新型コロナウイルス禍の中で松本動（まつもと・ゆるぐ）監督と12人の俳優が完全リモート制作で挑む長編劇場映画『2020年 東京。12人の役者たち』の特報映像が緊急公開されました。（※記事下部に動画掲載）

　『2020年 東京。12人の役者たち』は、CiNEAST（シネアスト）主催の俳優向けワークショップの参加者と、同ワークショップのゲスト講師をつとめた松本監督がコラボレーションしたワークショップ「シネアストラボ」から生まれた作品。
　２０２０年春に本格的に撮影開始予定だった当初のコラボレーション作品が新型コロナウイルス感染症（＝COVID-19）拡大により中止となったのち「いまだからこそ伝えるテーマを、いまだからこそできる手法で」とテーマを変更し、完全リモート制作による作品が始動しました。
　内容は現状を反映しており、COVID-19拡大により外出自粛が続く状況下での12人の俳優の焦燥や葛藤、魂の叫びを記録するドキュメンタリーテイストの作品となっています。
　すでにいくつかのリモート制作による短編作品がオンライン公開されている中「再び映画館で映画が思う存分楽しめる未来」への希望を込めて劇場公開を前提とした長編作品として制作されています。

　制作発表以降、作品に注目が集まる中で緊急公開された約１分間の特報映像は、出演する12人の俳優全員が登場し「ドキュメンタリー要素の入ったフィクション＝ドキュフィクション」と称される作品の一端をうかがわせるとともに「我々はCOVID-19に屈しない」という、本作に携わる人々の決意を示すようなメッセージも表示されます。

松本動監督コメント

自分という存在は、他の何者でもなければ、自分以外の何者にも成り得ない。それが人間への天命でありますが、それを逸脱しようと藻掻く人種が『役者』という輩たちです。成れもしない他者に成りきる為には、自分自身を分析し、追求してゆく事が重要であり、天賦の才を信じ、世の中がどう変化しようとも、その全てを学びとし、自分の内に秘めた未知の能力を引き出す事によって、はじめて役者は他者に成り得る事が出来るのです。
役者という生き物には、境界線がありません。役者にとって日々の生活全てが人生であって仕事でもあります。
役者という職業は、『自分自身』に他ならないのです。

新型コロナウイルスの終息を、ただ待ち侘びるだけの動かざる者と、今こそ動く者とでは、必ずや終息後の未来を左右する事となるでしょう。

この映画には明確な台本がありません。12人の役者がそれぞれの色を出し、監督の私がその12色の絵の具を使い、下書きをする事なく、一枚の絵を完成させるというものです。12人による映像という色を、如何に上手く混ぜ合わせ、『映画』という一枚の絵を完成させるのか、それは作品が完成するまで誰にも分かりませんが、既に綺麗な色の絵の具が揃い始めています。

12人の役者が、この状況下で如何に自分の魅力ある色を表現するのか、是非ご期待下さい。

　現在、俳優陣が日々記録した映像を松本監督がオンラインで受け取り編集をおこなうというスタイルで制作が進行しており、７月中旬に歓声が予定されています。

　映画界を含め社会全体に大きな影響が及び、収束までの道程もまだ見通しがつかない未曾有の状況下で、短編・長編の国内外の映画祭での受賞が続く松本動監督と、12人の俳優が取り組む『2020年 東京。12人の役者たち』というプロジェクト。今後の進展にも要注目です。