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配信で映画館にも収益を分配する〔仮設の映画館〕で想田和弘監督『精神0』を5月2日より上映

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〔仮設の映画館〕ロゴ。ミニシアター系作品の宣伝美術を多く手掛けるデザイナー・成瀬慧さんが趣旨に賛同して贈ったもの

 想田和弘監督の新作『精神0』が、劇場公開と並行して、当初の公開予定日である5月2日より有料配信されることが決定しました。オンラインでの鑑賞料金が映画館にも分配される〔仮設の映画館〕での上映です。

 この上映は、新型コロナウイルス感染症が拡大している現状を鑑みておこなわれるもの。ウェブサイト〔仮設の映画館〕には『精神0』を上映する各地の映画館が掲載され、利用者はその中から希望する映画館を選択した上でオンラインで『精神0』を鑑賞、その鑑賞料金は選択した映画館にも分配されるというシステム。いわば各映画館がインターネット上に分館を持つことで、実際に映画館に行くのが困難な状況下でも観客はそれぞれの映画館に料金を払って作品を鑑賞でき、映画館は通常の上映のように収入を得ることができます。
 〔仮設の映画館〕にはシアター・イメージフォーラムほか北海道から沖縄まで全国の25を越える映画館が参加(4月7日現在。今後追加の可能性あり)。鑑賞料金は1800円均一。約10%の配信プラットフォームへの手数料を除いた金額が、一般的な映画興行と同様に映画館と配給会社で分配され、さらに配給会社と製作者で分配されます。

 〔仮設の映画館〕ウェブサイトは配信に先駆けてすでにスタートしており、公開にあたっての想田和弘監督からのメッセージを読むことができます。
 また、同作品の配給を手がける配給会社・東風は以下のようにステートメントを発表しています。

ご承知のように新型コロナウイルスの影響は、映画にとっても甚大です。劇場が休館を余儀なくされたり、たとえ上映を続けていても観客が安心して鑑賞することができなければ、いずれは劇場だけでなく配給会社も製作者も閉館や廃業ということになりかねません。いま脅威にさ らされているのは、観客、劇場、配給、製作者によってまわっている「映画の経済」です。では、新作映画を楽しみにしている観客、劇場、配給、製作者、みんなにとって何かよいことができないか。新作『精神0』の公開を控えた想田和弘監督と配給会社東風のスタッフで相談しました。
そこで予定していた劇場公開と並行して、インターネット上に「仮設の映画館」をつくってみることにしました。ここには『精神0』を上映する各地の劇場が軒を連ねています。観客は、どの映画館で作品を鑑賞するのかを選ぶことができます。そして、その鑑賞料金(1,800 円 税込)は「本物の映画館」の興行収入と同じく、それぞれの劇場と配給会社、製作者に分配される仕組みです。
これは、新型コロナウイルスの脅威によって停滞している「映画の経済」を回復させるための試みの一つです。そして、この認識と方法とを全国の劇場、配給会社、製作者、そして映画ファンのみなさんと広く共有することによってはじめて「仮設の映画館」は、持続可能な施策となり、ともにこの非常事態を乗り切ることができる。そのように考えています。
『精神0』の「仮設の映画館」での上映期間は全国一斉、5/2[土]〜5/22[金]の3週間を予定しています(「本物の映画館」と同じく、ヒットしたら延長されるかもしれません)。さてまずは最寄りの劇場へ。そして、たまには懐かしい街の劇場を訪ねてみてください。もちろん状況が改善したら、ぜひ「本物の映画館」に足をお運びください。ここはあくまで「仮設の映画館」です。

東風

 『精神0』は、想田監督の「観察映画」の最新作。『精神』(2008年)之主人公のひとりであった山本昌和医師が82歳で医師を引退したその後の生活にカメラを向けた作品となっています。
 5月2日(土)より〔仮設の映画館〕で上映され、シアター・イメージフォーラムほか全国の実際の映画館での公開日は今後の状況により各映画館の判断で決定されます。

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〔仮設の映画館〕イメージ。ウェブサイト上に映画館が表示される。左がシアター・イメージフォーラム、右が第七藝術劇場

〔仮設の映画館〕概要

  • ウェブサイト:http://www.temporary-cinema.jp/seishin0/
  • 鑑賞料金:1800円均一(税込)
  • 鑑賞期限:購入から24時間以内(予定)/ストリーミング再生のみ、ダウンロード不可
  • 『精神0』上映期間:2020年5月2日(土)10:00より5月22日(金)21:00まで(予定・延長の可能性あり)
  • 参加劇場ほか詳細は公式サイトをご覧ください

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