魔師』初日舞台あいさつ

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舞台あいさつをおこなった今野恭成(こんの・やすまさ)監督、真崎かれんさん、生津徹(きづ・とおる)さん、陳懿冰(チェン・イビン)さん(左より)
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 猟奇殺人事件をめぐる日中合作のサイコサスペンス『心魔師』(しんまし)が10月27日に新宿シネマカリテで初日を迎え、主演の生津徹さんと真崎かれんさん、共演の陳懿冰さん、今野恭成監督らが舞台あいさつをおこないました。

 『心魔師』は、血液凝固を防ぐ薬を用いた殺人事件を捜査する不眠症の刑事・今村と、精神科の療養所に入院する少女・夕子が主人公。今村と夕子に精神科医や入院患者たちも絡み、謎と疑惑に満ちたストーリーが展開されていきます。

 初日は満席のスタートとなり、これが初の全国公開作となる今野恭成監督は「初日が満員になるということはすごい嬉しいことだと毎回思っているので、ほんとに感謝しています」とあいさつ。「みなさんがいい夢を観にこられたのか、悪い夢を観にこられたのかわからないんですが、いい夢だと映画館を出たときに(現実世界に戻って)嫌な気持ちになってしまうかも知れないんですけど、この映画はすごく悪夢というのを題材としているので、(観終わったとき)“この世界って素晴らしいんだ”とか“この現実ってすごく居心地いいな”って気持ちになれると思います」と、見どころをアピールしました。

 主人公の刑事・今村を演じた生津徹さんは多くの映画やドラマ、舞台で活躍していますが映画で主演をつとめるのは初めてで「今回、初めての主演ということで、この作品に関われたことをひじょうに嬉しく思っています。中国のスタッフ、日本のスタッフ、ほんとにありがとうございます」と、初主演作公開にあたっても心境を語りました。

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撮影中は「滞在したところが快適なところでして、しっかりよく寝ました(笑)。不眠症の役なんですけど、撮影中はよく休みました」と、今村修平役の生津徹さん

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「(ロケ場所の)近くに温泉とかあったりしたんですけど、私は(撮影が忙しく)入れなかったので、入りたかったです(笑)」と、安藤夕子役の真崎かれんさん

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陳萱伊を演じた陳懿冰さんは登壇したキャストの中では唯一、温泉に行けたそうで「行ってましたよね(笑)」と生津さんに言われると「よく行きました(笑)」と笑顔

 今野監督は謎の多い作品でのキャストの役への取り組みについて「台本に不可解なところがいっぱいあって、それを(監督に)聞くというのが一番簡単なことだと思うんですけど、自分なりに一旦噛み砕いていただいて、演じていただいて、それから“どうしていこうか”という対応をしていただいて、すごく演出がやりやすかったです」とコメント。

 やはり映画初主演で主人公の入院患者・夕子を演じた真崎かれんさんは「私はそんなに監督と役について話すということが初めてだったので、自分が考えていなかったことを監督はここまで考えて役を作っているんだなって思いましたし、楽しかったです」と初めて映画で大きな役を演じての感想を述べました。

 ストーリーの鍵となる女性・陳萱伊を演じた陳懿冰さんは、今野監督について一言「厳しい(笑)」と笑うと、英語で「初めて日本の方たちと映画を作る機会で、日本語はあまり喋れませんので、撮影中はいろいろなことがすごいスピートで進んでいって、監督は日本語で喋っていて難しくて、私が理解していると監督が思っているのもわかって、自分でクリアにしていかなければならないことが多かったです」と日中合作作品へ参加を振り返りました。

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脚本と編集も担当している今野恭成監督

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ロンドン留学経験を持ち英語が堪能な生津徹さんは陳懿冰さんの英語でのコメントの通訳も ※クリックで拡大します

 また、日中の新たなプロジェクトから生まれた作品の初日とあって、中国側の製作会社・索斯光影(Source Video Production)から、劉雨星プロデューサー、何博プロデューサー、ラインプロデューサーと作品の編集(※今野監督と共同)も担当した張丹妮プロデューサーも登壇しました。

 幼少時から日本の映画が好きで大学で映画製作を学んだのち事務所を設立して映画製作に従事してきたという劉雨星プロデューサーは「(これまで映画に携わる)その間に中日合作の映画ができればと願っていました。この機会に中日合作の映画ができたので、とても嬉しく思っています。また中日両国の合作の分野で新しいなにかできればと思っています」とあいさつ。

 今野監督とは東京藝術大学大学院映像研究科の同期で大学院時代にも一緒に作品制作をおこなっていた張丹妮プロデューサーは「今野さんは日本の厳しい現場も一緒にやって、ほんとに映画に情熱を持っている監督さんです。北京に帰って劉さんと何さんと出会って、そういう(中日合作の)チャンスがあると、じゃあ一緒にやってみましょうという感じ」と今野監督の起用が張プロデューサーの推薦によるものだったことを明かし、何博プロデューサーは「中日合作の中で、日本側の方が映画に傾ける情熱にひじょうに感心しております。このプロセスの中において大変勉強になりました。これからもみなさんの仕事に対する、あるいは映画に対する情熱と精神を学び、中国でもいい映画ができればと思っています」とコメントしました。

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索斯光影の張丹妮プロデューサー、何博プロデューサー、劉雨星プロデューサー(左より)

 舞台あいさつの最後には、陳さんは「日中合作ということで興味深い作品になっていると思います。とても楽しみましたので、みなさんんも楽しんでいただけたらと思います」とメッセージを。
 真崎さんは「今日から全国にこの映画が広まっていくと思うんですけど、一度観たらたぶん“ここはどういう意味なんだろう?”って思うところもたくさんあると思うし“もっと知りたいな”って思うと思うので、ぜひ何回も観ていろんな人に勧めていただきたいなって思います」と呼び掛け、司会者から「難解な映画ですね」と言われると「ちょっといろいろ言えないんです(笑)」と、作品にさまざまな秘密があることを感じさせました。
 生津さんはその真崎さんの言葉を踏まえ「そういった趣の映画ではございますけれども、あまり構えずに、話の中で起こっていくことをひとつひとつ大切に追いかけていっていただけたらなと思っております」と締めくくりました。

 舞台あいさつ登壇者のほか阿部翔平さんや小橋めぐみさん、柳憂怜さん、竹中直人さんらが出演し、かつてのサイコサスペンスやサイコホラーの名作に通じる空気を感じさせる『心魔師』は、10月27日(土)より新宿シネマカリテで公開のほか、全国順次公開。シネマカリテでは、11月1日(木)に生津徹さんと今野恭成監督、11月2日(金)に真崎かれんさんと今野恭成監督によるトークイベントが、それぞれ開催されます。

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