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松中みなみさん、初主演作公開にホッとしております」 『OUT ZONE』公開記念舞台あいさつ

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舞台あいさつをおこなった桑山元さん、上田悠介さん、林田麻里さん、松中みなみさん、菅乃廣(かんの・ひろし)監督(左より)
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 タレント・松中みなみさんの映画初主演作となるサイコサスペンス『OUT ZONE』を上映中のキネカ大森で、作品の公開を記念した舞台あいさつが12月2日におこなわれ、松中さんら出演者と菅乃廣監督が登壇しました。

 『OUT ZONE』は、プロデューサーや脚本家として映画に携わり、福島の原子力政策を題材にした2014年公開の『あいときぼうのまち』で監督デビューした菅乃廣監督の監督第2作。松中みなみさんが演じる保育園教諭・相原千夏が仕事でのストレスにより次第に精神に破綻をきたしていく姿や、さまざまな心を病んだ人々の姿を通して、現代人が直面する「人間の闇」を描いています。

 撮影から約3年を経ての劇場公開となり、映画初主演となる松中みなみさんは「こうして無事に日本でも上映することができて、すごくホッとしております」と、劇場公開を迎えた心境を語りました。

 松中さんが「日本でも」と語ったように、日本公開に先駆けて2018年にはカナダで開催されたモントリオール世界映画祭の「World Greats」部門で上映されており、松中さんと菅乃監督はレッドカーペットも経験。
 松中さんは、映画祭で会ったトルコの映画監督に「日本人は言いたいことを言えないのはストレスだよね、なんで言わないの?」と聞かれ「そういうエクスキューズの気持ちがあるのが日本人のいいところであり脆いところでもあって、(映画の中の描写の)水滴と同じように、溜めてしまっていつの間にかあふれ出してしまうものなんですよ」と説明したものの、理解してもらうのは難しかったと、映画祭で感じた日本と海外の感覚の違いについてコメント。
 菅乃監督も、心の病が社会問題化するのは欧米に近づいているという評価が海外からあったと話し、さらに監督の個人的な考えとして日本人は欧米より深刻に物事を捉える気質の人が多いため「日本では欧米よりももっと酷いことになるんじゃないかみたいに思っておりまして、この作品はそういう近未来を予言したような話かなと自分では思っているんですけれども」と、作品について語りました。

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「この作品を演じる役者さんもそれぞれ難しい役だったのかなと思っております」とキャストを紹介した菅乃廣監督

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さまざまな病んだ人が登場する作品に主演し「いろんな病名が知れましたよね」と主人公・相原千夏役の松中みなみさん

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「2歳の女の子に泣かれた印象がすごく強かったりだとか(笑)」記憶に残っているという、赤松拓也役の上田悠介さん

 スマートフォン依存症のブラック企業社員・安藤直人を演じた桑山元さんは、出演が決まったときに「妻が“よかったじゃない”って言ってくれて“役作りがいらなくて”って、すごくショックでした(笑)」と話して場内の笑いを誘いつつ、桑山さん自身「調べなくてもいいことを調べたりとか、1分2分の間に寸暇を惜しんでゲームしたりとか、スマホを使っているはずなのにスマホに使われているなっていう感覚とかあったりする」と、今回の作品の内容は意外と身近なのではと感想を述べ、松中さんも映画撮影でロケ地に向かう電車の中でスマートフォンを見ていない人がほとんどいなかったと振り返り「やっぱりみんな軽い依存でもしているんだなって思って、それが3年前でしょ? いまはもっとカメラがよくなった、性能がよくなった、4Gから5Gになるとか、もう怖い怖いと思います」と、身近に感じる依存の怖さに触れました。

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舞台あいさつ前に作品を鑑賞し「今日は観る側に回って作品を楽しみました」と感想を述べた青山遥役の林田麻里さん

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スマートフォン依存の役を演じ「病名が付いているって言うことがぼくは衝撃でしたよね」と安藤直人役の桑山元さん

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司会をつとめた金融業者役の椋田涼さんは「浴びるほど呑んだ覚えが」と林田さんとの共演シーン撮影後の思い出も披露

 他人とのコミュニケーションがうまくとれないアスペルガー症候群の青年・赤松拓也を演じた上田悠介さんは、中学・高校と部活で野球をやっていたときに怒られることが多く「自分が殻に閉じこもりがちになっていくというか」と経験を語り、劇中で赤松が幼い子どもとのコミュニケーションに救いを求める点について「赤松くんみたいに、自分よりも弱い小さい立場に心を助けてもらいたくなる気持ちというのはすごいわかるという感じはしますね」とコメント。

 虚言で注目を集めようとするミュンヒハウゼン症候群の傾向を持つ主婦・青山遥を演じた林田麻里さんは「たぶん、(遥は)関わるのが大変だなと思わる人物だと思いますが、その人物を演じるわけなので、外から見える彼女ではなくて、どうして彼女がそうなってしまうのかということを理解して演じたつもりでございます」と約について語るとともに、遥の娘を演じた当時2歳の子役の女の子が「(ほかの出演者の)気迫に押されて、もうビックリしちゃって」と撮影の裏話も披露しました。

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笑顔で撮影中の様子を振り返る相原千夏役の松中みなみさん(右)、劇中では千夏を苦しめる青山遥を演じた林田麻里さん(左)と、赤松拓也役の上田悠介さん

 菅乃監督は、監督自身の身内に統合失調症の患者がいることを明かし、その方が幻覚を観たりする陽性症状となっているのを実際に間近で見た経験から「知識で病気のことを知るのではなくて、実際に病気の人を目の当たりにするインパクトというもの」を「映画ということで表現できたら」と思ったことが、脚本を担当した小鳥遊(たかなし)まりさんから提案されたアイディアと組み合わさって『OUT ZONE』が生まれたと説明。これから日本で心の病が増えていくのではないかという考えを述べ「そういうような日本の将来の姿というものをこの映画で感じ取っていただけたらいいかなとぼくは思っておりますので、個性的すぎる映画ですが、みなさんよろしくお願いします」と舞台あいさつを締めくくりました。

 舞台あいさつ登壇者のほか、長いキャリアを持つ遠山景織子さんらが出演、職場でのハラスメントやモンスターペアレントなどまさに現代社会を反映していくような『OUT ZONE』は、12月5日(木)までキネカ大森にて上映されています。

作品スチール

OUT ZONE

  • 監督:菅乃廣
  • 出演:松中みなみ 沖正人 林田麻里 遠山景織子 ほか

2019年11月29日(金)よりキネカ大森にて1週間限定公開 ほか全国順次公開

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