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ハリウッドの映画祭で松本動監督『星に語りて~Starry Sky~』がグランプリ獲得 短篇もノミネート

 国内外の映画祭で作品の上映・受賞が続く松本動(まつもと・ゆるぐ)監督が、ロサンゼルスで開催される映画祭「ジャパン・コネクツ・ハリウッド」に長編・短編が同時ノミネートし、長編『星に語りて~Starry Sky~』が最優秀作品賞に輝きました。

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ジャパン・コネクツ・ハリウッド(Japan Connects Hollywood)のロゴマーク

 ジャパン・コネクツ・ハリウッド(Japan Connects Hollywood)は、2019年に開催された「ジャパン・カッツ・ハリウッド2019(JAPAN CUTS Hollywood 2019)」を発展させ、日本の映画人とハリウッドを“つなげる=コネクト”することを目的に発足した映画祭。日本映画に精通したアメリカ在住の審査員が作品の選出にあたり長編・短編合わせて16作品が選出されています。

 ノミネートされた松本監督の長編『星に語りて~Starry Sky~』(英語題:Talking to the Starry Sky)は、東日本大震災の際に被災した障害を持つ人々と支援にあたった人々の姿を実話に基いて描いた作品で、日本国内では2019年にアップリンク吉祥寺で上映されたほか全国各地で上映会がおこなわており、第37回日本映画復興奨励賞を受賞しています。

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『星に語りて~Starry Sky~』より

【『星に語りて~Starry Sky~』特報】
作品ポスター

星に語りて~Starry Sky~ (英語題:Talking to the Starry Sky)

  • 監督:松本動

  • 製作統括:西村直
  • 企画:藤井克徳
  • 脚本:山本おさむ
  • 音楽:小林洋平
  • 撮影:鈴木雅也
  • 照明:古橋孝映
  • 録音:西岡正巳
  • 美術:津留啓亮

  • 制作プロダクション:ターゲット
  • 製作:きょうされん

  • 出演:要田禎子 螢雪次朗 今谷フトシ 植木紀世彦 枝光利雄 菅井玲 入江崇史 宮川浩明 生島ヒロシ 赤塚真人、ほか

  • 2019年/カラー/アメリカンビスタ/DCP/5.1ch/115分

 同時にノミネートした短編『公衆電話』は、公衆電話からの通知で始まる父と娘の小さな物語。映画祭への参加はすでに国内、国外を合わせて50に及んでおり、グランプリを含め数多くの賞を獲得しています。

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『公衆電話』より

【『公衆電話』予告編】
作品ポスター

公衆電話 (英語題:PAY PHONE)

  • 脚本・監督:松本動

  • 撮影:池田直矢
  • 録音:西岡正巳
  • 音楽:鈴木光男
  • 助監督:大滝朋恵
  • ヘアメイク:清水美穂
  • 衣裳:杉本京加
  • タイトルデザイン:東かほり

  • 出演:菅井玲 入江崇史 貴玖代

  • 2018年/カラー/シネマスコープ/Full HD/ステレオ 2ch/15分47秒

 今年のジャパン・コネクツ・ハリウッドは新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けてオンライン映画祭として10月30日より11月1日まで開催。
 開幕を前に最優秀作品賞を含む受賞作品が発表されており、栄えある初の最優秀作品賞を『星に語りて~Starry Sky~』が獲得しました。
 そのほか、加藤雅也さん主演の短編『決着』(上本聡監督:英語題『The Payoff』)のすぽっとライト賞(注目の作品に贈られる)受賞と加藤さんの最優秀男優賞受賞なども明らかになっています。

 前述のように今回のジャパン・コネクツ・ハリウッドはオンライン開催となりましたが、新型コロナウイルス感染症が収束した場合は来年2021年の秋にハリウッドの劇場チャイニーズ/シアターでレッドカーペット・セレモニーと今年の選出作品の上映が予定されています。
 『星に語りて~Starry Sky~』の最優秀作品賞受賞と2作品同時ノミネートにあたり、松本監督は以下のようにメッセージを発表しています。

松本動監督メッセージ

記事写真 この度は数多くの応募作品の中から、私が監督を務めました「星に語りて~Starry Sky~」を最優秀作品賞に選出して下さり、心より感謝をしております。本当にありがとうございました。この喜びを、関係者みんなで分かち合いたいと思います。
日本国内において、なかなか陽の当たらない所での上映活動が主となっている映画ではありますが、国外では先日開催された『Japan Film Festival Los Angeles 2020』に続き、海外での映画祭参加が続いており、今後もこの勢いに乗って、この映画で描かれた東日本大震災における知られざる実情を、世界中の方々に知って頂ける機会が増える事を願っております。
そして、私の短篇作品「公衆電話」も同時にノミネート作品に選出していただき、1作品でも嬉しい事ですが、まさか2作品も選んで頂けるなんて、驚きと共に大変光栄に思っております。
短編の「公衆電話」については、国内外の映画祭への参加が50ケ所を超え、これからも世界中の方々にお届け出来る様に尽力してゆく所存です。
COVID-19が蔓延る今、新しい映画祭が産声をあげた事は、映画を愛するすべての人にとって大変意義のある事ですし、その決断をされた映画祭関係者の皆様には、心より敬意を表したいと思います。
素晴らしい第一回目の映画祭となりますよう『JAPAN CONNECTS HOLLYWOOD』のご発展を、心よりお祈り申し上げます。
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ジャパン・コネクツ・ハリウッド(Japan Connects Hollywood)のバナー

 松本監督のメッセージにもあるように『星に語りて~Starry Sky~』『公衆電話』の2作品は10月1日より4日までオンライン開催された第15回ロサンゼルス日本映画祭(Japan Film Festival Los Angeles)=JFFLAにも2作ともにノミネートされ『公衆電話』が特別賞にあたるチャノマ賞(Chanoma Award)を受賞しており、アメリカの映画祭でのノミネート・受賞が続いています。
 なお、今回のJFFLAは今年4月に旅立たれた故・大林宣彦監督の特集上映など大林監督の業績を讃える企画がおこなわれており、大林監督の後期作品2作品で助監督・監督補佐をつとめた松本監督の受賞は大林監督との縁を感じるもの。また、ほかにも今関あきよし監督『恋恋豆花』、太田隆文監督『ドキュメンタリー沖縄戦 知られざる悲しみの記憶』と、大林監督に深い関わりを持つ監督の作品が賞を獲得しました。

 松本動監督はフリーの助監督を経て現在は監督業に専念。助監督時代より精力的に発表している短篇作品は高い評価を得ています。また、新型コロナウイルス感染症拡大が映画界にも大きな影響を及ぼす中で、自粛期間中にリモート撮影により劇場用長編映画『2020年 東京。12人の役者たち』を制作を進め、自粛期間終了後にはいち早く独自の感染防止ガイドラインを策定して映画撮影に乗り出し『2020年 東京。~』の劇中作品となる短篇『パレット』を制作するなど、意欲的な活動を見せています。
 日本とアメリカをつなぐ映画祭として今後が有望なジャパン・コネクツ・ハリウッドでのノミネートと最優秀作品賞受賞により、国内外での松本監督のさらなる評価が期待されます。

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