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「AIの犯罪」を描く注目のインディペンデント作品公開 『センターライン』初日舞台あいさつ

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舞台あいさつをおこなった藤原未砂希さん、もりとみ舞さん、松本高士さん、望月めいりさん、吉見茉莉奈さん、下向拓生監督、小野優樹さん(左より)。主演の吉見さんの手には劇中に登場するAI・MACO2が
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 国内外の映画祭で高く評価されインディペンデント映画界の注目を集める近未来SF法廷サスペンス『センターライン』が4月20日に池袋シネマ・ロサで東京公開初日を迎え、主演の吉見茉莉奈さんら出演者と下向拓生監督が舞台あいさつをおこないました。

 『センターライン』は、AI=人工知能の実用化が進んだ近未来の日本が舞台。検察庁交通部に配属された若き検察官・米子天々音(よなご・あまね)が、自動運転AI・MACO2(マコツー)が起こした死亡事故の調査を進める過程で明らかになる真実が、リアリティある裁判描写を交えて描かれていきます。今年2月に第21回サンフランシスコ・インディペンデント映画祭で最優秀外国長編映画審査員賞(Jury Prize for Best Foreign Feature)を受賞するなど、国内外の映画祭での上映・受賞が続いています。

 今回のシネマ・ロサでの上映は、昨年開催された「福岡インディペンデント映画祭2018」グランプリ受賞の副賞として上映権が得られたもので、これが初長編作となる下向拓生監督は「福岡のみなさまほんとにありがとうございます。ロサのみなさんもほんとにありがとうございます」と感謝の言葉を。
 上映の1ヶ月ほど前からシネマ・ロサでチラシを配って『センターライン』の宣伝につとめ「誰よりもこの状況を楽しみにしてきた」という米子役の吉見茉莉奈さんも「まさかシネマ・ロサさんで上映できることになるとはという感じなんですけど」と、東京での公開を迎えての心境を語りました。

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AI・MACO2の起こした事故を調べていく主人公の若き検察官・米子天々音を演じた吉見茉莉奈さん

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MACO2の“生みの親”にして事故の被害者であるAI研究者・深見蘭子を演じた望月めいりさん

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オリジナル脚本も手がけ、自身初となる長編作を完成させた下向拓生監督

 吉見さんは、検察官役を演じるにあたり、下向監督の要望もあって何度も実際の裁判を傍聴したそうで「(米子の)衣裳とか髪型とかも任されていたので、実際の女性の検察官さんがどういう服装をしているかとか、喋り方がどんなとか、なるべくリアルにしようと思って」傍聴で得た知識や監督のアドバイスを参考に役作りをしたと話し、裁判のシーンの米子の喋り方は「リアルな、けっこう早口なんですよね」と振り返りました。

 MACO2の開発者で交通事故で死亡する研究者・深見蘭子を演じた望月めいりさんは、あまり他人と交流せず研究に没頭する役のため「私は顔芸が過ぎるというくらい(感情が)顔に出ちゃうタイプなんですよ。だから逆からいこうと思ったから、自分の感情を表に出すことが苦手な人が詰める距離感とか、そういったかたちから入っていきました」と役作りについて話し「たぶん私のことを存分に知っている方だったら“全然(役のイメージと)違うよ”みたいな感じで、くれない役だと思ったので、逆にすごい嬉しかったです」と、自身とはまったく違うタイプの役を演じた感想を述べました。

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人工知能メーカー社員・上野芝を演じた松本高士さん

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人工知能メーカー社員・今宮を演じたもりとみ舞さん

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お掃除ロボット、MACO(初代)、スマートフォンの声を演じた藤原未砂希さん

 舞台あいさつの前には映画のエンディング主題歌「シンギュラリティ・ブルース」を歌う小野優樹さんがミニライブをおこない「シンギュラリティ・ブルース」を含む3曲をアコースティックギターの弾き語りで熱唱。小野さんは下向監督に主題歌を依頼されたとき、小野さんの持ち曲の中にイメージがピッタリだと思う曲があったため「これどうですか?」と提案したところ、下向監督に「書き下ろしでお願いします」と言われたというエピソードを笑いも交えて披露しました。
 小野さんは舞台あいさつにも参加し、主題歌を作る際は「映像がない状態でプロットだけだったので、イメージで作りました」と、主題歌作りの裏側も紹介。

 小野さんがバンド・the adonisで活動していたころから曲が好きで、主題歌を作ってほしいと思いながらその機会がなかったという下向監督は「私はいつも“この映画が最後だ”と思って作っているんですけど、この『センターライン』も自分の最後の作品にしようと思ってやりました。その最後にふさわしい曲を作っていただきたいと思って、小野さんにお願いしました」と、小野さんに主題歌を依頼した理由を明かしました。

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主題歌「シンギュラリティ・ブルース」を作詞・作曲・編曲し歌っている小野優樹さん

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舞台あいさつ前のミニライブで、映画主題歌「シンギュラリティ・ブルース」を熱唱する小野優樹さん(※クリックで拡大します)

 『センターライン』は、ひとつのストーリーは完結していますが、主人公・米子天々音が新たな事件に取り組んでいくことを予感させる終わり方となっており、下向監督は「先ほども言いましたように、私はこの映画を最後にしようと思っていました。ですが、最後みなさんお気づきになったと思いますけど“To Be Continued”とありまして、これは私からのメッセージで、もしこの映画を面白いと思っていただきましたら、この映画の続きを観たいと思ってくださる方がいらっしゃいましたら、ぜひ応援してもらえれば、すごく嬉しいです」と、今後の展開への応援を呼びかけて舞台あいさつを締めくくりました。

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舞台あいさつには、映画のもうひとりの主人公とも言うべき自動運転AI・MACO2も登場しました
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 企業でソフトウェアエンジニアとして働きながら映画制作を続ける下向監督が、先端の専門知識を盛り込んで「AIの感情」という題材に取り組み、インディペンデント作品でありながらメジャー作のような間口の広さとエンターテイメント性を備えた『センターライン』は、池袋シネマ・ロサにて4月20日(土)より2週間、連日20時45分より上映。上映期間中は連日上映後にアフターイベントが開催されるほか(イベント終了22時30分予定)、リピーター割引も実施されています。

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