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山田佳奈監督、伊藤沙莉さんらの「生きた芝居」をアピール 『タイトル、拒絶』舞台あいさつ

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舞台あいさつをおこなった恒松祐里(つねまつ・ゆり)さん、伊藤沙莉(いとう・さいり)さん、山田佳奈監督(左より)。伊藤さんと恒松さんは劇場で販売している作品のタイトル入りTシャツで登壇
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 デリヘルを舞台に力強く生きる女性たちの姿を描いた『タイトル、拒絶』公開2日目となる11月14日、渋谷シネクイントで主演の伊藤沙莉さんと共演の恒松祐里さん、山田佳奈監督が公開記念舞台あいさつをおこないました。

 『タイトル、拒絶』は、山田監督が主宰する劇団・ロ字ックの同名舞台劇の映画化。デリヘルで働く女性たちやその周辺の人々が巻き起こす出来事を通して、女性の本音に寄り添う作品となっています。昨年の第32回東京国際映画祭でのプレミア上映などを経て一般公開を迎えました。

 デリヘルで世話係をする主人公・カノウを演じた伊藤沙莉さんは、長編初監督となる山田監督について「この行動に至るにはどういう感情の流れだったらこういうふうになるのかとか、どうやったらここまで怒りのピークに行くのかみたいなところをすごく丁寧に寄り添って一緒に作り上げてくださった」と話し、カノウが憧れるデリヘル嬢・マヒル役の恒松祐里さんも「女性監督で、ほんとに共通理解のある場所が心の中であるので、相談もしやすかったですし、すごく心強かったです」とコメント。
 さらに伊藤さんが「(監督は)なにより本当に優しい、面白い方なので、(出演者に)女の子がいっぱいいるからちょっと女子校みたいな感じになるんですけど、いっしょにふざけてくれたりとかして、全体的に寄り添ってくれた印象ですね」と話すと、恒松さんも「最高、人として大好き!」。
 ふたりの女優からの絶賛コメントを浴びた山田監督は「昨日、一昨日あたりから(出演者が)みんな褒めてくれるんですよ。里の親みたいな気持ちになってきちゃって」と笑いながら「改めて、こういう言葉を俳優のみなさんが公開してから言ってくださるというのは、初長編というところで不安な中で現場に立っていた部分もありましたので、自分の演出だったりディレクションというのはもっと自信を持っていいし、間違えてなかったんだなと心強く思っております」と心境を述べました。

 また『タイトル、拒絶』は監督作『ミッドナイトスワン』がヒット中の映画監督・内田英治さんがプロデューサーとして「日本の映画を育てるためには若手を育てなくてはならないという考え方のもと、私を引っ張り上げてくださった」(山田監督談)作品となっており、山田監督は今回の作品を作る上で内田プロデューサーから受けた助言が「自分が今後映画作りをしていく上で大事な部分、基礎の部分を育てていただいた」ような部分があると、内田プロデューサーに感謝を示しました。

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大勢の観客を前に「こんなにギッシリいるとグッと来るものがありますね」と感想を述べたカノウ役の伊藤沙莉さん

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舞台あいさつがおこなわれたことに「無事、今日を迎えられてとても嬉しいです」とマヒル役の恒松祐里さん

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「これだけの方に公開2日目、ご覧いただける幸せというのをいまこの場で噛み締めております」と山田佳奈監督

 作品は設定も含めて刺激的な内容になっていますが、伊藤さんは最初に台本を読んだときに「シンプルにめちゃくちゃ面白いと思いましたし、カッコいいなって思いましたし、なにより私はカノウとしてオファーをいただいたので、いろいろなことがカノウとしては独白に詰まっていたりするので、そこがすごくやりたいって」と思ったと振り返り「絶対に携わりたいなって思いました」と当時の心境を。
 恒松さんは、オファーされたマヒル役が難しい役だからこそ「それをできると信じてオファーしてくださったところとかがすごく嬉しかったですし、この役を演じたことである意味、こういうのもできるんだという自信にもなしましたし、この私のお芝居だったり沙莉ちゃんのお芝居だったりみんなの芝居で、誰からを勇気づけられたり誰かの心に触れられたらいいなと思います」と、マヒルを演じて得たものを語りました。
 山田監督は「沙莉ちゃんはフラットに場所にいようという状態で、自身が演技されていたときにバランスを考えて真摯に私に寄り添ってくれた感じで、恒ちゃんの寄り添い方というのは役に対してしっかり向き合おうという、おふたりとも作品に真正面から向かい合ってくれていたんですけど、ご覧いただいているとおり個性も違うので、そこは一緒にやっていて楽しかったですね。角度が違うところから同じ作品を作っていっているという、分厚くなっていく感覚みたいなのを撮影中にも感じていました」と、そんなおふたりのそれぞれの作品へのアプローチの仕方を紹介。
 さらにこの作品で初共演を果たした伊藤さんと恒松さんは「(『タイトル、拒絶』のあとに別の作品で共演し)素敵な女優さんだなと思って、刺激を毎回与えてくれます」(伊藤さん)「(伊藤さんの姿勢を見て)すごい勉強になったし、女優としても人間としても好きだなって」(恒松さん)と、お互いにラブコールも贈り合いました。

 舞台あいさつは、伊藤さん、恒松さん、山田監督それぞれのメッセージで締めくくられました。

「ひとりひとりがとても輝いている素敵な群像劇だと思いますし、いま、この時代というかこのご時世だからこそ、多くの方々の心になにかが刺さったり響いたりしていただけるんじゃないかなと思っております。赤だったり黒だったり、けっこうダーン! という印象だと思うんですけど、意外とフラットに見ていただいて、フラットにえぐられていただいたほうがいい映画だと思いますので、これからもたくさんの方に広まってほしいですし、みなさまの拡散力を期待しておりますので(笑)、よい悪いは関係なしに自分の思ったことでいいので、いろんな感想をいただけるとほんとに嬉しいです。たくさんの方々に集まっていただけてほんとに嬉しかったです。ほんとにありがとうございました」(伊藤沙莉さん)

「この作品は『タイトル、拒絶』という不思議なタイトルなんですけど、そのタイトルもそうですし、キャストもすごい濃いキャストが集まっていて、私だったら絶対に観にいきたくなっちゃう、興味を惹かれる内容だと思っているんですけど、多くのことはいまは語らず、なにを拒絶しているのか、人生のタイトルってなんなんだろうとか、タイトルの意味を自分の人生と照らし合わせて考えるきっかけになったらいいなと思います。なにが『タイトル、拒絶』なのかをたしかめるために劇場に来てください」(恒松祐里さん)

「この『タイトル、拒絶』という作品を私は7年前に最初に書いたんですけど、その当時の私というのは自身が女性であることというのがどうにも受け入れがたい時期だったんですけども、この作品を通してひとりでも多くの方がシンパシーだったりとか共鳴することができたら、なにか自分自身も、いま35歳なので年も重ねていっておりますので、どんどん消化されていっているなという気がしております。そして今回、何度も何度も同じことを言っているんですけども、ここにいるふたりだったり、全俳優がほんとに生きた芝居をしてくださっているので、できればSNSとかですね、全俳優が感想をチェックしているようですので(笑)。俳優がこれだけ感想をチェックしている作品ってほんとに監督としてはありがたいというか嬉しいことなので、できれば賛否両論いろいろある作品だと思いますので、お声を聞かせていただければと思います。そして公開始まったばかりですので、ぜひお気に召せば2度3度と劇場でお会いできればと思います。本日はありがとうございます」(山田佳奈監督)

 舞台あいさつ登壇者のほか、佐津川愛美さん、片岡礼子さん、でんでんさん、モトーラ世理奈さん、田中俊介さん、般若さんら、ベテランから期待の若手なで多彩な個性あふれる俳優陣が揃った『タイトル、拒絶』は、11月13日より新宿シネマカリテほか全国順次ロードショーされます。

作品スチール

タイトル、拒絶

  • 伊藤沙莉
    恒松祐里 佐津川愛美/片岡礼子/でんでん
    森田想 円井わん 行平あい佳 野崎智子 大川原歩
    モトーラ世理奈 池田大 田中俊介 般若

  • 監督・脚本:山田佳奈
  • 劇中歌:女王蜂「燃える海」(Sony Music Labels Inc.)
  • プロデューサー:内田英治/藤井宏二
  • キャスティングプロデューサー:伊藤尚哉
  • 企画:DirectorsBox
  • 制作:Libertas
  • 製作:DirectorsBox / Libertas / move / ボダパカ
  • 配給:アークエンタテインメント
  • ©DirectorsBox

  • 2019年/カラー/シネマスコープ/5.1ch/98分|R15+

2020年11月13日(金)より新宿シネマカリテ ほか全国順次ロードショー

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