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芋生悠さん「自分の道を切り拓いて」とメッセージ 『左様なら』初日舞台あいさつ

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前列左より石橋夕帆監督、武内おとさん、石川瑠華さん、芋生悠さん、祷(いのり)キララさん、近藤笑菜さん、日向夏さん。後列左より、森タクトさん、平井亜門さん、こだまたいちさん、田中爽一郎さん、塩田倭聖さん
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 芋生悠さんと祷キララさんがダブル主演をつとめ新鋭・石橋夕帆監督がメガホンをとった青春群像劇『左様なら』が9月6日にアップリンク吉祥寺で初日を迎え、芋生さん、祷さん、平井亜門さん、こだまたいちさんら出演者と石橋監督が舞台あいさつをおこないました。

 田辺・弁慶映画祭などで高い評価を受けてきた石橋夕帆監督の初長編となる『左様なら』は、SNSで作品を発表し若い世代の支持を集めるイラストレーター・ごめんさんの同名短編コミックが原作。同級生・瀬戸綾の突然の死をきっかけに変化していく高校生・岸本由紀の毎日やクラスの人間模様が、海辺の町を舞台に描かれていきます。

 映画『左様なら』は石橋監督とごめんさんが知りあったことで生まれた作品で、実はふたりを紹介して知り合うきっかけを作ったのは由紀を演じた芋生悠さんだそう。芋生さんは「ごめんさんの作品が石橋さんの映画になるとか、ごめんさんのマンガに石橋さんの作品がちょっと影響するとか、なにかあればいいなと思って声をかけたらこういうかたちになって、まさか」と笑顔を見せました。

 原作はほぼ3人の登場人物だけで進行していく短編ですが、映画は綾の死以降を大きく膨らませてクラスの生徒役だけで22人が出演する群像劇になっており、石橋監督は「(綾の死以降の流れが)マンガではサラッと描かれているけど、このときの空気感って教室とか人間関係とかとんでもないことになっているんじゃないかなというふうに自分なりに想像して、綾が亡くなったあとの期間を膨らましてみよう、教室ごと描いてみようと思ったときに、群像劇として作品を作りたいなというふうに考えました。妄想が膨らんじゃって」と、その背景を語り、芋生さんも「石橋さんの妄想すごいんですよ、本当に」と評しました。

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監督・脚本の石橋夕帆監督

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主人公・岸本由紀役の芋生悠さん

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主人公/瀬戸綾役の祷キララさん

 綾を演じた祷キララさんは、死んでしまう役のため合宿形式でおこなわれた学校のシーンの撮影には参加しておらず「そういう(合宿中の)エピソードとかをあとからひとりで聞いて、個人的にすごくさみしいなって思ったりしましたね(笑)」と、役の設定ゆえの心境をチラリと。

 その合宿での撮影について、同級生の慶太を演じた平井亜門さんは「自分は工業高校出身で、男の子ばっかの高校3年間だったので、(撮影中の)共学みたいな空気感がすごい新鮮で、なんか失われた青春を取り戻したみたい」と感想を述べました。

 由紀が学校の外で出会う青年・忍野役のこだまたいちさんは、平井さんの言葉を受けて「ぼくは学校にまったく関わらなかったので、祷さんと同じで青春できなかった組なんですけど」と笑いつつ、そのために劇中の忍野と同様、引いた視点で芋生さんたちを見ていたとコメント。
 また、バンド・THE TOKYOのギタリストやソロのフォークシンガーとして音楽活動もおこなっているこだまさんは劇中でも歌うシーンがあり、芋生さんは劇中で忍野が歌う歌をこだまさんがリハーサルの5、6分の休憩時間で考えたというエピソードを紹介。こだまさんは「石橋さんもそのときいらっしゃって、歌を歌うシーンがあるのでなにを歌いますかって言われて、メチャメチャ頭フル回転して(笑)」と、曲を考えたときの様子を語り、石橋監督と芋生さんは「ほんとすごい」「さすが」と振り返りました。

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飯野慶太役の平井亜門さん

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忍野皓太役のこだまたいちさん

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阿部朔太郎役の森タクトさん

 石橋監督が出演者が決定した段階で俳優ひとりひとりを反映させて脚本を改稿したこともあり、芋生さんは生徒役の俳優陣が「自然と役にみんながはまっていった感じがしました」と現場の様子を語りましたが、役にはまった結果「みんな若干、撮影中は“ギャルグループ怖えな”みたいな、勝手にビビってなかなか話しかけられなかった(笑)」(平井さん談)というエピソードが飛び出したり、阿部朔太郎役の森タクトさんからは「みんな役に入り込んで、ほんとに怖かったです、ぼくは。でもみんなほんとは仲いいです(笑)」、内田治役の塩田倭聖さんからは「(教室の席が)ギャルグループと由紀の間に挟まれていたので、ギャルグループを見てたら感じ悪いなあって思ったりもしてて」と、普段も劇中の人間関係に引きずられていたという感想も。

 そのギャルグループのひとり・松井美優を演じた石川瑠華さんは「あんまり(ほかの出演者から)話しかけられなかった(笑)」と話す一方で、ギャルグループ役の出演者4人では「(台本の読み合わせをして)このギャルグループどうするみたいな、そこは真面目にがんばってました」と裏側も紹介。
 同じくギャルグループの木下恵里奈役・武内おとさんは、イジメをおこなう役のため「カットがかかった瞬間メッチャ落ち込むんですよ。こんなことしていいのかなみたいな。ほんとに落ち込んで、でも(カメラが)回ったらいじめなきゃいけないし、それを楽しまなきゃいけないから、体力はすごい使いました」といじめる役の苦心を述べました。

 宮島佳代役の近藤笑菜さんは「それぞれのグループとかはあるんですけど、この人数だし、控室も男女ひとつずつという感じだったので、みんなで一緒にいたりして、ほんとに学生生活に戻ったかのような時間を過ごしていました」と大人数での撮影を振り返り、相原瑞樹役の日向夏さんは「セリフは少ないんですけど、けっこうアドリブでペラペラ喋ったことが全部オンで使われていて、最初(完成した作品を)観たときはけっこうびっくりしました」と明かしました。

 滝野蓮役の田中爽一郎さんは「(演じた役が)イジメとかは関係なく自分のものさしで人と接するタイプだったので、現場でもそういうふうにいられたらなと思ったり思わなかったり。由紀にとっては救いの面がある(ほかには)あまりいない人物だったのかなと」と役について語るとともに、忍野役のこだまさんとは在学時期は異なるものの出身高校が同じで「それがすごい嬉しかった」と話し、先輩にあたるこだまさんも「爽一郎くんをよろしくお願いします」とエールを送りました。

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松井美優役の石川瑠華さん

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木下恵里奈役の武内おとさん

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宮島佳代役の近藤笑菜さん

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相原瑞樹役の日向夏さん

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滝野蓮役の田中爽一郎さん

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内田治役の塩田倭聖さん

 『左様なら』は、ミュージシャンと監督がコラボレーションする映画祭・MOOSIC LAB 2018長編部門で上映されていますが、今回の一般公開にあたっては新たに編集をおこなったMOOSIC LAB上映版とは異なる新編集版での上映となっており、平井さんは「ぼくもまだ(新編集版を)観られていないので、だからみなさんリピートしてほしいんですけど、もしかしたらぼくが(劇場の席の)隣りにいるかもしれないよと(笑)」と、自身も劇場に観にくるかもとあいさつ。

 そして、こだまさんは「高校生とか中学生のときっていうのは世界がすごい狭いように感じて、些細なことで縛られたり、それは10代じゃなくても、いまでもぼくは感じたりするんですけど、そのときにちょっとした外界のつながりで胸を撫で下ろす気持ちになってる、忍野という役はそういうエッセンスとして映ればいいかなとやらせていただきました。なのでみなさん、日常の中でそういう胸がつまるときがありましたら、こういう存在を探してほしいと思います」。

 祷さんは「この作品は、教室とか学校の中の雰囲気とか空気とか、そのときの感覚を“作る”んじゃなくて、みんなで生み出せるようにたくさん準備をして作りました。きっと感じ方も人それぞれあると思うんですけど、みなさんのひとりひとりが感じたことが正解だと思うので、今日初日を迎えて、これからもいろいろなところでもっともっと上映されて、みなさんの心に中にいろいろな感じ方とか考え方が全国が広がっていくような作品になればと思っています」。

 芋生さんは「この作品は、こだまさんとか祷さんもおっしゃっていたんですけど、学校ってほんとにすごい狭い世界だと思うんですけど、そういう学校だけじゃなくていま社会人の方々、会社だったり身近な人たちとのコミュニティだったりあると思うんですけど、その中で、この作品の中では友人の死というのがきっかけになって主人公が動き出すというのがあるんですけど、なんかそれだけじゃなくて、いろいろなことでたぶん籠の中の鳥じゃなくて抜け出せる道がそれぞれにみなさんにあると思うので、なにか“どうしようかな、このままでいいのかな”というのがある方も多いかもしれないんですけど、自分たちの周りの人たちだけじゃなくて、外の世界に行ってみたり、中の人たちでも知らないことがあるんだったらもっといろんなことを知ろうとしたりとか、人との関わりでもっとたくさん自分の道を切り拓いてもらいたいなと思います。そういう作品じゃないかなと思っています」と、それぞれメッセージを。

 最後に石橋監督は「『左様なら』という作品が私にとっては長編デビュー作だったので、やっぱりいままで短編を撮っていたときとは感覚が違くて、無事に完成するのだろうか、単純に撮影が毎日体力的につらいとか、いろんなものが重い状態で去年撮影はしていたんですけど、もちろん中身はみんなと楽しく作った部分もありながら、やっぱりいろんな重圧は感じていて、でもその中で、私はほんとに監督に偉そうに存在しているわりにはできることって実はなにもないので、演出以外の部分だと具体的になにか技術があるわけでもないし、映画ってそもそもひとりでは作れないし、やっぱりそういう意味でキャストのみなさんもですし、スタッフの方々もですし、観てくださるお客さまですとか、人との出会いなくして映画って作れないんだなということをこの映画を通して感じました。なので作品をご覧いただいて、いろんなご感想があると思うんですけれども、学校時代にいろんな想いを残してきた方とか、そういった方に少しでも救いになるような要素が作品にあればと願っています」と想いを述べて舞台あいさつを締めくくりました。

 舞台あいさつ登壇者のほか、MOOSIC LAB 2018でスペシャルメンションを受賞した日高七海さんらが出演する『左様なら』は、9月6日(金)よりアップリンク吉祥寺にて公開、ほか全国順次公開されます。

作品スチール

左様なら

  • 監督・脚本:石橋夕帆
  • 原作:ごめん
  • 出演:芋生悠 祷キララ ほか
  • 企画協力:直井卓俊 配給・宣伝:SPOTTED PRODUCTIONS

2019年9月6日(金)よりアップリンク吉祥寺ほか全国順次公開

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