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森岡龍さん、川上奈々美さんとのW主演作は「純喫茶に出会ったよう」 『東京の恋人』初日舞台あいさつ

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舞台あいさつをおこなった森岡龍さん、川上奈々美さん、下社敦郎(しもやしろ・あつろう)監督(左より)
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 かつて恋人同士だった男女の久々の再会を森岡龍さんと川上奈々美さんのダブル主演で描いた『東京の恋人』が6月27日にユーロスペースで初日を迎え、森岡さんと川上さん、下社敦郎監督が舞台あいさつをおこないました。

 『東京の恋人』は、映画監督の夢を諦め北関東の町で暮らす立夫が、学生時代の恋人・満里奈との7年ぶりの再会や、久々に訪れる東京での時間の中で感じていくものを、バンド・東京60WATTS(とうきょうろくじゅうワッツ)の音楽とともに描く男女の物語。映画監督とミュージシャンがコラボレートする音楽×映画の祭典・MOOSIC LAB2019長編部門で最優秀女優賞と松永天馬賞を受賞し単独劇場公開を迎えました。

 立夫を演じた森岡龍さんは「映画がこうやって映画館でかけられることが当たり前じゃない中で、こうやって初日を無事に迎えられたことを感慨深く思っています」、満里奈を演じた川上奈々美さんは「なんか、今日の初日がいままでの映画で一番“初日感”を感じていて、すごくすがすがしい気持ちだったり、喜びが言葉に表せないくらい。朝から起きたとき東京60WATTSのCD聴いて、ちょっと泣きそうになりました。ほんとに今日はみんなに会えて嬉しいです」、下社敦郎監督は「こういった状況の中で、緊急事態宣言以前に今日の公開日は決まっていたんですけど、どうなるかなとか延期になるかなとか思っていて、あんまりおおっぴらに宣伝することもよくないのかなと思っていて、お客さんが入るのも心配だったので、初日、半席ですけど(※)満席になっていただいて嬉しいです。本日はありがとうございました」と、それぞれ初日を迎えた心境を語りました。

※ ユーロスペースでは感染防止対策として席を約半数のみ使用して上映中

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学生時代の立夫と満里奈のシーンが「エチュード(即興劇)っぽく自由に動かしていただいたので」気に入っているという立夫役・森岡龍さん

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エレベーターのシーンで「私情が入った」ためなかなかOKが出ず「なんかあそこは私はテンパりましたね」と満里奈役の川上奈々美さん

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森岡さんは映画監督でもあるため「わかる役じゃないかな」、川上さんは「唯一無二な感じでいいな」と想いオファーしたと下社敦郎監督

 下社監督は作品について「ロマンポルノとかピンク映画とかが好きで、そういうものをいま作る“ひとりにっかつロマンポルノリブート”みたいなことをしてみよう」とやってみたと話し、劇中で使われる東京60WATTSの音楽は、監督自身が高校生のころからファンだったため「ああいうものが自分の中でけっこうあったので、自然に(脚本に)馴染むというか合いました」とコメント。
 森岡さんは出演依頼があったときの印象を「とても懐かしい感じがして、純喫茶に出会ったような印象だったんですけど、まだこんな喫茶店あるの? みたいな」と表現し、実際に監督に会うと「この映画をどうしても作らなくてはならないんだという切実さみたいなものをとても感じて、いわゆる“映画作り”とはまた違う、個人的な想いのこもった映画なのかなと思って出演させていただきました」と振り返りました。
 最初に脚本を読んだときに「主演でいいんですか? って言った覚えがありますね(笑)」という川上さんは、満里奈が31歳で結婚や子どもを持つことについて考えているという劇中の設定が、20代後半となった川上さん自身の悩みにも重なるところがあり「満里奈に引っ張られていたのかもしれないですけど、すごく共感できて、私情の混ざった状態で撮影したシーンもあったりして」と明かした上で「(映画が)できたあとに劇場で観たときに、満里奈よりか立夫のほうに共感するようになっていて、知らないうちに(笑)」と告白。「夢見がちでもいいじゃんみたいな、どれが正解かわかんないじゃん、みたいな感じで、切ないですけど、できあがってほんとによかったなって、いまになってやっと思いました」と、作品に対して抱く想いを述べました。

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撮影を振り返る森岡龍さんと川上奈々美さん

 また、下社監督のロマンポルノやピンク映画への想いがあるだけに劇中には立夫と満里奈の濡れ場もあり、そのシーンの撮影は川上さんが「こういうふうに動いてみたらどうですか?」と殺陣師のように動きを付けて進めていき、その中で下社監督は「暴発してほしかった」という理由で立夫の演技にはこだわりも見せていたという裏話も披露されました。

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撮影を振り返る川上奈々美さんと下社敦郎監督

 舞台あいさつは、森岡さん、川上さん、下社監督それぞれのメッセージで締めくくられました。

「心を込めて作った映画です。立夫の視点から観ても、満里奈の視点から観ても、何度観ても新しい発見のある映画だと思いますので、ぜひいろいろな方に勧めていただいたり、何度か足を運んでいただけるととても嬉しいです。また、SNSなどで感想を書いていただけましたら、けっこう読んでいますので、嬉しいです。今日はほんとにありがとうございます」(森岡龍さん)

「この作品がこの時期に上映ということで、たくさんのいろんな視点からの役柄があるので、不思議なシーンもたくさんあって“下社ワールド”がたくさんありますが、そんな中でもこの時期だからこそ、みなさんの心のどこかに寄り添える作品になったらとても幸いです。なにか懐かしくて、ちょっと寂しくなって、あの人のことを思い出して、連絡をしてみたりとかして、嫌がられたりするかもしれないですけど(笑)。私も、自粛中にいろんな元カレから連絡が来ました(笑)。でも、すごく嬉しかったです、心配してくれているんだなと思って。なので、そういう人のつながりとかもいろいろ感じて、また改めて観ていただけたらなと思います。ほんとに今日はありがとうございました」(川上奈々美さん)

「この映画は、クラウドファンディングをして支援してくださった方や、ほぼノーギャラみたいな感じで手伝ってくれたスタッフや、安いギャラで出てくれたキャストのみなさん、そして今回の配給や宣伝をしてくれている方々、みなさんの協力があって今日ここまで迎えることができました。なので、それがぼくとしては嬉しいです。ほんとにありがとうございました」(下社敦郎監督)

 森岡さん、川上さんのほか、吉岡睦雄さん、階戸瑠李さん、木村知貴さん、西山真来さん、マメ山田さんらが出演、いまおかしんじ監督作品で音楽を担当するなど多彩な才能を見せる下社敦郎監督が青春期を過ぎた男女の姿を描く『東京の恋人』は、6月27日(土)よりユーロスペースでレイトショー。ほか全国順次公開されます。

作品ポスター

東京の恋人

  • 監督:下社敦郎
  • 脚本:下社敦郎/赤松直明
  • 出演:森岡龍 川上奈々美 吉岡睦雄 階戸瑠李 木村知貴 西山真来 睡蓮みどり 窪瀬環 辻凪子 秋田ようこ 松本美樹 矢野昌幸 いまおかしんじ 佐藤宏 マメ山田 榎本智至 伊藤清美

  • 撮影:金碩柱
  • 照明:市川高穂/川島啓之
  • 音響:弥栄裕樹
  • 制作:鈴木英生
  • 助監督:茂木俊幸/逵真平
  • ヘアメイク:小夏
  • スチール:みてぃふぉ
  • 衣装:智子
  • タイトルデザイン:市川力
  • 音楽:東京60WATTS
  • 企画:直井卓俊
  • 配給・宣伝:SPOTTED PRODUCTIONS
  • 宣伝協力:MAP

  • 2019年/カラー/ヨーロピアン・ビスタ、スタンダード/5.1ch/81分

2020年6月27日(土)よりユーロスペース ほか全国順次公開

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